聖遺物「聖ヤヌアリウスの血」が今年も液化する奇跡発生! 2026年に向けての“吉兆”か、それとも…!?

文=webムー編集部

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    ナポリ大聖堂に保管されている「聖ヤヌアリウスの血」が液化する奇跡が今年も発生! 吉凶を占う神秘現象に、喜びと安堵の輪が広がっているようだ。

    年に3度起こる「血の液化」

     2025年12月16日、イタリア・ナポリの大聖堂に古くから伝わる“奇跡”が昨年に引き続き確認された。この日は、ナポリの守護聖人・聖ヤヌアリウスを称える祝日であり、礼拝堂ではミサが執り行われていたという。そのミサ終了後、礼拝堂に保管されている聖遺物「聖ヤヌアリウスの血」に異変が起きた。通常、固まった状態を保っている血が、液体化し始めたのである。

     現地時間の午前9時13分には血が半液状となり、午前10時5分には完全な液体に。この現象は、聖ヤヌアリウス宝物礼拝堂の院長であるヴィンチェンツォ・デ・グレゴリオ神父によって明らかにされた。そして奇跡の成立後、血の入った小瓶は礼拝堂へと運ばれ、集まった参列者全員が目にすることとなったのだ。

     聖ヤヌアリウスは西暦305年に殉教した司教で、ナポリの守護聖人として人々に崇拝されている。その血液はガラスの小瓶に保管されており、通常は固形化しているのだが、1389年から特定の日に限って液化する現象が確認されてきた。それは、聖人の殉教を記念する9月19日、遺体がナポリに移送されたことを記念する、5月の第1日曜日の前日。そして、1631年のヴェスヴィオ火山噴火に由来する12月16日の3日だ。

     言い伝えによると、噴火によって溶岩がナポリ市街に迫った12月16日、聖ヤヌアリウスの血が液化。信者たちはその聖遺物を担いで街を行進し、祈りを捧げ続けたところ、溶岩が止まりナポリは破滅を免れたという。以来、12月16日は聖人の力が強く現れた「奇跡の日」として語り継がれているのだ。

     ちなみに、なぜ乾燥して固形化した血液が液化するのか、そのメカニズムについてはさまざまな憶測が囁かれているが謎のままとなっている。一方、カトリックの総本山であるバチカンは同現象に対してかねてより慎重な姿勢を崩さず、公式に奇跡とは認めていない。

    液化しなければ災いが…!?

     だが、この液化現象は毎年必ず起こるわけではない。血が液化しないことは、ナポリではしばしば“災いの前兆“として恐れられてきた。こうした認識の背景には、看過できない奇妙な符合がある。

     事実、液化現象が起きなかった1527年には疫病が流行し、1939年には第二次世界大戦が勃発したのだ。年に3回、恒例の「奇跡の日」。血が液化するか否かに強い関心が集まるのは、それが今や世界の吉凶を占う指標と化しているからにほかならない。

    『聖ヤヌアリウスの殉教』(画:アルテミジア・ジェンティレスキ)

     とはいえ、教会側はこうした(過剰ともいえる)液化現象との向き合い方に警鐘を鳴らしている。昨年9月と12月に液化が報じられた際、ナポリ大司教ドメニコ・バッタリア枢機卿は「奇跡そのものに一喜一憂すべきではない」と語った。

     枢機卿によれば、聖ヤヌアリウスの血とは象徴であり、本当に目を向けるべきは社会の片隅で流されている貧しい人々や弱き者たちの血だという。奇跡を吉凶の兆しとして捉えるのではなく、人間の良心を問い直す象徴として捉えよ、という慈愛に満ちた言葉といえる。

     2025年も繰り返された聖ヤヌアリウスの血の液化現象。それは本当に来年に向けての吉兆や、予言といえる類のものなのか。いや、むしろいまだ対立や争いが絶えない世界に、2026年こそは少しでも前向きな変化をもたらすべし――そんな聖人からのメッセージが込められているように思えてならない。

    【参考】
    https://www.catholicnewsagency.com/news/268515/miracle-of-the-liquefaction-of-blood-of-st-januarius-is-repeated-in-naples-italy

    webムー編集部

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