ペトログリフだらけのアラスカ海岸の謎! 8000年前に地球にやって来た宇宙人の痕跡か!?
水辺の生物や自然を観察しながら散策するのは楽しいものだが、北米の先住民族が暮らす海岸の岩場では、ユニークな古代のペトログリフを見物することができる。8000年前に彫られたとされる数々のペトログリフは、
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「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、UFO研究の黎明期に活躍し、古代遺跡と異星人との関連性を指摘したアメリカのUFO研究家を取りあげる。
1953年、アメリカのジョージ・アダムスキーがイギリスのデスモンド・レスリーとの共著『空飛ぶ円盤実見記』において、金星人オーソンとの会見を公表すると、トルーマン・ベスラムやオーフィオ・アンジェルッツィなど、「じつは自分も異星人に会った」と主張するコンタクティたちがわれもわれもと名乗りを挙げた。
こうした初期のコンタクティの中には、アダムスキーのほかにも「ジョージ」というファーストネームを持つ人物が3人いる。毎年「ジャイアントロックUFOコンベンション」という集会を開催したジョージ・ヴァン・タッセル、イセリアス協会を創設したジョージ・キング、そしてジョージ・ハント・ウイリアムソンである。彼らは時に、「UFO界の4人のジョージ」と揶揄されることもある。
ヴァン・タッセルとキングは、テレパシーで異星人とコンタクトしたが、ウイリアムソンは電波信号、光通信、そしてウィジャ盤に似た独自の道具など、さまざまな手段でメッセージを得た。またウイリアムソンは、太古の昔に異星人が地球を訪れていたとする「古代宇宙飛行士説」の元祖的存在でもある。
ウイリアムソンは1926年12月9日、アメリカ・シカゴに生まれた。10代のころから体外離脱体験などの不思議な経験をし、オカルト的な事象に強い関心を持っていたようだ。
その後はコーネル大学、イースタン・ニューメキシコ大学、アリゾナ大学、デンバー大学といくつもの大学で人類学や社会学、生物学、哲学、地理学など広範な分野の学問を学び、アメリカ先住民の民俗学的研究も行った。
彼がUFOに関心を持ったのは、1951年にドナルド・キーホーの『空飛ぶ円盤は実在する』を読んでからだ。ウイリアムソンはすぐに、多くのアメリカ原住民の伝説に空飛ぶ船や高い知性を持つ小さな人々の伝説が伝えられていることを思いだし、これらの伝承は太古の昔、異星人が地球を訪れた記憶を伝えているのではないかと思い至った。
そして、1952年には、やはりUFOに関心を持っていたベイリー夫妻とも文通を始めた。
ウイリアムソンが最初に異星人からの通信を受けたのは1952年8月2日、このベイリー夫妻がアリゾナ州プレスコットのウイリアムソン夫妻の自宅を訪れたときだ。彼らはひとしきりUFOについて語りあった後で、たわむれに自動書記の実験を行った。すると、海王星にあるソーラーXグループの指導者ナー9と名乗る異星人からの通信を受けとったのだ。
ウイリアムソンは、ペンを使う自動書記よりもっと簡単で確実な方法はないかと考え、紙にアルファベットと数字を円形に配置し、ガラスのタンブラーを逆さまにして手を添えるという、自己流のウィジャ盤のようなものを編みだした。彼らはこれを「ボード」と呼んだ。
その後も、普通のモールス信号機や、赤外線や紫外線信号を音声に変える特別な通信機なども用いて、ナー9をはじめとする異星人グループとの交信が続けられたが、メッセージの大部分はこのボードを通じて得られている。
ボードによる交信を続ける一方、ウイリアムソン夫妻とベイリー夫妻は1952年の秋にそろってカリフォルニア州パロマーを訪れ、アダムスキーと会見している。そして同年11月20日、アダムスキーがオーソンとコンタクトした際には、この2組のカップルはアリス・ウェルズ、ルーシー・マクギニスとともに、コンタクトの様子を遠方から目撃したとされている。
このときウイリアムソンは、砂漠に残された金星人の足跡の石膏型をとり、そこに記された宇宙文字、いわゆる「アダムスキー金星文字の解読」も試みた。
ところが事件の直後から、アダムスキーがボードによるコンタクトに否定的な態度をとるようになった。ついにはウイリアムソンも、アダムスキーが『空飛ぶ円盤実見記』で述べた記述を否定し、自分たちはアダムスキーが丘を越えて歩いていき、1時間後に戻ってくるのを見ただけで、オーソンの姿は見ていないと証言を翻すまでになった。
アダムスキーとの決別後も、ウイリアムソンのスピリチュアルな遍歴は続く。
1954年には、神智学的な観点からレムリアの古代文明を主張していたダドリー・ペリーのもとを訪れ、彼の団体の機関誌編集にも関わっている。同じ1954年12月には、ミシガン州デトロイトのドロシー・マーティンを訪ねた。
ドロシー・マーティンは、惑星クラリオンに住むサナンダから自動書記による通信を受けていたという人物で、「7つの光同胞団」と呼ばれる団体を率いていた。ウイリアムソンはこの教団でブラザー・フィリップと呼ばれ、一緒に活動するようになった。
この団体が南米にあるチチカカ湖畔に拠点を移したとき、ウイリアムソンも同行した模様であり、以後数年間、アンデス山中に異星人が残した都市遺跡を求める探検行を行っている。
ウイリアムソンが日本の民間UFO研究団体である「宇宙友好協会(CBA)」の招きで来日したのは、1961年のことだった。
8月16日、日本郵船の讃岐丸で横浜に入港したウイリアムソンは1か月近くも日本に滞在し、北海道で古老からアイヌの伝承を聞き、フゴッペ洞窟や各地のストーンサークルなどを精力的に見て回った。
8月27日には、東京の朝日講堂で講演会を行ったが、このとき会場を訪れた「日本空飛ぶ円盤研究会」の会長・荒井欣一が、同行した斎藤守弘とともに入場を拒否されたことは、日本のUFO界で「朝日講堂締め出し事件」として語り草になっている。
ただ不思議なことにこの講演でウイリアムソンは、古代から異星人が地球を訪れていたという自説を展開する一方、ボードによるコンタクトに警鐘も発している。そしてウイリアムソンがUFO界から姿を消したのは、この訪日の直後であった。
その後の足取りとしては、1969年にはセルビア王家の血筋を主張して正式にマイケル・ドベノヴィクと改名したこと、自由カトリック教会を経てシリア・カルデア東方カトリック教会の司教となり、1986年に死亡したことが判明しているが、この間UFO関係の活動はほとんどない。
つまり、ウイリアムソンがコンタクティ、そしてUFO研究家として活動した時期は10年余りにすぎない。しかも、彼の主張はその過程で何度か変質しており、最終的にはキリスト教の小団体に精神的な居場所を得たようだ。
しかし、その影響は現在にも大きく残っている。
「エゼキエル書」をはじめとする『旧約聖書』や世界各地の伝説、さらにナスカの地上絵などの古代遺跡と異星人の関係を指摘した人物は彼が最初だといわれている。
太古の昔、地球を異星人が訪れていたという説以外にも、彼がボードなどから得た情報には、最初の地球人はシリウス星系で罪を犯した者の魂が囚人として転生してきたものだとか、地球が原子力の使用による破滅の危機に瀕していること、同様の事態がかつて第5番惑星で起きており、こうした状況から地球人を救うという使命を帯びたワンダラーという異星人たちが何万人も地球に転生してきていることなどが語られている。
ウイリアムソンはこのワンダラーを、時が来たら芽を吹く塩漬けのリンゴにたとえており、歴史上の偉人たちはこのワンダラーだとする。さらに、オリオン星系には地球に大異変を起こそうと企む邪悪な異星人が存在するとも述べている。
地球が流刑の星であるとか、地球に起こる大異変の警告、第5番惑星、ワンダラー、そしてオリオン星系の邪悪な異星人などの話は、UFOに多少関心のある人ならどこかで耳にしたことがあるのではないだろうか。
たとえば、かつて東京の中野区で「宇宙学教室」を開講していた霊能者の田原澄も、優良な異星人がUFOで地球を訪れているとする一方、オリオン座から来た邪悪な異星人が地球を支配しようとしていると述べている。
だが、ウイリアムソンの影響を最も強く受けたのは、やはり前述のCBAであろう。
CBAも1960年、地軸が傾くと主張して社会的な問題になったことがある。大異変が近づいたことを会員に知らせる文面が「リンゴ送れシー」だったが、この言葉にも、ワンダラーを「塩漬けのリンゴ」にたとえたウイリアムソンの影響が推測される。
そして、このような説を主張していたのが団体内部でボードを用いていた、いわゆるボード派と呼ばれる者たちである。また、事件後ボード派を追放したCBAが邁進したのが、日本各地に残る異星人関係の古代遺跡探索であった。
じつは筆者は、ウイリアムソンのボードが、1970年代のコックリさんブームの遠因ではないかと疑っている。
コックリさんは、日本では明治時代に一度大流行したが、このときの形態は、三脚に組んだ3本の棒の上に盆のような丸い物体を乗せるという、テーブルターニングの簡易版であった。
ところが1970年代になると、同じコックリさんという名前ではあっても、文字や数字を書いた紙の上に逆さに伏せたコップ、またはコインを乗せて指を添えるという、まさにウイリアムソンのボードそのものなのである。
そこで、CBA内で行われていたものが外部に流出し、大流行したのではないかと推測しているのだが、今のところこの伝播経路を裏づける確実な証拠は見つけられないでいる。もし情報をお持ちの方がいたら、ぜひご教示願いたい。
●参考資料=『宇宙語・宇宙人』(ジョージ・ハント・ウィリアムスン著/宇宙友好協会)、『キャッチされた宇宙人ヴォイス』(ジョージ・ハント・ウイリアムソン、アルフレッド・C・ベイリー著/ヒカルランド)、『空飛ぶ円盤ニュース』各号(宇宙友好協会)
羽仁 礼
ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。
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