大阪万博の「火星の石」は「金星の石」だ! 電気的宇宙論から見た惑星の歴史
話題の「大阪・関西万博」で展示されている火星の石。南極で採取された隕石なのだが、実は火星ではなく金星に由来する……という異説がある。電気的宇宙論者が指摘する太陽系の歴史とは?
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2025年大阪・関西万博の公式キャラクター、ミャクミャクの内側には、1970年大阪万博から脈々と続く“縄文のDNA”が息づいている……? ただのゆるキャラでは片付けられないその呪術性を、ムー目線で深掘りする。
2025年4月に開幕した大阪・関西万博も、いよいよラストスパートに入って盛り上がりを見せている。この半年間、万博会場の入口で世界中の来場者を迎えてきたのが、今や大人気となっている公式キャラクター“ミャクミャク”だ。
どこか異界からの眼差しをたたえる表情のミャクミャクだが、そのデザインの基本になっているのは、今回の万博の公式ロゴマーク(通称:いのちの輝きくん)である。
細胞を表す円形の赤いウネウネに、水を表す5つの青いマルをあしらったこのロゴは、ウィズコロナ・ポストコロナの時代に「新しい万博」を彩り、「いのち輝く未来社会のデザイン」というテーマを力強く表現するものとして生まれた。
このロゴに顔・手足・胴体が付いて、ミャクミャクというインパクト大のキャラクターに進化したわけだが、実はそのルーツに55年前の大阪万博があるのをご存知だろうか?
1970年に開催された前回の大阪万博のシンボルマークは、日本を象徴する桜を抽象化したものだった。円環の中に5弁の桜の花びらを広げたそのデザインは、当時の万博テーマであった「人類の進歩と調和」を内包し、日本的な精神を形象化していた。
大阪市城東区の公式サイトなどによれば、今回の大阪・関西万博の“いのちの輝きくんロゴ”は、この70年大阪万博の桜シンボルマークにインスパイアされているという。
確かに、水を表す5つの青いマル=ミャクミャクの5つの眼は、明らかに桜シンボルマークの5弁の花びらとシンクロしている。
“55年前の桜シンボルマークを現代的テーマでリブートすると、最終的にミャクミャクになる”という流れに、大阪の地に継承されてきた万博レガシーの強烈なセンスを感じるのは、筆者だけではあるまい。
そして70年万博の象徴といえば、忘れてはならないのが岡本太郎の「太陽の塔」だ。万博跡地の万博記念公園に今なお屹立するその巨塔は、くいだおれ人形やグリコの看板と並ぶ大阪のアイコンとして君臨し続けている。
外側に掲げるのは、未来を表す頂部の「黄金の顔」、現在を表す正面の「太陽の顔」、過去を表す背面の「黒い太陽」の3つの顔。その内部は展示空間になっており、中に入ると鉄鋼で造られた高さ約41メートルの「生命の樹」が立っている(現在、事前予約制で入ることができる)。樹の幹や枝には、大小さまざまな292体の生物模型群が取り付けられ、生命の進化の過程を表している。
いわば「太陽の塔」は、生命の過去から未来へのつながりを表現する装置とも言えるわけだが、その背景には、岡本太郎の立体作品を語るときに欠かせない“縄文土器”の存在がある。
ムー民にとって縄文といえば、1万年という圧倒的な期間に作られた環状集落や土偶、土器からいくつものミステリーやロマンあふれる仮説が提示されている時代として身近であろう。今なお謎が多いこの時代は、「遮光器土偶=古代の宇宙飛行士説」なども含め、多様な語り口を持っている。
岡本太郎もまた、その呪術性や神秘性に魅了されたひとりだった。太郎が縄文土器の特徴的な渦巻きや突起などの躍動的な文様から、生命が持つ太古の力や根源的エネルギーを感じ取り、それに触発されて自身の創作を加速させたのは有名な話だ。
そして70年当時、万博テーマの「人類の進歩と調和」に反発した太郎が生み出した「太陽の塔」も、縄文土器の纏う“生命の根源的エネルギー”とシンクロする土俗的な造形を持つ代表作である。前衛(芸術家)が国家に加担するのかと批判されたとき、彼は「いちばんの反博は太陽の塔だよ」と答えたと伝わる。万博史に残る巨大な異物となったそれには、当時の進歩主義への強烈なカウンターが仕掛けられていた。
一部報道によれば、今回のミャクミャクを生んだデザイナー・山下浩平氏は、その造形に「太陽の塔」へのオマージュを込めたという。
この情報を、あえてムー的目線で見るなら……「太陽の塔」が孕む“生命の原型”や、岡本太郎が縄文土器から受け取った“生命の根源的エネルギー”が、無意識のうちにミャクミャクという新たな器へ流れ込んだと捉えられよう。
そう考えると、冒頭で述べたミャクミャクの眼差しに宿る“異界”とは、実は縄文なのかもしれない。遙か昔、謎多き古代日本から続くナニカがそこにあると思うと、ミャクミャクの顔にはどこか不思議な懐かしさも湧いてくる。
思い返せば、今回の万博に先駆けて、“いのちの輝きくんロゴ”や万博公式キャラクターの造形が発表された当初、世の中の反応は賛否両論だった。中には「気持ち悪いデザイン」という、かなりマイナスの感想すらあったほどだ。
しかし、キャラクターの名称が“ミャクミャク”に決定したあたりから、評価は一変。人気が急上昇した。今にして思えばあのとき、人々は、“ミャクミャク”という響きを持つ彼に、日本古来から脈々と受け継がれてきたナニカが内包されていることを悟ったのではないか。いわば名前の呪力だ。
それは、「太陽の塔」が強烈なインパクトを与えた55年前と同じ。日本人の深層意識に刻み込まれた“縄文のDNA”は、今も万博を機に爆発するのである。
そんなわけで、70年万博の桜シンボルマークからインスパイアされた“いのちの輝きくんロゴ”と、それをベースに「太陽の塔」へのオマージュも含みながら誕生したミャクミャクは、大阪の地で55年息づいてきた万博レガシーを見事に受け継いでいる存在だ。
ミャクミャクは、万博という祭儀の舞台を通して顕現した、縄文神話の新たな御神体とも見て取れる。そういえば、ネット上では“ミャクミャクさま”という愛称も生まれているくらいで、やはり我々はいつの間にか彼に神秘性を見出しているのだろう。
ミャクミャクを憑りしろに、岡本太郎が魅せられた“縄文DNAの呪術性”は、次世代に継承されることとなった。次の50年に向けて、西の地でまた新たな縄文神話が紡がれていくのは頼もしい。果たして半世紀後、我々の前に現れる“次なる御神体”は、どんな姿をしているのであろうか。
杉浦みな子
オーディオビジュアルや家電にまつわる情報サイトの編集・記者・ライター職を経て、現在はフリーランスで活動中。
音楽&映画鑑賞と読書が好きで、自称:事件ルポ評論家、日課は麻雀…と、なかなか趣味が定まらないオタク系ミーハー。
https://sugiuraminako.edire.co/
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