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夏の風物詩であるセミの鳴き声だが、新たな研究ではセミは夜明けにある指標に基づいて正確なタイミングで一斉に鳴きはじめることが報告されている。
夏の訪れを告げるセミは、一斉に力強く鳴きはじめるのが特徴である。最近の研究によって、それは決して偶発的なものではなく、驚くべき精確さで行われていることが報告されている。
インド、イギリス、イスラエルの科学者からなる国際研究チームが今年8月に学術誌『Physical Review E』で発表した研究によると、セミは太陽が「地平線からちょうど3.8度下」に位置する時に“夜明けのセレナーデ”を奏ではじめることが突き止められた。
この瞬間は、太陽が地平線を越える直前の光の位相として「精緻な自然の同期(Exquisite natural synchronization)」と呼ばれる。セミたちは、これまでの理解をはるかに超える正確さで、その瞬間の訪れを把握していたのだ。
研究チームは、インドのベンガルール近郊の2つの異なる地点で、数週間にわたり広範囲に及ぶフィールドレコーディングを実施した。このデータ収集により、研究者たちはこれまで解明されていなかったセミの時間分解能による合唱パターンを分析することができた。時間分解能とは、時間変化を識別できる能力のことである。
論文の共著者であり、ケンブリッジ大学の著名な物理学者であるレイモンド・ゴールドスタイン教授は、「動物が日の出や季節の移り変わりなどの光の変化に反応することは古くから知られていた」としつつ、本研究は測光閾値に対するセミの反応精度を独自に定量化したものであると意義を強調する。
さらに詳しく調べたところ、セミが近くで鳴いている別の個体の音響まで感知し、自己の鳴き声を調節するなど、自己強化的な合唱を作り出していることが浮き彫りになった。しかも、セミの大合唱は開始から約1分で急速に増大することも判明している。これらはエネルギー消費を最適化し、集団シグナル伝達の効率を高めるという進化上の利点に則していると考えられるという。
セミの光に対する高度な環境センシング、そしてあたかも以心伝心のような組織的協調性と社会的コミュニケーションが、夏の夜明けにアコースティックな風物詩を奏でていたのである。
今回の研究結果は、昆虫行動学の理解を深めるとともに、集団行動や意思決定の科学にも広く貢献することが期待されている。自然のシステムが物理法則と集団ダイナミクスをどのように利用しているか、新たな示唆が導かれるのだ。さらに、研究結果はロボット工学から神経科学に至るまで、幅広い分野に有益な情報を提供するという。自律的に同期した行動を可能にするシステムの設計に、大いに活用できるというのだ。
ゴールドスタイン教授は、セミの大合唱のように、一見単純でありながら極めて複雑な生物学的現象の秘密を解き明かすには、学際的な連携が重要であると強調。物理学と生物学の接点を浮かび上がらせている。
今回、セミたちが一斉に鳴き始める仕組みについては解明された。しかし、なぜ太陽が「地平線からちょうど3.8度下」に位置する瞬間に鳴き始める必要があるのか、という謎は残されている。それは、セミたちがちょうど一日の始まりを感じ取れる光量に達する瞬間なのか、それともなにか別の深い理由が隠れているのだろうか?
いずれにしても、幼虫として地中で長い年月を過ごしながら、成虫になると数週間から1か月程度で命尽きるというセミたちの「最期の大合唱」には、高度かつ神秘的なメカニズムが隠れているということだけはおわかりいただけるだろう。
【参考】
https://www.discoverwildlife.com/animal-facts/insects-invertebrates/cicada-song-pre-dawn-light-india
https://scienmag.com/cicadas-harmonize-their-songs-with-the-first-light-of-dawn/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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