ギザの大ピラミッドは「積み上げられたのではなく削り出された」!? 建造の謎に迫る画期的新説に注目

文=仲田しんじ

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    建造方法が解明されていないギザの大ピラミッドだが、あの巨大な四角錐は組み上げられたのではなく、「削り出された」とする説がある――。

    謎多きピラミッドの建造方法

     古代エジプト研究の進展によりギザのピラミッドについて多くの新事実が判明してきたが、いったいどうやってこれほど巨大な建造物を作ることができたのか、依然として確かな答えは得られていない。

     紀元前2550年頃に建てられたギザの大ピラミッドは約230万個の石材で構成されており、高さは約150メートルで40階建てのビルにも相当する。現在有力視されているのは、ナイル川の水運で運ばれた石材を傾斜路(直線または螺旋状)に乗せ、ソリやロープで引っ張るか丸木で転がして移動させ、積み上げるという手法だが、不可解なのはそうした作業の痕跡がほとんど残されていないことだ。

     その建設に関わったのは貧しい者や流れ者、あるいは奴隷たちであったという説が長く信じられてきたが、現在は否定されている。建設作業に従事した労働者は高い技術をもち、たっぷりの食事と高額の給料を受け取っていたことが記録から判明したのだ。一説では2万人にのぼるともいわれる作業関係者は、現場付近に建設された仮設の集落に住み込んで高い結束力のコミュニティを築き、1つのピラミッドを約20年かけて完成させていた可能性があるという。

     こうした記録が残されている一方、なぜか具体的にどのようにピラミッドを建造したかについての記録は発見されておらず、現在も真相は闇の中である。古代エジプト人はピラミッド建造の秘密を隠すため、わざと記録に残さなかったとする説もあるほどだ。ピラミッド建造法は門外不出の秘伝だったのだろうか。

    頂上から下へ削り出されたのか?

     そして今、韓国の在野研究者であるフニ・チェ氏が唱える独自理論が、建築系YouTuberのダミ・リー氏に取り上げられたことで新たに注目を集めている。なんとチェ氏は、ギザの各ピラミッドは前の構造物の廃棄石材を再利用する「犠牲的構造物」の循環システムにより建設されたと主張しているのだ。

     チェ氏は、ピラミッドはもともと「過剰に建造された」と考えている。まず最初に、運んできた石灰岩を積み上げ、緩やかなスロープ構造をもつ超巨大な台形の山が築かれた。そして次に頂上を決め、上の方から順に、角度を正確に測定しながら四角錐のシルエットを削り出していったというのだ。この方が正確な四角錐を形成しやすく、逆に言えば積み上げていく方法であの大きさの正確な四角錐を形成するのは至難の業であるという。

    画像はYouTubeチャンネル「DamiLee」より

     ギザにはクフ王のピラミッドをはじめとする 三大ピラミッドと、その周囲に王妃や家族のために建てられた「衛星ピラミッド」と呼ばれる小さなピラミッドがいくつか並んでいるが、各ピラミッドの建設中に発生した削りくず(約200万トン)は廃棄されず、次のピラミッドの建築材料として再利用されたという。余剰の石材や建築資材が残されていないのもそれが理由であるという。

     そして、そもそもギザの台地全体が1400万トンもの石材が循環する「単一の閉じた建設現場」として機能していたとチェ氏は分析している。各ピラミッドの建造は独立プロジェクトではなく、互いに連動した「連鎖的構造物」であったというのである。

    ※参考動画 YouTubeチャンネル「Huni Choi」より

    ピラミディオンは元から頂上に

     もしチェ氏の理論が真実なら、ピラミッドの頂点に鎮座していたといわれる「ピラミディオン」の謎も解決することになる。

     ピラミディオンは、太陽光で白く輝くように化粧が施された要石であり、現在は失われているため、その真の姿や材質は不明だ。ピラミディオンが消えた理由は、長い年月の間での盗掘、崩落、または中世の建築資材への転用などが考えられている。

     重量2.5トンもあったとされるピラミディオンをいかにして大ピラミッドの頂点へと運び、正確に位置合わせをしたのか、現在でも数多くの謎をはらんでいる。しかし「切り出し式」であったならば、削り始める時点ですでに頂点となる部分に積まれていたことになる。

    画像はYouTubeチャンネル「DamiLee」より

     ちなみに、ピラミッドの建造中は常に角度に気を配られていたことが記録に残されているのだが、チェ氏が唱える「切り出し式」ならば、それほど高度な技術を要さず各角度の精確性の追求に専心できたはずだという。

     こうしたことからチェ氏の「切り出し式」説は注目を集めているのだが、新たな分析を可能にする技術的進歩がない限り、現在のところはまだ推論の域を出ないものとなっている。しかし昨今は、ミューオン・ラジオグラフィやドローン、レーザースキャナーをなどを駆使した新たな分析も行われており、近い将来にピラミッドの謎に肉薄できる可能性は大いにありそうだ。

    ※参考動画 YouTubeチャンネル「DamiLee」より

    【参考】
    https://www.openculture.com/2026/02/were-the-egyptian-pyramids-not-built-up-but-carved-down.html

    仲田しんじ

    場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
    ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji

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