シャンプレーン湖の怪獣チャンプ/ムーペディア
毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、アメリカ北東部のシャンプレーン湖で目撃され、実在の可能性が高いといわれる謎の巨大水棲UM
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近年、超常現象多発地帯としてメディアでも話題のスキンウォーカー牧場。この地で現在進行形で巻き起こる数々の奇妙で異様な出来事を、三上編集長がMUTubeで解説。
ちょうど今現在、アメリカでUFOがらみで衆目を集めている話題が、ふたつある──。
ひとつはNASA(米航空宇宙局)が、UFOを含むあらゆるUAP(未確認空中現象)を科学的に検証するべく精鋭科学者16人からなる調査研究パネル(審査委員会)を招集して、去る2022年10月24日から正式に研究をスタートさせたことだ。
筆者がこの原稿をまとめているまさにちょうど今ごろである。
トップに立ってこのパネルを率いるのは、名門プリンストン大の前天体物理学部長デヴィッド・スパーゲル教授で、チームメンバーはデラウェア大天体物理学部のフェデリカ・ビアンコ客員教授、ロードアイランド大海洋学部大学院のポーラ・ボンテンパイ教授、アリゾナ惑星科学研究所のデヴィッド・グリンスプーン主任研究員、カリフォルニア大サンディエゴ天体物理・宇宙研究センターのシェリー・ライト准教授、当時の国際宇宙ステーション最長滞在記録を作った元NASA宇宙飛行士のスコット・ケリー退役海軍大佐など、錚々たる宇宙科学者ばかり16人の面々だ。
NASAのスポークスパーソン、副長官のトーマス・ザブーケン博士は明快に断言する。
「宇宙や大気圏における未知なる存在の探求は、まさにNASAの核心をな
すものだ。UAP/UFOのデータを理解することは、地球の空で何が起きているのかに関して科学的な結論を導き出すためにぜひとも必要であり、かつ重要なことなのだ。順調にいけば2023年度中には、UFO/UAPの真の正体の完全な解明がなされることだろう!!」
正直いって、ずいぶん楽観的な見解としか思えない。先の大戦後まもなく世界に先駆けてアメリカで始まったUFOブーム以来、とくに当のNASAや米空軍関係の科学者たちを悩ませてきたこの世紀の謎が、そうあっさり完全解明されるとはとうてい思えないが、そのNASA自身がはっきり断言したからには、筆者もUFO研究界の末席に連なる一員として、ぜひともお手並み拝見といきたい。
そして今現在アメリカでもうひとつ、UFOがらみで大きな話題を呼んでいるのが、ユタ州東部の片田舎、ウインタ盆地にある512エーカーもの広大なスキンウォーカー牧場だ。
気鋭のUFO研究家マルコ・マーガリトフがごく最近、2022年2月24日付でインターネット上に発表したところでは、この牧場と周辺地域一帯で、UFOや各種のオカルト的な超常・超自然現象が入り乱れて発生しつづけていて、アメリカではそのままリアルタイムで、CS(通信衛星放送)のヒストリーチャンネルで放映されている。
いわゆるリアリティショー番組の類いだが、ただ設定が常に現在進行形で、登場人物は俳優ではなく、全員実在の人物が実名のまま登場する。今年で3シーズン目が終了し、引き続き第4シーズンを迎えようとしている。かつての超人気SFテレビドラマ『X-ファイル』にも劣らぬ大ヒット作として、日本でも放映継続中だ。
マーガリトフより以前からスキンウォーカー・ミステリーを調べている先輩研究家コンラッド・ボウアーによれば、スキンウォーカー牧場で発生する超常現象の証拠の収集に努めた最初の研究者は、ユタ大学科学部のジュニア・ヒックス教授だという。そのきっかけは教え子たち約30人が、真っ昼間、同牧場の上空を古典的な葉巻形のUFOが飛んでいくのを目撃したと集団報告したからだ。
もともとこのスキンウォーカー牧場は、少なくとも確実な記録が残っている1996年より以前から、UFO現象だけではなく魔女出現、魔物跳梁、幽霊現象、ポルターガイスト(騒霊現象)、キャトル・ミューティレーション(家畜虐殺事件)、さらには正体不明の怪物の出没などなどと、さまざまな超常・超自然現象に呪われているという悪い評判が立っていた。いや、実際にはそれを裏づける確かな科学的証拠こそないものの、ヨーロッパ人がアメリカ大陸に進出する以前にまで時代を遡る遙かな太古から、ずっと呪われつづけてきた可能性が高いのだ。
なぜならこの地方に紀元前から居住するアメリカ大陸先住民ナヴァホ族の間にも、ヨーロッパ人の侵略と征服のはるか以前から、同様の伝承が伝えられていたからだ。彼らの間ではスキンウォーカーに相当する“ナアルドオシー”というナヴァホ語は、口にすることさえ憚られる魔物の名前だった。
この言葉をうっかり口に出しただけでも、この恐ろしい魔物を招き寄せてしまうと固く信じられていたのだ。ナヴァホ族にとって、それは文字どおり“人間の皮を被って徘徊する悪魔”を意味していたからだ。
だが、それに劣らず恐ろしいのは、そのナヴァホ族の伝承では、スキンウォーカーも元を正せば人間だったという点だ。なかでも彼らのシャーマン(呪医・呪術師・まじない師)が超人的意識状態に到達して、己と他人の魂魄を自在に操る術を身につける霊術修業の途中で、なぜか現実界の暗黒面に落ちてしまった場合はとりわけ恐ろしいとされる。
何らかの不可解な理由で、いったんは悟りを開いたはずのこうした元“聖者”たちが、あっさりと悪の道を選択してしまうからだ。ただし、この宇宙の否定的側面へと誘導されるには、ある種の入門儀式が必要だという。さらにまた、スキンウォーカーがその異常な特異能力を身につけるには、血を分けた身内のだれかをその手で殺さなければならないのが絶対必要条件とされているのだ。
こうして以前は聖人だったシャーマンが、スキンウォーカーの邪悪で不浄な力にどっぷり染まってしまうのだが、その力には人間の知るありとあらゆる動物に自由自在に変身する能力も含まれる──その中には伝説の世界以外ではまったく知られていない動物、たとえば西洋のドラゴンや東洋の龍もあるという。
しかし、この種の変身動物の中で最も悪名高いのは、極めて異常な、犬/狼/コヨーテ型動物で、しかも自然界のそれよりはるかに体躯が巨大な奴らしい。この巨大で不思議な犬たちは、犬にはあり得ぬ信じ難い猛速度で疾走し、ときにはなんと2本足で立って走るところさえ目撃されているという。
だが、こうした犬への変身などまだおとなしいほうで、スキンウォーカーは霊長類へも見事に変身することが可能だとされている。実際、犬が形を変えてより毛深い類人猿的な動物へと変身するのを、多くの目撃者が見届けている。
北米伝説でおなじみのビッグフットやサスカッチは、じつはスキンウォーカーがその正体という可能性さえある。
長い年月、毎年のようにたくさん目撃されながら、体毛や糞尿や生活跡がほとんど発見されないのは、ひょっとしたらそこにこそ真の理由があるのかもしれない。いや、それどころか、スキンウォーカーはまた、ときには梟や鴉など鳥類にも変身して空中を飛ぶことすらできるとも信じられているのだ。
しかしながら、スキンウォーカー牧場と切っても切れない関係にある怪異現象としては、何といってもやはりUFO現象をイの一番に挙げなければならないだろう。
ヒックス教授はスキンウォーカー牧場内とその周辺で、UFOやそのほかの怪異現象の直接目撃談を何百件も発掘した結果、そのすべてがスキンウォーカーという共通要素を含んでいることを発見したのだ。
ヒックスが話したナヴァホ族の人たちは、このあたり一帯を“スキンウォーカーの通り道”と呼んで恐れおののき、そこに近づくのを固く拒んだ。
ヒックスは1974年に『ユタUFOディスプレイ現象』と題する研究書にまとめて出版し、結果的にアメリカの先住民部族から、いわゆる超自然的生物にまつわる広汎な情報を収集した最初のアウトサイダーのひとりとなった。
この著作では、スキンウォーカー現象がUFO現象と直に結びつけられている。
ただし、スキンウォーカー牧場そのものは、1990年代初頭に新所有者のテリー・シャーマン一家がこの土地を購入して、怪異現象を世界の舞台にデビューさせるまでは、さほど大した注目も浴びてはいなかった。
呪術師のシャーマン“shaman”と人名のシャーマン“Sherman”はスペルも発音もやや異なるものの、このような似た名前の人物がこの状況で登場するのは、単なる偶然ではなく、恐らく何か意味のある偶然の暗合と考えるべきだろう。
(文=南山宏)
続きは本誌(電子版)で。
webムー編集部
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