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助けた亀に連れられて竜宮城を訪れる「浦嶋(島)太郎伝説」。だれもが知っているこの昔話のルーツは古く、『日本書紀』や『万葉集』、『丹後国風土記』「逸文」などに記された「浦島子伝説」がもとになっている。
なかでも最古とされる『丹後国風土記』「逸文」では、次のようなストーリーが展開される。
──與謝郡日置里筒川村に、筒川嶋子という男がいた。容姿は秀麗で風流なこと比類なき人物で、これが水江浦嶋子である。雄略天皇の御世、小船で海に出て釣りをしていた嶋子は、五色亀を釣りあげる。亀は美しい娘となり、微笑みながら「風流な方が海に浮かんでいらしたので、話したいという思いに耐えられず、風雲に乗ってやってきました」と答えた。
さらに、自分は天上の仙家の人だといい、嶋子を海中にある大きな島につれていく。そこは仙人の暮らす、見たこともないような美しい桃源郷だった。
大きな邸宅に招きいれられた嶋子は、娘が「亀比賣」という名前だと知る。
嶋子は亀比賣と夫婦になり、故郷を忘れて3年の時を過ごしたが、両親を恋しく思いはじめ、帰ることを申しでる。別れ際に亀比賣は、玉匣を嶋子に授けた──
以下はおなじみのストーリとなるわけだが、大きな違いはなんといっても亀が「乙姫」本人だったということだろう。
さて、その嶋子を祀るのが、京都府与謝郡伊根町にある浦嶋神社(宇良神社)だ。
伝承によれば平安時代、嶋子が300年以上の時を経て戻ってきたことを耳にした淳和天皇が、嶋子に「筒川大明神」という神名を授け、社殿の造営を命じたのが始まりだという。
ちなみに浦嶋太郎を祀る神社や浦嶋伝承は、日本各地に見られる。それだけ人々に親しまれている話ということなのだろう。
(月刊ムー 2025年9月号)
中村友紀
「ムー」制作に35年以上かかわるベテラン編集記者。「地球の歩き方ムー」にもムー側のメインライターとして参加。
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