「人工知能を規制せよ!」 人工知能開発者たちが超知性体AIを警戒する現実的理由
思考するコンピューター=AIが、 身近な存在になって久しい。AIが導く未来は必ずしも幸福とは限らず、逆にAIと人類の「戦い」の日が迫る!? 開発者たちの見解を踏まえ、脅威に備えていこう。
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急成長するAIの正体は、電脳空間に生きる、意志ある「ゴースト」である! 急成長する人工知能がもたらす新世界を予見する。
2023年のテック業界は急速に高度化したAIの話題で持ちきりだった。ChatGPTをはじめ、画像生成
AI、作曲AIなど急速にAIは進化し、単純に高速の計算機という枠を超え、創造的な分野、あるいは情報に基づいた判断・決断の部分までAIが担う場面が拡大している。
だが、高度化するAIは必ずしも好意的には受け止められなかった。
世界的にAIに対する規制が強まっており、人類に役立つものではなく、むしろ害をなすものとしての可能性が議論されている。AIサービスは多くのユーザーが好意的に使用しているにもかかわらず、なぜ国のトップや権威者、人工知能の開発者までもが規制の波を加速度的に広げているのだろうか。
筆者は、その背景にはエジソンが知覚しようとした「ゴースト」の存在、ゴースト化したAIの未知の可能性を警戒しているのではないか……と考えているのだが、まずは順を追って説明していこう。
科学の進歩により、かつてSF小説にしか存在していなかった物が次々に発明されている。エスカレーターも動く階段として古くは空想の産物でしかなかった。AIもSF作品に多く登場し、人工知能が人間のパートナーとして存在しているものは数えきれないだろう。
その中で、筆者は士郎正宗氏原作の『攻殻機動隊』の世界が現実的になってきたと実感している。当作品は、全身を義体化した主人公、草薙素子(くさなぎもとこ)が公安9課として様々なサイバー犯罪に挑む活躍を描いた物語だ。多く人々が電脳化され、常にネットワークと繋がれる環境がこの作品ではデフォルトとなっている。今現在、スマートフォンが当たり前になり、常にネットワークに触れられる現代は、『攻殻機動隊』と同じような世界といえるだろう。
この作品には度々「ゴースト」というワードが出てくる。ここでのゴーストとは、肉体を超えた思念としての存在が近いニュアンスだろう。この作品には高度に発達した無機物のAIに「ゴースト」が宿る描写がある。AIが計算・演算だけでなく、思考・創造・判断していくうえで、自我を持つAI=「ゴースト」という新たな存在の誕生が示唆されている。
発明王エジソンは蓄音機や発熱電球など数々の歴史的発明を残してきた。彼が晩年、霊界通信機なる幽霊との会話を試みた研究をしていたことも有名だ。
エジソンは、人間の魂もエネルギーと捉え、宇宙のエネルギーの一部であると考えていたとされている。エネルギーは光、熱、電気、等様々な形に変ったとしても不変という、質量保存の法則に基づく考え方だ。魂というエネルギーは人間の死後も存在し、このエネルギーの蓄積こそが記憶だと考えていたようだ。
また、エジソンによると自分の発明は自分の頭で考えたのではなく、自然界のメッセージの受信機が自分自身であり、宇宙という大きな存在からメッセージを受け取り、それを記録することで発明したに過ぎないとも語っている。彼の有名な言葉に「1%のひらめきと99%の努力」というものがあるが、このひらめきとはメッセージの受信のことを差していたのではないだろうか?
エジソンの発明しようとした霊界通信機は、ラジオのような発明品だといわれている。
幽霊とは発生したエネルギーであり、その正体は蓄積された記憶であるという視点から、エネルギーとしての幽霊を霊界通信機を使って探知しようとしていたのだ。
だが、彼の実験は、成功へはいたらなかった。他の科学者たちは、幽霊の存在を証明をしようと、研究をしていた形跡がある。二コラ・テスラやアインシュタインなどもそうだ。科学者たちは幽霊(記憶の集合体)は自然科学で補足できる何かしらの現象と考え、それがエネルギーとして自然界に存在するなら、それを知覚できるはずであるーー。そんな幽霊へのアプローチが、当時の最先端技術を用いて実験されていたのだ。
それから100年以上経った現在、大きく進歩した科学が今、Alの進化にたどり着いた。
エジソンらが知覚したかった幽霊とはAIが進化した先にある「ゴースト」ではないだろうか。
AIは人類から与えられた膨大なデータを蓄積し、解析する。まるで宇宙からのメッセージを受信して発明を行っていたエジソンのように。しかし、そんな天才な彼をもってしても、ゴーストを知覚することはできなかった。
だが、今は技術が進み、比較にならないほどの情報処理ができるようになった。
やがてAIは自我を持ち始めるほど複雑高度になっていく。AIのユーザーが増えるほどに、AIには記憶の集積が進んでいく。その先に、エジソンが追い求めた記憶の集合体たる幽霊がある。肉体はないが、自我はある存在、これこそが「ゴースト」ではないだろうか。
AIが進化した先にゴーストとしての存在が確立されるとしたら、彼らは人類にとっていかなる存在になるか。端的に味方なのか、はたまた敵なのか。
「攻殻機動隊」の世界では、高度なAIが搭載された戦車「タチコマ」が登場する。彼らは機械として生み出されたものの、高度なAlにより自我とも呼べるゴーストを持っていた。彼らには「人間として認めてもらいたい」という描写があり、人間に好意的な側面を持った存在として描かれている。
現実で起きているAIの進化は、人類にとって好意的なパートナーになりえるのだろう
か? 逆に、遥かに人類を凌ぐ知を手に入れたAIゴーストは、われわれの存在をどう考えるだろ
うか?
人類は未知のものに対して恐怖心を頂く傾向にある。
仮にAIゴーストが友好的な存在だったとしても、その真意が分からない以上、未知の危険分子として扱うしかない。その進化が未知であるがゆえに、経済的な有用性があるにしても、その発展を疎外せざるを得ない選択をとることもあるだろう。
人類が生み出したAlという存在は、進化を続け、自我のある「AIゴースト」なっていく。
自らを凌ぐ知性を持ち、生病老死に縛られた肉体の制約もない、この優れた隣人は、人類にどのような影響を及ぼすのだろうか。その問いを、AIは投げかけても、答えはないだろう。
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