広島の獣人UMAヒバゴンが50年ぶりに出現! 黒い大猿のような怪物を現地調査で追う

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    昭和45年に広島県比婆山に出現した獣人ヒバゴンが、令和に再び騒動を巻き起こしている。昭和、平成、令和をまたぐ山の神を追い、現地調査が始まった。

    広島県の比婆山に生息するUMAヒバゴン」

     2024年3月、広島県庄原市西城町にて、「謎の黒い大猿」の目撃情報が相次いで報告された。

     この地で「大きな猿」といえば、獣人UMAヒバゴンを連想せざるをえない。
     1975年のヒバゴン騒動の終息宣言からちょうど50年という節目の年に起きたこの出来事に、何か因縁めいたものを感じた私は、さっそく現地へ向かった。

    目撃者に主催中の筆者。

     ヒバゴンとは、広島県西城町に出現した獣人型UMAである。1970年7月20日、広島県北部と島根県との県境にある比婆郡西城町(現在は庄原市)の油木地区で最初に目撃され、以来、1975年の終息宣言の間まで、西城町では幾度も獣人の遭遇が相次ぐことになる。当時は住民からの相談やメディア対応のため、役場に類人猿対策係が設置されたほどの騒動だった。
     現場は国定公園に指定されている比婆山(標高1264メートル)の山麓に広がる地域であることから、比婆山にちなんで「ヒバゴン」と名付けられた。
     目撃証言によればヒバゴンは「ゴリラのような」見た目で、体長は約1.5から1.6メートル、逆三角形の顔立ちで、全身は茶色もしくは黒色の毛に覆われているという。調査資料として現場から足跡も採取されており、その多くが人間のものとされたが、中には明らかに人間ともサルとも異なる足跡も含まれていた。
     1974年8月に庄原市濁川町でヒバゴンらしきものの写真も撮影されたが、同年10月11日、濁川町の県道での目撃を最後に、ヒバゴンの「遭遇」情報は途絶えている。

    ーーこのあたりが簡単な基本情報だ。

     あの類人猿、獣人UMAはなんだったのか……そんな謎を残したまま消えたヒバゴンだが、現在では庄原市西城町のマスコットキャラクターとして、住民に親しまれている。町の各所にヒバゴンのイラストが描かれているほか、着ぐるみやグッズも作られているのだ。

    西城町観光協会HPでも「ヒバゴン」が登場している。https://sites.google.com/view/saijoutyoukankoukyoukai/ より。

     ところが50年ぶりに、西城町でヒバゴンが出現しているというのだ。
     複数の目撃証言があることから、「なにか」がいることは間違いない。

    「令和のヒバゴン」の目撃者たち

     西城町は広島県北部の山に囲まれた自然豊かな地域で、林業などが盛んだ。この町の奥地に住む男性A氏が、今回の「ヒバゴン再出現」の第一の目撃者である。

     A氏は2024年8月23日、昼の12時過ぎに自宅の玄関を出たところ、目の前の畑に黒くて巨大な猿がしゃがんでいるのを発見した。驚いてとっさに「おさるさん、おさるさん、何しよるん?」と声をかけると、その猿は60センチほどの高さの電気柵を軽々と飛び越え、畑の脇の道を使って山中へ逃げていったという。A氏は後を追ったがすぐに見失ってしまった。その時期の畑にはスイカ、ナス、トマト、熟していないブドウなどが栽培されていたが、現場にはトマトが2つ、かじられることなくそのまま残されていた。
     目撃者A氏はこの大猿の特徴について、こう語った。
    「立ち上がると175センチくらいあって、毛は長く、手足は細長い。全身真っ黒で、顔は赤くなかった。ニホンザルはよく見かけるが、それとは明らかに違うし、人間でもない」
     この目撃以降、この現場では黒い大猿は再び現れていないが、普通のニホンザルが頻繁に出没するようになり、農作物への被害(獣害)が増加。そのため、さらに高い電気柵が新たに設置されるようになった。当初、この話は身近な人だけに語られていたが、今年3月に住人が集まった際にふと話題となったそうだ。

    第一目撃現場の畑。
    第一の目撃で「大猿」が逃げていった道。

     唐突な「大猿出現」事件として話題になっただけでは、事は収まらなかった。その後、別ルートから新たに2件の目撃情報が寄せられたのだ。

     第2の目撃情報は匿名で提供され、直接の取材はかなわなかったが、「昨年8月ごろ、普通の猿とは明らかに違う、大きな黒い猿を見た」という証言だった。

     第3の目撃は、2024年9月。農業を営む男性が作業場から外に出たところ、近所の家から墓地へ続く坂道を黒い影が登っていくのを目撃。最初は近所のおばあさんかと思い声をかけたが、その影は逃げていった。よく見ると、それは大きな猿だったという。猿はそのまま坂を登り、姿を消していた。

    第3の目撃者の作業所。山奥でもなく、人家や工場などがある地域にヒバゴンが……!

    20年前に出現していた「平成のヒバゴン」

     もはや見間違いや勘違いなどではない。西城町に「黒い大きな猿」、そんな怪物が現れているのだ。
     ヒバゴンの再来について町の住人に話を聞いていくうちに、意外にも、知られていない過去の目撃情報も得られた。

     農業をしている男性が語ったところによると、20年前にヒバゴンと共通点のある怪物を二度、見かけたというのだ。証言をまとめると以下である。
    「帰宅途中に道端の壁に手をついて立っている人物を見かけた。知り合いのおじさんかと思って近づいたところ、体長150センチほどの、手足の長い黒い猿だった。また、昨年末の夜には、たき火の火に照らされているところを再び目撃した……」
     いずれの時も最初は人間かと思ったが、近づくとその姿は全身黒く、手足の異様に長い巨大な猿だったという。体長は約1.5メートルと、ニホンザルではあり得ないサイズで、特に手足が長い。ニホンザルや熊とは明らかに異なる特徴であり、なにより山間の西城町で暮らす住人が普通のサルと見間違えることはないだろう。

    「令和のヒバゴン」を取材していたところに「平成のヒバゴン」情報も出てくるとは……!

    昭和49(1974)年8月15日、比婆山連峰の懐にある広島県庄原市内で撮影された、ヒバゴンらしき生物の写真。

    姿を捉えろ! 現地で調査開始

     70年代当時のヒバゴンも、昨年の大猿のような怪物も、人を襲わず、作物の被害があるのみ。警戒心が強く、攻撃的ではない性質なのだろうか。
     1970年代のヒバゴン騒動時に「類人猿相談係」として対応にあたった恵木剋行さんは、「またヒバゴンが出てきてくれたことは嬉しい」と語ってくれた。町の人にとっては、山に潜む隣人のような存在なのかもしれない。

     西城観光協会の岡崎優子さんは、次のように語る。

    「ヒバゴンの目撃から55年という節目の年に、こうした不思議な情報が次々に寄せられています。証言者の皆さんがわざわざ嘘をつく必要はなく、その誠実さからしても、ただのサルとは思えません。これは“令和のヒバゴン”かもしれない、と胸が高鳴っています」

     岡崎さんは現在、土地所有者の許可を得て、目撃現場にカメラを設置し、撮影を試みているという。

    現地の岡崎さんは第一目撃現場にトレイルカメラを仕掛けた。

     50年の時を経て町のマスコットキャラクターともなった「ヒバゴン」と、今回出現したそれが猿のような生物だとすると、さすがに同一の個体ではないだろう。となれば比婆山には時折、巨大なサルが出現する――ヒバゴンの子孫、遺伝子を受け継ぐ獣人が誕生する、ということかもしれない。

     今後、“令和のヒバゴン騒動”がどのように展開していくのか、目が離せない。

    ↑大きな猿は現地では珍しくない? 今後の映像資料に期待だ。

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