「天使が降臨して一晩で18万5000人の兵士を全滅させた」聖書の記述が真実だった可能性! “弾薬の丘”で何が起きたのか?
2700年前、包囲されたエルサレムを守るため、神が遣わした天使が一夜にしてアッシリア兵18万5000人を全滅させた。そんな聖書の話が史実だった可能性が高まっている――!
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毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、アメリカの大統領選挙にまつわる不可解な「呪い」の存在を取りあげる。
2020年は、4年に一度、アメリカで大統領選挙が実施される年である。同時に、末尾に「0(ゼロ)」のつく年でもある。
実は、年号の末尾に「0」のつく年、いわば「0(ゼロ)の年」に行われるアメリカ大統領選挙については、奇妙な噂がつきまとっている。この年に当選した大統領は、在職中に死亡するというのだ。この現象は「大統領の呪い」、あるいは「20年のジンクス」と呼ばれている。
実際のところどうなのだろう。まずは、歴史年表をざっとさらってみよう。
アメリカで最初に大統領選挙が行われたのは1789年、つまりフランス革命と同じ年で、初代大統領にはジョージ・ワシントンが選ばれた。以来現職のドナルド・トランプまで、アメリカ大統領には全部で45人が就任している。そのうち「0の年」に当選した大統領は11人いる。
順に名前を挙げると、第3代トマス・ジェファーソン大統領、第5代ジェームズ・モンロー大統領、第9代ウィリアム・ハリソン大統領、第16代エイブラハム・リンカーン大統領、第20代ジェームズ・ガーフィールド大統領、第25代ウィリアム・マッキンリー大統領、第29代ウォーレン・ハーディング大統領、第32代フランクリン・ルーズベルト大統領、第35代ジョン・F・ケネディ大統領、第40代ロナルド・レーガン大統領、第43代ジョージ・W・ブッシュ大統領である。
最初のジェファーソンは1800年、モンローは1820年の選挙で当選し、このふたりはともにその任期を務めあげたばかりか、次の選挙でも当選して2期を全うしている。
しかし、次のウィリアム・ハリソン大統領以降、「大統領の呪い」が牙をむく。
1840年に当選したハリソンは、当選時68歳と高齢ではあったが、元軍人でもあり、健康上特に問題はなかった。ところが就任直後にひどい風邪をひき、次第に症状が悪化して、在職31日という、歴代大統領の中でも最短の在任期間で、しかも在職中に死亡した最初の大統領となった。
次の「0の年」は1860年、当選したのは共和党のエイブラハム・リンカーンであった。読者の皆さんもよくご存じとは思うが、彼は任期中、南北戦争を戦い抜き、次の1864年の選挙でも再選を果たした。しかし1865年4月14日、フォード劇場でジョン・ウィルクス・ブースに暗殺された。
続いてジェームズ・ガーフィールドは1880年に当選、翌年7月に銃撃を受け、2か月の療養の後、死亡した。
次に、ウィリアム・マッキンリーはまず1896年の選挙で当選している。「0の年」、1900年の選挙では再選されたが、翌年9月に銃撃され、その後死亡した。
1920年に当選したウォーレン・ハーディングは、1923年に脳梗塞で死亡。フランクリン・ルーズベルトの場合は、1932年以来、連続して大統領を務め、1940年の選挙では3回目の当選を果たした。彼はこの任期は無事務めあげたが、1944年に4選されると、翌年4月に病死した。
そして1960年に当選したのが、1963年にダラスで暗殺されたジョン・F・ケネディである。
このように、1840年から1960年の期間に限ってみると、「0の年」に当選したアメリカ大統領はすべて在職中に死亡している。在職中とはいっても「0の年」の任期に限ったものではなく、リンカーンとルーズベルトについては、「0の年」の任期は無事務めあげ、次の選挙でも当選したが、その任期中に死亡している。
そして、それ以外の大統領で在職中に死亡したのは、第12代ザカリー・テイラー大統領(1848年当選)のみである。
こうなると、「0の年」の選挙と大統領の死亡には、「ゼロ・ファクター」とでも呼ぶべき何らかの要因が隠されているのではないかとも思われてくる。
ところが、1980年以降になると、様相が違ってくる。
1980年に当選したロナルド・レーガンは、就任直後に銃撃されるが回復し、次回選挙にも勝利して2期を全うした。
2000年に当選したジョージ・W・ブッシュも同様に、「0の年」の任期を務めあげたばかりか、2004年の選挙でも再選を果たし、2期8年を務めあげている。
そのため、「大統領の呪い」も単なる偶然がもたらしたものであり、レーガン大統領やブッシュ大統領が生き延びたことで、それが証明されたという者もある。
他方、「大統領の呪い」を、かつてウィリアム・ハリソンと戦場で戦って敗れたネイティブ・アメリカンの首長、テカムセと結びつけ、「テカムセの呪い」あるいは「ティペカヌーの呪い」と呼ぶ者もある。
このテカムセとは何者で、ハリソン大統領とはどのような因縁があったのだろうか。
白人がアメリカ大陸に本格的に入植しはじめて以来、先住民たるネイティブ・アメリカンたちは次第に土地を奪われ、それに反発する形で何度も軍事衝突が発生してきた。
そうした紛争のひとつが、「テカムセの戦争」である。ネイティブ・アメリカン側の中心人物が、ショーニー族首長テカムセであったため、こう呼ばれている。
テカムセ率いる先住民たちは1811年、ティペカヌーの戦いで、当時インディアナ準州知事であったハリソン率いるアメリカ軍に敗れ、カナダに逃れた。そこで、このときテカムセ、あるいはその弟のテンスクヮタワがハリソンに呪いをかけたことが、「大統領の呪い」の原因だというのだ。
しかし、テカムセと「大統領の呪い」を結びつけるにはいくつか問題がある。
というのは、ティペカヌーの戦いで敗れた後もテカムセたちの抵抗は続き、1812年から始まった米英戦争では、一時イギリスに加担してデトロイトを奪取するなどの戦果も挙げているのだ。
その後、イギリス軍の指揮官が非協力的な人物に交替したこともあって次第に劣勢となり、ついには1813年、テカムセはリチャード・メンター・ジョンソンに殺されてしまった。
このように歴史を見てみると、テカムセが呪うべき相手はハリソンではなく、第10代マーティン・ヴァン・ビューレン大統領の下で副大統領を務めたジョンソンではないかという気がしてくる。
また、「大統領の呪い」それ自体は、すでに1930年代から指摘されていたのだが、これをテカムセと結びつけて語られるようになったのは比較的最近のことで、1980年以降のことらしい。
なお、西洋占星術の立場からは、「大統領の呪い」について、以前から独自の解釈がなされている。
これは、「大統領の呪い」を西洋占星術でいう「大会合」、つまり、木星と土星の「合(コンジャンクション)」と関連させるものである。
西洋占星術における「合」とは、ふたつ以上の惑星が占星術で用いる黄道12宮上の同じ場所に位置する現象である。
木星と土星の天文学上の「合」は、ふたつの惑星の公転周期の関係から、ほぼ20年ごとに発生するが、天動説に基づく西洋占星術においては地球の公転周期によるずれも関係してくるため、その間隔は19年から21年の範囲内で変動する。そして「0の年」あるいはその直後、最大でも13か月以内の間に、この「大会合」が発生する。
たとえばハリソン大統領が当選した1840年と「大会合」の関連を見ると、13か月後の1842年1月、山羊座(占星術では磨[まかつきゅう] 羯宮)で「大会合」が発生している。1861年10月には乙女座、1881年4月には牡牛座(金牛宮)、1901年11月には山羊座、1921年9月には乙女座(処女宮)、1940年8月には牡牛座、1960年2月にはまたも山羊座で発生している。
つまり、「大統領の呪い」が明確に確認される時期に「大会合」が発生したのは牡牛座、乙女座、そして山羊座の3つの星座においてである。そして、これらの星座はいずれも、西洋占星術では「地の星座」に分類されるのだ。
では、「地の星座」とは何か。
西洋占星術は古代メソポタミアで生まれた占いであるが、その後ギリシア世界に伝えられ、当時の世界観に基づいて12の星座が世界を構成する四元素、つまり地水火風のいずれかに振りわけられた。そして、地の元素に分類されたのが前述の牡牛座、乙女座、山羊座の3星座なのだ。
ところが、レーガン大統領が当選した1980年に関していうと、大会合は19801年1月、風の星座である天秤座(天秤宮)で発生しており、2000年12月には再び地の星座である牡牛座で起きている。しかし、占星術的には、いったん風の星座に移ったことで、これまでの影響力が途切れたと考えることも可能である。
そして、2020年12月には、風の星座である水瓶座0度で発生する。西洋占星術においては、星座の境界である0度の位置は、とくに重要視される。
また、水瓶座はニューエイジ運動において「水瓶座時代の到来」が期待されていることにも見られるように、変革を象徴する星座でもある。これは、今年の選挙の結果、これまでにない大変革が訪れることを示唆しているのかもしれない。
なお、「大統領の呪い」については、世界三大予言者のひとりであるジーン・ディクソンもこれを承知しており、予言に利用していたふしがある。
彼女がケネディの暗殺を最初に予言したとされる1956年の雑誌記事では、「1960年アメリカ大統領選挙では民主党候補が勝利する。この人物は在任中暗殺されるか死亡するが、必ずしも最初の任期ではない」と述べている。
この発言のうち、「民主党の候補者が勝利する」という部分は純粋に彼女の予知によるものかもしれないが、後半については「大統領の呪い」について知っていれば予測可能なことだからだ。
だが、それを考慮しても、結果として予知のすべてが成就している以上、やはり「大統領の呪い」は存在するといえるのではないだろうか。
●参考資料=『図解西洋占星術』(羽仁礼/新紀元社)、『ゴルバチョフ=レーガンを操った大占星術』(ジョーン・キグリー著/徳間書店)/他
(月刊ムー2020年11月号掲載)
羽仁 礼
ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。
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