「不本意な空中浮揚者」アビラのテレサの苦悩とは? 抵抗しても体が浮かぶカトリック聖女
自分が起こしてしまう“奇跡”をなるべく知られないようひた隠しにしていた聖女とは――。空中に浮き上がろうとする身体を周囲にしがみついて必死に抗っていたのが16世紀の聖女「アビラのテレサ」である。
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恐れられていた災厄を防ぐことができたのか──。イタリア・ナポリ大聖堂で「聖ヤヌアリウスの血」が液化する“奇跡”が多くの信者たちの前で起こった!
イタリア・ナポリ大聖堂で12月16日(現地時間)、グレゴリオ・ヴィンチェンツォ神父の手によって公開された「聖ヤヌアリウスの血」。ガラス製のアンプル(小瓶)に収められている乾燥した血液が再び液化する現象が起き、ナポリに安堵の声が広がった。科学的に説明がつかず「奇跡」ともいわれているが、一体その奇跡にはどのような背景があるのだろうか。
そもそも「聖ヤヌアリウスの血」とは、西暦305年に殉教したとされる(のちに守護聖人となった)ヤヌアリウスから採取された血液を収めた聖遺物だ。カトリック系メディア「Catholic News Agency」によると、乾燥した血液の液化現象は1389年から始まったという。また、この現象は毎年3回発生しており、聖人の遺体がナポリに移されたことを記念する5月の第1日曜日前の土曜日、聖人の祝日の9月19日、そして12月16日が該当する。
伝説によると、古代都市ポンペイを壊滅させた火山として知られているヴェスヴィオ火山が1631年12月16日に噴火した際、「聖ヤヌアリウスの血」が液化。信者たちがそれを担いで街を行進しながら祈りを捧げたところ、なんと溶岩が止まり、ナポリは破滅から免れた。以降、12月16日は奇跡の日として言い伝えられるようになったらしい。
例年通り、2024年も12月16日に液化した聖ヤヌアリウスの血。報道によれば、今年は午前9時から公開が始まったものの午前中は何も起きず、午後になって液化現象が始まったそうだ。実は液化現象が起きない年もあり、ナポリの人々にとっては不吉な前兆とされている。実際に液化しなかった1527年には疫病が流行し、1939年には第二次世界大戦が勃発しているのだ。2024年を締めくくる最後の奇跡の日も無事に液化が起こり、信者から安堵の声が漏れたというわけだ。
液化のプロセスにはバラつきがあり、数時間から数日かかることもあるという。聖遺物のため科学的な検証はされておらず、カトリック教会では説明のつかない奇跡は信者の献身と祈りのおかげで起こると信じているそうだ。
今回の奇跡の後、「聖ヤヌアリウスの血」は大聖堂の宝物庫礼拝堂に運ばれ、ミサが執りおこなわれた。また信者たちも「奇跡が起こった!」と叫びながら祭壇へ行き、聖遺物にキスをして感謝の祈りを捧げたと報じられている。
ガラスに閉じ込められた血が液化・乾燥を特定の日に繰り返す理由はいったいなぜか? この世界には理屈を超えた現象がまだまだあるという、なによりの証拠かもしれない。
webムー編集部
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