コンゴで恐竜の目撃報告が急増中! 伝説のUMA「モケーレ・ムベンベ」か!?
アフリカ・コンゴ共和国の北部に位置し、伝説の怪獣「モケーレ・ムベンベ」が潜むとされるテレ湖。一時期は目撃情報が減少していたが、近年は再び増加傾向にあるという──。
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毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、アフリカ大陸中西部に位置するテレ湖を中心に、目撃が続発する巨大な水棲UMAを取りあげる。
アフリカ大陸からは、中生代の恐竜の生き残りではないかとも思われる、巨大な爬虫類らしきUMAの目撃情報がいくつも寄せられている。
たとえば「ンゼフロイ」はコンゴ南部の水の中に棲み、カバのように大きく、長い首と馬のように毛深い尾、象のような牙を持つという。
アンゴラから報告されたのは「チペクェ」だ。1931年2月、アンゴラのゴム園主でスウェーデン人のヨハンソンがカサイ渓谷へ猟に出かけたときに遭遇したオオトカゲのような動物で、体長15メートルはあったという。
「ディンゴネク」はアフリカ東部のビクトリア湖に注ぐゴリ川で目撃された。
こうした謎のUMAの中には、その後報告が途絶えてしまったものもあるが、何度も目撃されている動物もある。「モケーレ・ムベンベ」も、そうしたUMAのひとつである。
モケーレ・ムベンベの目撃報告は、アフリカ大陸中西部に位置するコンゴ共和国、カメルーン、ガボンなどの広大な熱帯雨林の湖沼地帯から寄せられている。これらの地域は300万平方キロの領域に広がる、アマゾン川流域に次ぐ地球で2番目に広い密林地帯で、「アフリカの肺」と呼ばれることもある。
なかでも特に目撃が多いのが、コンゴ共和国北部のリクアラ地方であり、そのためモケーレ・ムベンベは「コンゴ・ドラゴン」と呼ばれることもある。そして、この地方にあるテレ湖こそ、モケーレ・ムベンベの住処ではないかといわれている。
問題のテレ湖は長径が5キロ、短径4キロの楕円形の湖で、いまだにその80パーセントが未調査地域とされる、広さ2万平方キロ以上の広大な湿地帯にある。周囲にはコンゴ川の多くの支流が走り、大雑把な衛星画像以上に詳しい地図はない。いかにも先史時代の恐竜の住処にふさわしい、人里離れた辺境にある。
そのため今では、モケーレ・ムベンベ=テレ湖の怪獣という図式がかなり一般化しており、1981年のハーマン・レガスターズ探検隊、1988年の日本の早稲田大学探検部、1992年のTBSテレビのクルーなど、モケーレ・ムベンベの姿を求める者は軒並みテレ湖を目指すようになった。
目撃例を総合すると、モケーレ・ムベンベの大きさは、小さくてカバ程度、大きくてゾウ程度で、全長は5~10メートルほど、胴体は滑らかな肌触りで赤茶色または茶色をしており、大きく黒っぽい模様がある。背中にとさか状の突起が目撃されたこともある。
首は長く、その先に小さな三角形の頭部がある。尾も長く強力で、いずれも2~3メートルほどの長さだ。短い脚が4本あり、モケーレ・ムベンベの足跡とされるものも何度か目撃されているが、足跡は円形に近く、直径は30センチ以上で、3本の鉤爪の跡がついている。
基本的に沼や湖、川などの水中に暮らし、川から川へと移動していくとも伝えられている。ときおり陸に上がって、現地の言葉で「マロンボ」と呼ばれる野生の植物を食べるという。
実際テレ湖では、1983年のコンゴの動物学者マルセラン・アニャーニャの目撃をはじめ、何度か長い首を持つ巨大な生物が目撃されており、近年、テレ湖周辺でのモケーレ・ムベンベとの遭遇は増加する傾向にあるとの報告もある。
ところが、モケーレ・ムベンベの目撃の歴史やテレ湖との関係を子細に検討してみると、若干奇妙な点が見つかる。
まず、モケーレ・ムベンベという名称である。これは、コンゴの共通語であるリンガラ語で、「川をせき止めるもの」という意味だとされる。ところが、このリンガラ語という言葉が成立したのは、19世紀末にヨーロッパ列強がこのコンゴ地方に進出し、植民地と化した後のことなのだ。
この地方に進出したベルギー人やフランス人は、このあたりで広く話されていたボバンギ語を学んだが、その知識は不正確であり、交易に携わる者たちの間で、元の言葉に似ているが異なる言語に発展した。言語学でいう「ピジン言語」(異なる言語を話す者同士が意思疎通を図るために生みだされた混成言語)というやつである。この言葉を、1901年ごろ、キリスト教の宣教師たちが語彙(ごい)と文法を整備したのがリンガラ語である。つまり、リンガラ語は20世紀になって生まれた、半分人工の言語なのだ。
リンガラ語の成立が20世紀初頭だとすると、リンガラ語のモケーレ・ムベンベという名称も、この言語が成立して以降の比較的新しい命名ということになる。
実際、モケーレ・ムベンベらしきUMAに関する最初期の報告には、この言葉は登場しない。また、あくまでも記録に残されている限りという条件つきではあるが、モケーレ・ムベンベとテレ湖を関連づける報告も、比較的近年のものであることがわかる。
未知動物学の権威でもあるベルギーの動物学者ベルナール・ユーヴェルマンによれば、モケーレ・ムベンベらしき動物の最初の報告は、1776年にさかのぼる。この年、リーヴァン=ボナヴェンチュール・プロワイアール神父の一行がコンゴ地方のジャングルを進行中、周囲が90センチもある大型動物の足跡の列に遭遇した。足跡の間隔は2・1~2・4メートルもあり、鋭い爪痕が残されていたので、ゾウのものでないことは明らかだった。この報告にはモケーレ・ムベンベという名も、テレ湖も登場しない。
1880年には、トレイダー・ホーンことアルフレッド・アロイシャス・スミスが、カメルーン奥地の洞くつで、首と尾が長く、4本足の動物の壁画を見たと報告している。原住民によれば、この動物は「ジャゴニニ」と呼ばれていた。スミスはまた、フライパンのように大きな、3本の鉤爪のある足跡を残す「アマリ」という動物についても報告している。
モケーレ・ムベンベとジャゴニニやアマリとの関係ははっきりしないが、長い首と尾、鉤爪のある大きな足跡という似通った特徴から、同じ生物と考える者も多い。
そして、モケーレ・ムベンベという呼び名が最初に現れるのは、20世紀に入ってから、つまりリンガラ語が成立してからのことである。
1913年、ドイツはフォン・シュタイン・ツー・ラウシュニッツ男爵率いるカメルーンおよび西アフリカ中央部探検隊を派遣した。この探検隊の報告書に、モケーレ・ムベンベという呼び名が登場するのである。残念ながらこの報告書は公表されていないのだが、アメリカのウィリー・レイがその一部を翻訳している。それによると、ラウシュニッツ男爵の探検隊は、コンゴの特定地域、特にウバンギ川、サンガ川、イケレムバ川流域で非常に恐れられている動物について聞いた。詳しい場所は不明だが、こうした河川の位置から推測すると、テレ湖より南、現在のコンゴ共和国中央部になる。
この報告のモケーレ・ムベンベは、茶色がかったねずみ色の滑らかな皮膚をし、大きさはほぼ象程度か、小さく見てもカバくらい、首は長く、よくしなり、1本だけ生えている牙は非常に長いが角だという者もいるなど、現在に伝わる特徴が出そろっている。
さらに、テレ湖のUMAが初めて記録に登場するのは、なんと第2次世界大戦後になる。しかもコンゴからではなく、赤道ギニアからもたらされたものだ。この報告は、1958年から1959年にかけてフランス領赤道ギニアに駐在していたフランス人医師ピエール・ヌイヤンがとある原住民から聞いたもので、祖父の代から語り継がれた伝説として、テレ湖に怪獣が棲むと聞かされたというのだ。
前述のアニャーニャ博士以外にも、テレ湖で首の長い巨大な生物が目撃されたという報告がいくつかあるが、早稲田大学の探検隊が計測したところ、テレ湖の水深は平均1・5メートルほどで、深いところでも2メートルしかないという結果が出た。巨大な動物が潜むにはあまりにも浅すぎるようだ。
おまけに原住民によれば、モケーレ・ムベンベの好物とされるマロンボは、テレ湖周辺には自生していないという。アニャーニャ本人も探検隊に対し、もうモケーレ・ムベンベはテレ湖にいないと述べたという。
近年増加している目撃報告も、密林が開拓されて新しく移住してきた、野生動物についてほとんど知らない新参者の住民たちが、既知の動物を誤認したのではないかと解釈されている。
しかし、1981年のレガスターズの探検隊は、謎の生物が吠える声を録音して持ち帰った。声はアメリカで分析され、その叫び声はアフリカのジャングルに棲息する既知のどのような動物にも該当せず、明らかに未知の大型動物のもの、という結論に達している。
とすれば、当時まだモケーレ・ムベンベがテレ湖周辺に棲んでいた可能性も残る。現在テレ湖の水深が浅いのは、周囲の河川から流れ込んだ土砂が堆積したものとも考えられる。
一方で、従来の探検隊があまりにもテレ湖にこだわりすぎていたということもいえるだろう。モケーレ・ムベンベやそれに類似したUMAの目撃報告は、テレ湖だけではく、それ以外の河川、コンゴ中央部、カメルーンやガボンなどからも寄せられているのだ。
なにしろコンゴ盆地は広大であり、人跡未踏の地も多い。そうした場所をしらみつぶしに調査するのは極度に困難であるが、それだけに、太古の恐竜が密かに生き延びている可能性も高いといえるだろう。
●参考資料=『未確認動物UMA大全』(並木伸一郎著/学研)、『幻の恐竜を見た』(ロイ・マッカル著/二見書房)、『幻獣ムベンベを追え』(高野秀行著/集英社文庫)
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