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超心理学分野における重要な研究トピックの一つが「前世記憶」、つまり“生まれ変わり”にまつわる事例である。ほとんどの場合、幼い子どもが本来であれば知り得ない情報を語りはじめ、それが時代と場所を異にする他者の人生と驚くべき符合を示すことで発覚する。捏造や偶然などの指摘が通用しないケースも多々存在し、この分野のパイオニア的存在の精神科医イアン・スティーヴンソン(1918~2007)は、超常的解釈を許すとの結論に至った。そして今、驚異的な生まれ変わりの事例が再び海外で大きな注目を集めているようだ。
米オクラホマ州のライアン・ハモンド君は、かつてハリウッドで活躍した敏腕エージェント、マーティ・マーティン(1903~1964)の生まれ変わりであると主張している。2004年に生まれた彼は、4歳頃から親に対して(縁もゆかりもないはずの)「ハリウッドに行って家族を訪ねたい」とせがんだり、もう販売していないドリンクを欲しがったり、夜中に「アクション!」と叫んで飛び起きるようになったという。そして、まったく知らない人物の名を挙げると「昔の自分だ」と訴えた。
異常を察知した親は、すぐに児童精神科の第一人者で前世記憶を研究するジム・タッカー医師の元へとライアン君を連れて行く。そして彼の主張を検証する実験が行われるも、知るはずもないマーティンの妻の名前、4回の結婚歴、古い映画の内容、死亡時の状況などことごとく的中。さらには、マリリン・モンローのマネージャーに殴られた秘話や自宅の特徴など、インターネット上にも存在しない情報まで見てきたように語るのだった。それどころか、マーティンの死亡証明書に記された享年59とライアン君の「前世は61歳まで生きた」という証言が食い違ったために詳しく調査したところ、なんとマーティンが実際には2年早く生まれていたことまで判明したという。
今から約100年も前、マーティ・マーティンは映画のエキストラとしてキャリアをスタートさせたが、俳優としては伸び悩み、後にハリウッドのエージェントに転じて成功を収めた人物。しかし、一般的な知名度はそれほど高くなく、ライアン君がこれほどの情報を外部から知ることは間違いなく不可能だった。
これを受けてタッカー博士は、ライアン君がマーティ・マーティンの生まれ変わりであると確信、著書『Return to Life』で本件について詳しく解説している。その後、ライアン君はテレビ番組への出演が相次ぎ、マーティンの娘とも対面を果たして「本物の生まれ変わり」認定を受けるなど一躍時の人として扱われた。しかし次第にマーティンに関する記憶は薄れ、成人を迎えようかという現在はほとんど何も覚えていないとも報じられている。タッカー博士によれば、前世記憶は誰しもが持っているが、(程度の差こそあれ)通常は思い出せないだけなのだという。ただし、ふとした瞬間に意識の流れや回想として蘇り、時には強烈な悪夢として現れることもあるようだ。研究が進み、もしも前世を好きなだけ思い出せるようになったとしたら、私たちの人生観も大きく変わることになるだろう。
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webムー編集部
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