800体の人骨が散らばるヒマラヤ「ループクンド湖」の未解決ミステリー! なぜ古代ギリシア人が… 最新分析で深まる謎
800体もの人骨が眠るヒマラヤの山上湖。その謎は、今も解明されていない――。1年の大半が氷に覆われた標高5000メートル地点で、いったい何が起きていたのだろうか。
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広大な中国の各地を縦横無尽に移動した男性の驚くべきストーリーが記録に残されている。既存の交通手段では不可能な速度の移動を、どうやって成し遂げたのか。彼によれば謎の兄弟の背中に乗って猛スピートで空を飛んだという――。
中国・河北省邯鄲市肥郷区の村で農業に従事していた当時21歳のフゥアン・ヤンキュー(Huang Yanqiu)は1977年7月27日、いつもと同じように農場での仕事を終え帰宅し、夕食後に眠りについた。
そして翌朝、彼は姿を消していた。家族や近所の人たちがあらゆる場所を捜したが、どこにもフゥアンの姿は見つからなかった。
10日後、上海の収容施設からフゥアンを迎えに来るようにとの手紙が村に届いた。驚くべきことに手紙は7月28日に出されたもので、つまり、フゥアンは半日もかからずに約900キロ離れた上海に移動していたことになる。普通に考えてあり得ないことだ。
村の代表者が上海に赴きフゥアンを連れ戻したのだが、本人から話を聞くと帰宅後、いつものように就寝したが、目覚めると高層ビルや車、ネオンが立ち並ぶ大都市だったという。「南京ショッピングセンター」や「南京レストラン」と書かれた看板を見て、780キロ離れた南京にいることに気づいたという。
フゥアンはショックを受けてさまよっていたところ2人の警官に呼び止められ、道に迷ったのだと説明した。すると、警官は列車で上海行くように指示し、渡された切符で列車に乗って上海に到着すると、待っていた警官に身柄を確保され収容施設に連行されたというのだ。
収容施設の看守を務めていた兵士にフゥアンは事情を話したが、自分の話を証明する手立ては何もなく、そもそも彼自身が自分に何が起こったのか理解できていなかった。しかし、この兵士はフゥアンを地元に帰らせるために尽力してくれたのだった。
そもそもフゥアンには村を離れようする考えはまったくなく、南京や上海を訪れたこともなければ話題にしたこともなかった。村人の中には彼が嘘をついていると考える者もいたが、どうやって南京まで移動したのか誰も説明できないままであった。
しかし、それから2か月も経たぬうちに再び同様のことが起きた。
1977年9月8日、収穫期の真っ最中にあってフゥアンを含む村の農民たちは連日の収穫作業で疲労が溜まっていることもあり、この日は早めに切り上げて帰宅し、皆早々に就寝した。
そして翌朝、フゥアンがまたもやいなくなっていることが判明した。村人たちの嫌な予感は的中し、フゥアンは前回同様、上海で発見されたのだ。
9月11日、フゥアンは帰宅したのだが、どうやってそこにたどり着いたのかは依然説明できないままであった。
フゥアンの話によると、真夜中に上海駅で目が覚めたという。9日の午前2時で、星と月明かり以外は辺りは真っ暗だった。この日は台風が上海を襲い、大雨、強風、雷が鳴っていた。どうやってここに来たのかわからず、助けを求める手段もなかったため、前回よりもさらに恐怖を感じたという。
突然、背後から声が聞こえた。
「こんにちは。肥郷区のフゥアンさんですね。砲兵隊へ向かおうとしているのですか?」
驚いたファンは振り返ると、軍服を着た2人の男がいた。彼らは前回に上海の施設でフゥアンを助けてくれた兵士と同じ部隊の兵士だと言い、フゥアンについての話を聞いているというのだ。
とりあえずフゥアンは当面はこの2人と行動を共にするしかないように思えたこともあり、上海の浦東にある砲兵部隊の基地に身を寄せることになったのだが、その後、どういうわけか2人は基地内にフゥアンを残したまま姿を消してしまった。
基地内で誰も知り合いがいなくなったフゥアンは、ある意味で当然だが不審者として身柄を拘束され、事情聴取を受けることになる。
基地の当局者はフゥアンの村の村長に連絡を取り、フゥアンについての詳細を聞き出したが、どうやらスパイである可能性も疑われているようで村長はショックを受けた。
しかし、最終的にフゥアンは単なる行方不明の農民であると見なされ、解放されて11日には村に戻った。それでも9月8日の夜に村にいたフゥアンが、9日未明にどうやって上海に移動したのかは謎のままだ。
ちなみに、フゥアンには婚約者の女性がいたのだが、今回の一件で婚約が解消され、しかも女性から訴訟を起こされてフゥアンと家族は損害賠償金を払うことを余儀なくされたという。
人生を大きく狂わせたフゥアンだが、なんと村に戻って10日も経たぬうちに、またもや行方不明となった。
1977年9月20日、長い一日の仕事を終えたフゥアンは帰宅の途に就いていたが、疲れ果てて家の前で倒れてしまったという。それから数日間、誰もフゥアンの姿を見ることはなかった。
そして9月28日、村人たちは村のナツメの木の下に倒れているフゥアンを見つけた。目覚めたフゥアンにどこにいたのか尋ねると、彼はさらに信じられない話を語ったのだ。
フゥアンによれば家の前で倒れてから目が覚めると、高級ホテルの一室におり、部屋には前回フゥアンを基地に連れていった2人の兵士がいたというのだ。軍服ではなく普通の服を着ていた彼らは、実は軍人ではなく山東省出身の兄弟であることを明かしてくれたという。そして、ここは甘粛省の蘭州市であると説明したのだ。
兄弟はフゥアンの“瞬間移動”に責任があることを認め、今回は国内各地の主要都市に連れて行くと告げた。
信じられないことに兄弟はきわめて高速で空を飛び回ることが可能で、彼らはフゥアンを背中に背負って広い中国の各地にひとっ飛びする中国国内“弾丸ツアー”を提供してくれたのであった。その旅程はフゥアンが憶えているだけでも以下の通りだ。
9月21日:北京、天津
9月22日:ハルビン(黒龍江省)
9月23日:長春(吉林省)
9月25日:福州(福建省)、南京
9月27日:西安(陝西省)
9月27日:蘭州に戻る
北京ではチケットを持たずに長安大劇院を訪れて「梁山泊」という京劇を観劇し、天安門広場を訪れ、特別な「紹介状」を使ってホテルにチェックインしたという。天津に飛んでからは映画館に忍び込んで映画を鑑賞したのだった。
飛行能力を除けば兄弟は普通の人間に見え、同じように食事や睡眠をとっていたが、しかし厳しいルールがあることもわかった。フゥアンは写真を撮ったり、記念品を持って帰ることは厳に戒められたのだ。なぜ自分にこのような体験をさせるのかについて尋ねても彼らは答えず、飛ぶ方法を教えてもらえるかと試しに尋ねてみると、彼らはきっぱりと「ダメ」と言ったのだった。
フゥアンのこの驚くべき“旅行記”は多くにとって信じられるものではなかったが、噂は自然に広まり、その後に地元警察、政府、さらには軍までもがフゥアンの調査を行っている。
すぐにフゥアンの話は中国全土で有名になり、国内で最も奇妙な未解決事件の一つと見なされることになった。政府はこの事件を公式に「原因不明」と分類したのである。
謎を呼ぶフゥアンの“瞬間移動”であり“旅行記”だが、いくつかの理論が提唱されている。
●夢遊病説:フゥアンがこれらの都市を旅行していたとき、夢遊病だったと考える者もいる。しかし意識がない状態でお金もないのに列車の切符を買い、列車を乗り換えて目的地に移動できるものなのか。医師はフゥアンの脳のMRIスキャンも実施しているが、その結果は正常であった。
●多重人格障害説:フゥアンは多重人格だったという説もある。この説では“兄弟”は実は彼自身の別バージョンであり、フゥアンは彼らと一緒に空を飛ぶことを夢想していたと考えられるという。しかし、精神衛生の専門家によればフゥアンにこの障害の兆候はないということだ。
●UFO説:いわゆるエイリアン・アブダクションであったとする説では、UFOによる高速移動で実際に各地を訪れているという。たとえば、ある記者が調べたところ、北京の長安大劇院で当該の日時に確かに「梁山泊」が上演されていたということだ。
●軍事実験説:軍が秘密実験のためにフゥアンを誘拐し、薬物を投与し、催眠術をかけ、記憶を消したり偽の記憶を植え付けた可能性が指摘されている。実験には高位の将校が関与しているため真実が明かされることはないという。しかし、実験台にできる囚人が大勢いるのに、なぜ無垢の農民を選んだのかとの疑問もあがっているようだ。
中国で最も有名な未解決事件の一つである本件だが、その後4度目の“瞬間移動”は起きていないようで、今のところ新たな進展はない。現在69歳のフゥアンは人目を避けて村で静かな暮らしを送っているという。
はたして“兄弟”が再びフゥアンの目の前に現れる日がやって来るのだろうか。そして4度目の“旅行”ではどこに行くことになるのだろうか。外国に行ってもよさそうなものだが、行先が中国国内に限定されている点も少し気になる。いずれにしても興味深い“瞬間移動”のエピソードであることは間違いない。
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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