CIAは日本でも情報操作を行っている! ニセ情報やトレンド操作で形成するリアルな世論/宇佐和通
米国の内外にかかわらず世論を操作し、世界を自らの望む形に変えようと活動するCIA。いったいこれまで日本はどのように操られてきたのか――?
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暗号めいたメッセージを発信し続けるウェブサイト「The Portal」をご存じだろうか。長年にわたってウォッチしてきた筆者がその「イベント」の味わい方を語る。
The Portalと題された英語ブログが登場したのは2012年だったと記憶している。あえてリンクは貼らないが、記事制作現在で以下の画像をトップにした、謎めいたウェブサイトだ、とだけ伝えておこう。
その主宰者は「コブラ」と名乗る人物だ。その名前はCompression Breakthrough(圧縮状態からの突破)という言葉遊びから取ったと本人は説明しており、爬虫類の毒蛇コブラとは無関係だという。このブログは不定期ながら更新が続き、2025年の現在も新記事がアップされている。
その記事の内容は一見すると、数ある陰謀論ブログや動画と大差ないようにも思えるが、世界はもちろんのこと、日本でも着実にファン層を拡大しており、現在ではコブラの記事を考察するブログや動画が数多く生まれている。
その更新され続けている記事や、時折挟み込まれるインタビュー記事には、宇宙人、フリーメイソンやイルミナティといった陰謀論的な題材から、科学・歴史・物理学に及ぶ幅広い知識や発想が盛り込まれている。
そして、筆者が知る限りでも十年以上に及ぶ発信の中心にあるのが「イベント」という言葉だ。The Portalの読者にとってはお馴染みの単語だが、読者以外の方からすれば、その字面から意味を推測することは難しいだろう。
「イベント」に関してコブラの説明をまとめれば、それは「これまで隠されてきた真実が明らかになる瞬間」を指すと言えそうだ。「イベント」は精神的にも物理的にも世界を変える転換点であり、それを機に人類は誤った歴史の訂正と、秘匿されてきたテクノロジーの公開を迎えることになる。その結果として、不均衡のない豊かな生活が可能になると記されている。
実際、コブラは「イベント」後に公開されるとされる具体的なテクノロジーについても触れている。
たとえばメドベッドがあげられるだろう。メドベッドとは、その上に横たわるだけで、すべての病気や怪我が治るとされるまさに夢の医療装置だ。苦痛の源となる病や外傷は完全に癒え、若返りさえ期待できるものだという。
また、地球上のどこへでも瞬時に移動できるポータルテクノロジーも「イベント」後に開放されるとされている。これにより国内外はもちろん、星間移動すら可能になるようだ。1969年の7月にアポロ11号が月面着陸をしたとされてから半世紀以上、人類の大きな夢として宇宙旅行は誰しも考えることだろう。現在、宇宙ビジネスの分野は民間企業も参入して、民間人の宇宙への旅は遠くな将来に実現できる見込みがあるとされているが、ポータルテクノロジーを活用できるようになれば、いとも簡単に宇宙旅行への夢が叶ってしまうことになる。
さらには、あらゆる物を再現し目の前に出現させるレプリケーター、化石燃料に頼らないエネルギー革命など、かつてSF映画や漫画に描かれた夢の技術が現実化すると語られる。
このようにいくつもの巧言令色なテクノロジーの公開が予想されているが、「イベント」はこれらの秘匿技術の公開だけにとどまらないと言及されている。
例えば、金融制度を根本から覆す金融リセットが起こるとコブラは伝えている。世の中の貧富の差を生み出す大きな原因とされている金融の仕組みは「イベント」後にリセットされ不公平感は解消される。加えて、イルミナティーやフリーメイソンといった世界支配層の大量逮捕も「イベント」後に期待できることとして伝えられており、宇宙人の存在に関する情報公開、そして情報公開後の公式なファーストコンタクトも語られている。コブラは、それらが段階的に行われることで人類は新しい時代へ移行すると予告する。
こうした具体的な薔薇色の未来像が示される一方で、コブラ自身の素性は謎に包まれている。判明しているのは名前の由来程度で、本名や顔写真は一切公開されていない。それでいて、年に数回の講演会を行い、日本にもこれまで4度来日している(山口で1回、京都で3回)。台湾、フランス、ブラジル、イタリア、アメリカ、コロンビアなどでも登壇しており、会場に行けば話している本人に会えるという。
この「ネットでは正体不明なのに、講演に行けば会える」という矛盾が、かえってコブラのミステリアスさを際立たせていると言える。
おそらく、The Portalの読者を魅了しているのは、主催者のコブラのミステリアスさと日頃からの不満感の解消が望まれる「イベント」への期待感だ。
ミステリーはときに登場人物と読者に苦い経験をもたらし、ユートピアを描く小説や映画はどの時代でも甘美なクライマックスが多い。この二つの融合が一つのバランスとなり、深煎りの豆で作ったブラックコーヒーとミルクが生み出したカフェオレのような絶妙な一体感が生じ、それが読者の心に深い余韻ともう一杯飲みたくなるような渇望を生み出すのかもしれない。
このように独自の味わいを生み出したThe Portalとその主催者コブラだが、「イベント」が一向に起きないことへの不満も噴出しているのは隠しきれない事実だ。
ブログを読み続けていると「イベント」の阻害要因がその度ごとに変化し、「取り除かれたはずなのに何も起こらない」という状況が何度も続いている。野球で言えば、9回スリーアウトで試合終了のはずなのに、試合が延々と続いている状態だ。それでも読者をつなぎとめているのは、時代に合わせてコーヒーとミルクの配分を変えている、言い換えればミステリーとファンタジーの配分を変えているからだろうと推察する。
もし、今後、この実態が掴めそうで掴めない不可解さと、SF文学にも似た壮大な世界観を兼ね備えている叙事詩=The Portalを読んでみようと思うならば、いくつかの注意点がある。無論、都市伝説や陰謀論とくくられるジャンルの一部だ。
まず、適度な距離を取ることでその味が一番深い印象を与えてくれることは言うまでもない。あえてそれに加えるとすれば、「イベント」を待つ忍耐力が必要なこと、そして膨大な記事群の要約が存在せず、新たに読者としてその流れに乗るのが難しい、ということだろう。しかしこの“一見さんお断り”にも似た“参入障壁”さえ、コアな読者には一種のエンタメ要素として受け止められているのではないだろうか。
そんな中、コブラはこれまで避けてきた「イベント」時期の指定に初めて触れた。最新の記事(2025年7月30日の記事)で「2025年8月28日から11月20日までの間にイベントが起きる可能性」(正確にはこの時期に「イベント」が起きないと好ましいタイムラインへ移行するチャンスを逸してしまう)をほのめかしたのだ。数々の分岐点や終末説が飛び交った2025年は年末に向けても目が離せない年であると言えよう。
その時期はもう間近だ。苦味よりも甘味を増した“ファンタジー色”の強いコーヒーを片手に、その行方を適度な距離感で見守りたいと思う。
カワグチせまし
神奈川県横浜市出身。
プロレスなら新日本。サッカーなら横浜F・マリノスとリヴァプール。野球はDeNAベイスターズ。
普段は街づくりの仕事に従事。宇宙に関する都市伝説や陰謀論が好き。横浜をファーストコンタクトの地にしたいと願っている。
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