米ロードアイランド州の川岸に「謎の石板」が出現! 先住民の遺物かオーパーツか?
ずっと前からそこにあったモノなのだが、あらためてよく見てみると不可解極まりない――。加工された謎の石のオブジェに、米ロードアイランド州の住民が頭を悩ませているようだ。
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病気とは無縁の心身壮健な騎馬警察官が、極めて不可解な「タイムスリップ」を体験していた。19世紀末のカナダの大自然の中で起きた、説明のしようのない”奇妙な出来事”とは――!?
イギリスのハンプシャーで生まれたセシル・エドワード・デニー(1850~1928)は、1874年にカナダに渡ると、当時創設されたばかりの北西騎馬警察に入隊した。やがて警部補まで昇進した彼は、1884年に西部に暮らす先住民たちの統括責任者に任命された。
1874年から1875年の冬の間、カナダ・アルバータ州南部にあるフォート・マクラウドに滞在していた彼は、この未開の地での多くの冒険について詳細な日記とメモを取り、後に著書『The Riders of the Plains: A Reminiscence of the Early and Exciting Days in the North West』にまとめている。
同著の「A Strange Adventure(奇妙な冒険)」と題された章で、デニーは1875年の夏に経験した奇妙なタイムスリップ体験について述べている。
アルバータ州レスブリッジ近く、オールドマン川の周囲でキャンプをして、釣りと鹿狩りを楽しんだ後、デニーは帰路に就いた。
彼はゴムボートで川を順調に下っていたが、正午ごろから天候が危うくなり、厚い雲が空を覆い、遠くで雷鳴が轟きはじめた。
強風でボートの制御を失ったデニーは川に落ちてビショ濡れになったが、帰路はまだ半分以上もあり、できるだけ早く山を下りるべくボートを進めるしかなかった。しかし、雨風は強まり、そのうち完全に嵐となった。
川のカーブを過ぎた場所の南岸に茂みが見えたことから、デニーは陸にあがって避難し、嵐をやり過ごすことにした。
しばらくすると、嵐の猛威が一瞬静まり、静けさの中で太鼓のメロディーがはっきりと聞こえた。先住民の村が近くにあるのは明らかで、そこに行って嵐が過ぎゆくまで身を寄せることができるかもしれないとデニーは考えた。
ボートを引き上げて岸辺に縛り付けて固定すると、銃を手に取ったデニーは森の中をできるだけ早く進み、今やはっきりと音が聞こえてくる村の場所へと向かった。
嵐は再び激しくなり、近くに落ちた雷の閃光は目がくらむほどだった。できるだけ足早に移動したデニーは、かなり広い空き地に出た。そこから200メートルほど先に、先住民が暮らす小さな村が見えた。
そこには、おそらく100人ほどの先住民が暮らす小さな村の光景が広がっていた。
テントの間を動き回っている男性や女性、さらには子供たちの姿も見えた。デニーが奇妙に思ったのは、多くのテントの出入口が開いていて、中の囲炉裏の明かりが見えていたことだ。先住民は通常、雷雨を非常に恐れ、雷雨の間はテントの出入口を閉めきり、めったに屋外には出ないのである。
村には約20張のテントがあり、小屋が並ぶ反対側の広場では馬の一群が草を食んでいた。
しかし、彼が一番近いテント小屋に向かって数歩進んだところで、ひときわ大きな稲妻の閃光がスパークし、近くの巨木に落ちて幹を真っ二つに引き裂いたのだった。そして地面を伝わってきた大電流に感電したデニーは気絶してしまう。
束の間、地面に倒れていたデニーは幸いにも身体に異常はなく、すぐに気を取り直すと立ち上がった。そして辺りを見回してみると、なんと村は跡形もなくなく消え去っていたのだ。静かに草を食んでいた馬の群れも消えてしまった。いったいどういうことなのか。
呆然と立ち尽くしていたデニーだったが、その後に圧倒的な恐怖感に襲われ、この場を離れずにはいられなかった。途中で銃を落としたが拾い上げる精神的余裕もなかった。
高台に出てからもう一度村があった場所を見下ろしてみたが、やはりそこにはテントも人影もなかった。嵐は続いていたが、デニーは結局そのまま24キロほど歩いて営舎に戻ったのだった。
彼が営舎に着く頃には嵐は収まり、空は晴れてきたが、疲労困憊のデニーは到着するなりすぐにベッドに横になった。
翌朝、デニーは朝食時に3人の士官仲間に昨日起きたことを話したが、幻覚を見たのだと笑われただけだった。
数日後、デニーは先住民のブラックフット族の者を連れて、謎の村があった場所に行ってみることにした。近くを流れる川が独特なカーブを描いている場所だったので難なく行くことができたが、やはりそこに村の痕跡はなく、不気味に静まりかえっているだけであったのだ。デニーは落とした銃とボートを回収した。
地元の先住民に聞いてみると、何年も前にブラックフット族がその場所でクリー族のキャンプを襲撃して虐殺したのだと説明された。デニーが辺りを調べてみると、草の中に横たわっている2体の人間の白骨が見つかった。虐殺された者の遺体だとすれば、かつてここに村があったことになる。
デニーはあの嵐の日、ここに村があった時代にタイムスリップしたのだろうか。
現在理解されているタイムスリップとは、個人またはグループが短期間、別の時代を体験する超常現象のことである。タイムスリップは突発的に発生することが多く、体験した人は混乱した気分になる。
しかし、このタイムスリップは超常現象ではないという説もある。特定の場所や感情状態によって引き起こされる幻覚や鮮明な記憶である可能性や、電磁気異常などの独特の環境条件が揃い、それが人間の時間の認識を歪めたり、時間の流れを局所的に変えたりする可能性も取り沙汰されているのだ。
デニーの事例のように、激しい嵐が錯覚を引き起こしたり、独特の大気条件が一時的に認知機能に影響を与えた可能性もありそうだ。また、心理学的な説明としては、激しい嵐という過酷な状況下にあって、デニーの精神が現在の現実から一時的に逃避し、願望を通して周囲を解釈してしまうという解離症状の可能性もあるという。
しかし、いずれにしてもデニーにとってこの体験は唯一のものであり、彼はそれまで幻覚を見た憶えもなかったようだ。
“タイムスリップ”という用語も概念もなかった当時、デニーにとっては「説明不可能な謎」以外に解釈のしようがなかった。大きな謎を胸に抱えたまま、デニーは1928年に77歳で亡くなっている。はたして天国でこの謎は解けたのだろうか。
【参考】
https://anomalien.com/sir-cecil-edward-denny-and-his-story-of-possible-time-slip/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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