ニコラ・テスラとトランプ家の意外な接点が発覚! 前大統領はUFOと反重力装置の真実を知っている可能性
再選を狙うドナルド・トランプ前大統領と、あの天才発明家二コラ・テスラの意外な繋がりとは? そしてこの接点によって、トランプはUFOの真実を知っているのだろうか――。
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毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、並外れたサイコキネシスの力を持ち、ロシアが国を挙げて育成した超能力の女王を取りあげる。
ニーナ・クラギーナという超能力者がいた。現在のロシア共和国とその周辺諸国は、かつてソビエト社会主義共和国連邦、略称ソ連という統一国家を形成していたが、クラギーナはこのソ連の超能力者である。
彼女は、手を触れずにコンパスの磁針を動かしたり、テーブルの上に置いたマッチや煙草、灰皿などの小品を動かしたりする「サイコキネシス(PK)」の第一人者と目され、ユリ・ゲラーが登場するまで、その名はサイコキネシスの代名詞ともなっていた。
ソ連の超能力者や超能力研究について、西側に初めて大々的に紹介した『ソ連圏の四次元科学』においては「ネリヤ・ミカハイロヴァ」という別名で紹介されているが、彼女の本名はニネル・セルゲイヴナ・クラギーナといい、1926年7月30日、レニングラード(現在のサンクトペテルブルク)に生まれた。
この「ニネル」という名は、1917年のロシア革命指導者レーニンの綴りを逆にしたもので、娘にこの名をつける親は当時けっこういたらしいが、世の中ではニーナ・クラギーナという通り名のほうが知られている。
1941年に独ソ戦が始まると、レニングラードはドイツの大軍に包囲された。封鎖されたことで町の中に食糧を運び込むこともままならなくなり、大量の餓死者も出るという悲惨な包囲戦となった。
クラギーナは当時まだ15歳の少女であったが、祖国を守るため自ら軍に志願し、T34戦車隊の無線操作係として活躍した。ドイツが包囲を解く直前の1944年1月に砲撃で負傷したが、終戦までには上級軍曹に昇進し、戦闘功労賞とレニングラード防衛章を授与された。
戦争中に、技術者の夫ビクトル・クラギンと結婚し、のちに3人の子と8人の孫にも恵まれている。
彼女には幼いころから不思議な能力があり、戦争中、彼女が負傷者に手を当てると症状が改善したなどの証言もある。だが、その能力が正式に確認されたのは1963年12月のことである。
当時、クラギーナはノイローゼで入院しており、ある程度回復してくると、暇つぶしに編み物を始めた。看護師は、彼女のためにさまざまな色の糸が入った袋を持ってきてくれたのだが、クラギーナは袋の中をのぞくことなく、手を突っ込んだだけで必要な糸を選びだすことができた。目で見なくても、彼女には糸の色がわかったのだ。
じつは当時、ソ連ではローザ・クラショワという、もうひとりの超能力者が話題になっていた。クラショワは目隠しをしても指先でものを見ることができるという「皮膚光知覚(DOP)」の持ち主だった。
クラショワの能力は大いに話題を呼び、ソ連では皮膚光知覚それ自体も、彼女にちなんで「ローザ・クラショワ効果」と呼ばれるようになったほどだ。
クラギーナもクラショワの噂を伝え聞き、自分も同じ能力を持っているのだと得心した。そこで、病院で彼女を診察していた医師にこのことを知らせたところ、この医師がソ連における超心理学の草分けであるレオニード・ワシリーエフに連絡を取り、クラギーナはワシリーエフの調査を受けることになった。
ワシリーエフの関心も、当初は皮膚光知覚だった。だがワシリーエフは、「コンパスの上に手をかざすだけで針を動かす女性がいる」というギリシアの超心理学者の報告を思いだし、クラギーナに同じことをやらせてみた。すると、彼女はコンパスの磁針だけでなく、小さな物体までも手を触れずに動かしてみせたのだ。
1966年にワシリーエフが死去すると、ゲナーティ・セルゲイエフとエドアルド・ナウモフがクラギーナの研究を引き継ぎ、数々の実験の模様が映像にも記録された。こうした映像が1968年に西ヨーロッパにも伝わり、彼女の名は一躍世界に広まった。今でもインターネットには、彼女の実験の映像が数多く公開されている。
もっとも多く見られるのが、テーブルの上にマッチ箱やタバコ、マッチ棒などの小品が置かれ、その上にクラギーナが震わせるように両手をかざすと、こうした物品が次第に彼女のほうへ近づいていくという映像だ。
これらの物品に直方体の透明なケースをかぶせているものもあるが、それでも物品は同じように動いていく。
また、彼女がコンパスの上で手を揺らすと、コンパスの針がそれにつれて回りだすというものや、透明な容器の中にコイル上の金属でつるした球体に、容器の外から手をかざすと、この球体が揺れはじめるというものもある。
クラギーナについてほかにもいくつもの実験が行われている。
あるときはガラスの水槽に満たした食塩水の中に生卵を落とし、サイコキネシスで黄身と白身に分けたこともある。
セルゲイエフはまた、ビーカーのリンゲル液の中で脈動しているカエルの心臓を止める実験を行ったこともある。このとき、クラギーナが精神を集中すると、カエルの心臓がぴたりと拍動を止めたのだ。
セルゲイエフはさらに、自分の心臓に影響を与えられるかどうかも実験したという。実際にクラギーナの力でセルゲイエフの鼓動が速くなったが、さすがに同席した医者が危険と判断してこの実験は中断された。
ほかにも、ガラス球に封じられた煙をふたつに分けたり、レーザー光線をそらしたりすることもできたという。さらに実験中、彼女の頭近くに置いていた写真の感光板が感光したり、不思議な光が出現するということもあった。
こうした数々の実験には、ノーベル賞受賞者を含むソ連の数多くの科学者、西側の超心理学者なども同席し、その能力を確認している。そうしたこともあり、クラギーナは当時世界最高の超能力者とも評されていた。
他方、クラギーナがこのような能力を発揮するにはかなりの集中力を必要とし、身体的な負担も大きかったようだ。
実験中、彼女の脈拍はときに250にまで上昇することがあり、体重が2キロも減少することもあった。また、実験後は一時的にしゃべることも見ることもできなくなったり、数日にわたって腕や足が痛み、めまいを覚え、眠ることもできないことがあった。
それでも彼女は、科学者からの要請には気軽に応じ、レニングラードから移動する際の旅費以外には謝礼も受け取らなかったという。
さすがに度重なる実験が負担になったのか、1977年、彼女は心臓発作を起こし、その年の3月以降、人前には姿を見せなくなったが、プライベートな場ではその後も自分の能力を披露していたようだ。
もちろん彼女の超能力については、ソ連国内でも懐疑的な見方があった。特にモスクワの科学者の中には批判的な者が多く、1968年にはソ連共産党機関紙「プラウダ」が、「彼女は細い糸や磁石を使って物体やコンパスの針を動かしている」という批判記事が掲載された。
西側の懐疑論者の中にも、似たような見解を述べる者が多いが、磁石や糸では小さな物体やコンパスの指針を動かすことはできても、卵の黄身と白身を分けたり、ましてやカエルの心臓を止めたりなどはできる相談ではない。
しかも、実験に際しては彼女の身体検査も行われており、度重なる実演の中で、彼女が磁石や糸を使っている現場が押さえられたことはない。
1986年になると、彼女は再び攻撃された。ソ連司法省が発行する雑誌「法と人間」が、彼女の超能力をインチキとするばかりでなく、第2次世界大戦に従軍したこともなければ、過去に詐欺で投獄されたなどと攻撃する記事を載せたのだ。同じような記事が翌年にもこの雑誌に掲載された。
このときクラギーナは61歳、体調悪化のため人前に姿を見せなくなって久しく、レニングラードを離れることもできなかったが、さすがに黙っておれず、雑誌と執筆者をモスクワの裁判所に訴えた。
出頭できない彼女に代わって、かつて軍事法廷検事を務めた人物が代理となり、ナウモフをはじめ彼女を研究した科学者たち、彼女と肩を並べて戦った戦友たち、彼女の番組を作成した国営テレビのドキュメンタリー制作者などが、彼女の名誉を守るため次々と証言台に立った。
そして1987年12月14日、モスクワのゼルジンスキー区裁判所は、「法と人間」に対し、記事は誤りであるとして、判決確定後1か月以内に訂正記事を掲載するよう命じた。被告側は上告したが却下され、判決は確定した。つまり、彼女の超能力は裁判で証明されたのである。
こうして自らの名誉と超能力を守って戦ったクラギーナであるが、裁判から2年4か月後の1990年4月11日、燃え尽きたように心臓発作で死亡した。
ソ連時代から現在のロシア共和国まで、何人もの超能力者が名乗りを上げている。しかしサイコキネシスに関しては、クラギーナを凌ぐ者はいまだに現れていない。
●参考資料=『ソ連圏の四次元科学(上)』(S・オストランダー、L・スクロウター著/たま出版)、『ベールを脱いだソ連の超能力者』(中岡俊哉著/祥伝社)、『続クレムリンの超常戦略』(ヘンリー・グリス、ウィリアム・ディック著/ユニバース出版)、『ムー特別編集事典シリーズ1超能力』(学研)
羽仁 礼
ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。
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