イタリア古都上空に“物干し竿”タイプのUFO出現! 空宙で静止する奇怪な挙動に衝撃広がる
イタリア・ルッカの上空に現れた無気味な棒の正体は――!? 近年稀に見る貴重なUFO映像であるとの分析も!
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1954年、観客が詰めかけたサッカースタジアム上空にUFOが飛来し、謎の物体をまき散らした! 知られざるイタリアUFO事件を紹介しよう。
1954年、イタリアのトスカーナ州フィレンツェで行われたサッカーの試合中のことだ。スタジアム上空にUFOが現れ、選手や観客の大観衆が目撃する中、大量の「エンゼルヘア」を降らせながら飛び去ったーー。未だにイタリアスポーツ史およびUFO史に名を残す事件として語り継がれている。そして多くの信頼に足る目撃者と物証が残った珍しい事件でもある。
現場となったスタジアムはスタディオ・ジョバンニ・ベルタ (現在のスタディオ・アルテミオ・フランキ) 。2度のワールドカップ開催を始め、デビッド・ボウイやマドンナのコンサート、そして第2次世界大戦中にアメリカ軍が士気向上のために行ったアメフトの試合(通称スパゲッティボウル)の開催など、豊富な歴史を持つスタジアムだ。そんな歴史の中に、この奇妙なUFO事件も刻まれている。
近年になって明らかになった新事実も含め、このハイストレンジネスな事件の全容を追ってみよう。
1954年10月27日、スタディオ・ジョバンニ・ベルタでは、ホームチームのフィオレンティーナと地元のライバル、ピストイェーゼの一戦が行われていた。
試合はフィオレンティーナの優勢で前半を終え、ハーフタイムが終わるまでは通常通りだった。
だが後半戦が始まる頃、1万人の観客の間から大きな歓声が上がった。
それはサッカーのプレーによるものではなかった。観客たちの目は空に向けられていた。
突如、卵型の物体が雲の中に現れ、白あるいは銀色の糸状の物質を撒き散らしながら飛行していたからだ。その物体は15分ほど上空を舞い、人々を翻弄した。
この異常事態に選手たちもプレーを止め、空を見上げたという。
フィールドには1954年のワールドカップにも出場したフィオレンティーナのレジェンド、アルディゴ・マグニーニも居た。彼は2014年、イギリスのBBCのインタビューに「物体は銀色で卵型。銀色の雨を降らせながら空をゆっくりと横切った」と答え、60年以上前のショッキングな事件を「AからZまですべて覚えているよ」と言う。
銀色の雨に見えたものは、いわゆるエンゼルヘアと呼ばれるものだろう。UFOや聖母マリアの顕現と共に空から降るとされる、謎の白い繊維状の物質のことだ。
この現象はスタジアムの中だけで起きたことでは無かった。当日、トスカーナ州の広範囲で、この卵型の物体が目撃されていたのだ。目撃者の報告は様々で、形は「葉巻型」だという声や、動きは速かったという者もいる。スタジアムとその周辺は、卵型の物体がまき散らしたと思われる白い糸状の物質に覆われた。奇妙なことにそれは暫くすると消失してしまったという。
フィレンツェを拠点とし、UFO事件を扱うこともあった地方紙『ラ・ナツィオーネ』は事件をいち早く報道している。同紙の記者だったジョルジョ・バティーニは脱脂綿やクモの糸のような、触れると消えるエンゼルヘアを採取し、それをフィレンツェ大学の化学分析研究所に持ち込み鑑定した。
分析結果は「ホウ酸、ケイ素、カルシウム、マグネシウム」。放射性でも可燃性でもないと結論づけられた。他にも鑑定された物質が存在したようだが、やはりテスト中に崩壊してしまったという。
事件はすぐに宇宙人と関連付けられ、噂になった。というのも、1954年は世界的にUFOの目撃が増えた年だったからだ。また、H.G.ウェルズ原作の映画『宇宙戦争』がイタリア国内で公開されたのもこの年である。それ故、この事件が話題になったのは必然であったと言える。
果たして謎の飛行物体は、そしてエンゼルヘアは何だったのか?
元空軍パイロットで天文学者のジェームズ・マクガハは、クモによる「バルーニング」という現象であったという説を唱えている。
バルーニングとは、ある種のクモの幼体が糸を吐き出し、それを帆のようにして空を舞って移動する行動のことだ。多数のクモの巣が連結し、空に大きな塊を作ることがある。事件の時期は、丁度クモの渡りの季節であった。マクガハは、大きなクモの巣の塊が太陽光を反射しUFOに見えたのだと考えた。これは飛行物体とエンゼルヘアを同時に解決できる説だ。
だがイタリアで著名なUFO研究家であるロベルト・ピノッティは、このクモ説に懐疑的だ。クモの糸はタンパク質がベースであり、エンゼルヘアの分析結果と矛盾するからだ。彼はこんなことを言っている。
「当時の新聞は火星から来た宇宙人のことを伝えていた。もちろん、今ではそうではないことはわかっている。しかし、これは知的で技術的な現象であり、私たちが知っている地球上のものとは結びつかない現象であったと結論づけることができるだろう」
筆者は、このエンゼルヘアはガラス繊維、グラスウールの類いでは無いかと考えている。なにより分析結果と矛盾がないし、グラスウールが工業材料として使われ始めたのは第一次世界大戦の頃で、時代としてもあり得る。
また、事件がハーフタイム後に起きていることに注目したい。ハーフタイムに飛んでいた宣伝用の飛行船やバルーンなどに使われていたグラスウールがゆっくりと落下したのではないだろうか?
だが、エンゼルヘアは短時間で消失したと言われている。それが事実であればこの説の可能性は否定される。
事件は近年まで謎に包まれていた。だが2014年、イタリアの超常現象を調査する団体CICAPによって突如、解決に近づいた。
彼らの唱えた説は意外なものだった。なんと米軍の軍事訓練の影響だというのだ。
調査によれば、事件が起きた週には、アメリカ海軍の空母レイク・シャンプレインがリボルノ港に停泊しており、海軍の航空部隊である第84戦闘飛行隊による軍事訓練がトスカーナ近郊で行われていた。
10月21日から27日まで行われた訓練では、レーダーの電波を反射する物質を雲のように空中に散布することで敵の標的システムを妨害するチャフ (chaff) が使用されていた。珪石などの鉱物を原料とした人造繊維 (ロックウール) などを含むチャフは、おそらく空中で太陽光の反射を引き起こし、地上の目撃者からは飛行物体と誤認された可能性が考えられるという。そしてこれらの人造繊維は脆く、触れると容易に粉砕してしまう。
まさにエンゼルヘアではないか。
だが、当時ピッチに立っていた目撃者達は、この説にも納得しない。
エンゼルヘアについては物証がありながら確証に至る説はなく、そしてそもそも「卵型の物体」の正体が不明なままなのだ。
ピストイエーゼの選手、ロモロ・トゥチとロナウド・ロミは、あれが宇宙人による仕業だったことを疑っていない。トゥチは特に、この事件の目撃者であったことを幸運に思っていると語る。
「私はとても興味をひかれ、とても幸せに感じた。当時は誰もがエイリアンやUFOについて語っていた。そして私は実際にそれらを直接見るという経験をしたのです。私たちはスタジアムにいて、物体を見ました。本当に素晴らしい光景だった」
フィオレンティーナのファンの一部も、事件を特別なこととして捉えたようだ。事件発生の1年後、フィオレンティーナが強豪チームのACミランを破り、初めてイタリアのトップリーグであるセリエAで優勝したとき、この事件はさらに大きな意味を持った。ファンたちはこう考えた。
「あの時、宇宙人は地球上で最も優れたサッカーチームの試合を、どうしても観戦したかったのだ」ーーと。
戦争を経験し、宇宙が今以上に遠いものだった70年前の人々にとって、空を眺めることは、現代の我々とはまた違う意味合いを持っていたことだろう。事件の原因がUFOであれ、科学的に説明がつく何かであれ、当時の人々の好奇心をくすぐる大事件であったことは間違いない。
参考
https://trigger-the-press.com/ufo-fiorentina-football-match-36084
https://www.sportshistoryweekly.com/stories/italy-soccer-world-euro-cup-fiorentina,1220
https://thesefootballtimes.co/2020/04/21/the-eye-in-the-tuscan-sky-the-day-a-ufo-sighting-stopped-a-fiorentina-match
https://www.bbc.com/sport/football/20917594
https://www.bbc.com/news/magazine-29342407
https://lecorner.org/quand-des-ovnis-interrompent-un-match-de-la-fiorentina/
オオタケン
イーグルリバー事件のパンケーキを自作したこともあるユーフォロジスト。2005年に発足したUFOサークル「Spファイル友の会」が年一回発行している同人誌『UFO手帖』の寄稿者。
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