バビロニア世界地図が示す「ノアの箱舟」の真実! なぜ世界各地の古代文明に洪水伝説が存在するのか?
旧約聖書の『創世記』で語られている大洪水物語のオリジナルは古代メソポタミアにあった! 紀元前7世紀にのさかのぼる「バビロニア世界地図」を解読すると、ノアの方舟が漂着した場所が示されているという。
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黒海とカスピ海の間に位置する南コーカサス地方、ジョージアのバシュプレミ湖周辺で、未知の言語が刻まれた石板が発見された――!
ジョージア南部に広がる火山高原に位置するバシュプレミ湖。昨今、その周辺では180万年前までさかのぼる人骨や陶片、黒曜石、モルタル石などの考古学的発見が相次いでいる。これらは同地域が古代人の活動の中心地であったことを示し、長らく辺境と考えられてきたコーカサス地方の歴史が大きく刷新される可能性が浮上している。
同国のトビリシ国立医科大学をはじめとする研究チームが、2024年11月に学術誌「Journal of Ancient History and Archaeology」で発表した研究によると、バシュプレミ湖地域で新たに約24センチ✕20センチの石板が見つかり、その表面になんと「60の未知の文字」が刻まれていたという。
石板はこの地域の多孔質玄武岩で、7本の水平なラインに沿って配置されている60の文字のうち、少なくとも39文字は完全に未知のものであると確認された。「これはジョージア文字、すなわち原ジョージア文字の起源に関して疑問を提起する」と研究者らは記し、この文字列を「バシュプレミ碑文(Bashplemi Inscription)」と呼んでいる。
石板の正確な年代は不明だが、同時に発見された石臼や陶器の破片などを考慮すると、後期青銅器時代から初期鉄器時代(紀元前12世紀頃~紀元前8世紀頃)に作られたと考えられるようだ。
「玄武岩は地元産であることが分かっているものの、文字の意味は不明であり、解読にはまだまだ長い道のりが残されている」(研究論文より)
20を超える言語を対象に行われた比較分析により、文字はセム語族、ブラーフミー文字、古代イベリア語の表記形式といくつかの類似点があることがわかった。なぜか中東、インド、エジプト、西イベリア半島といった地理的に離れた場所で使われていた文字と似ている部分があるというのだ。
いくつかの記号は、ジョージア語のムルグロヴァニ(mrglovani)文字やアルバニア語のアルファベットなど、初期のコーカサス文字から影響を受けている可能性があるが、原カルトヴェリ文字(Proto-Kartvelian)、近東フェニキア文字、原シナイ文字との関連も見られるようだ。しかし、既知の文字パターンとの直接的関連は見られず、まったく未知の言語である可能性が高いという。
さまざまな地域で使われていた文字の影響が見られる、まったく未知の言語――。今回の発見は、古代世界においてコーカサスと他の地域に文化交流があった可能性を示している。
その後の徹底的分析により、玄武岩の組成は地元の地質と一致することが判明。さらに各文字は、精密な円錐形のドリルによって刻まれ、「滑らかで丸い頭の道具」で仕上げられているようだ。
バシュプレミ碑文がなにを意味するのか、今のところは憶測することしかできないが、研究チームはそこに「軍の戦利品、重要な建設プロジェクト、あるいは神への捧げ物」などが記されているのではないかと仮説を立てている。
バシュプレミ湖周辺の気候は湿気が多く、もしも同種の碑文がパピルスや皮革といった腐りやすい素材に記録されていた場合、それらは風化して消失したと考えられるため、なおのことバシュプレミ碑文の歴史的重要性が増してくる。いったい碑文は私たちになにを伝えようとしているのか、研究のさらなる進展に期待しよう。
【参考】
https://www.popularmechanics.com/science/archaeology/a69518175/unknown-language-tablet-discovery/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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