石鎚山系に未確認飛行物体が飛来! 天空を走る「UFOライン」の歴史と謎
愛媛県西条市と高知県いの町の境界を走る道「UFOライン」は、知られざるミステリースポットだった!? 30年前に撮影された「W形UFO」をはじめ、当地に飛来する天空の存在の謎に迫る。
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30年前に偶然撮影された一枚のUFO写真。再調査でその神秘性を裏付けるかのような地域伝承を発見した。撮影者へのインタビューと現地取材をもとに、愛媛UFO事件の記憶と新たな事実に迫る。
一枚のUFO写真を入手した。撮影日は今から30年ほど前の平成6年(1994)1月31日。夕暮れ迫る、真冬の住宅街上空に浮かぶ謎の白い物体。当時の記憶を手繰り寄せながら、撮影者であるAさんがインタビューに応じてくれた。
ことの始まりは、夕方かかってきた一本の電話だった。愛媛県西条市内の事務所で仕事中であったAさんのもとに、5キロメートルほど離れたところに住む知人から、驚きの電話がかかってきた。
「いまUFOが出とるんじゃけど、そっちから見える?」
電話の主は、当時テレビ番組等にも出演していたベテランUFO研究家T氏であった。慌ててカメラを持って自宅のベランダに飛び出したAさん。しかし肉眼では何も見えず。せっかくなので……と、T氏が言う方角にカメラを向けて一度だけシャッターを切ってみた。後日その写真をプリントしてみたところ、奇妙なものが写り込んでいた。
「これなんだと思います?傷や埃ではなさそうなんですが……」
プリントした写真店の困惑の表情に、Aさんは内心「もしかしてUFOかな?」とは思いながらも、それを前面に出すのはなんだか気恥ずかしく感じたという。しかし心の中では、大きくガッツポーズをしていた。
「ついにUFOを撮ったぞ!!」
UFOを追い続けてきたT氏にとっても、念願のUFO写真であった。
「これはきっとUFOだ! ムーに投稿してみよう!」
感激したT氏が投稿した写真は、当時の状況とともに月刊「ムー」でも紹介されたそうだ。
(編集部注:だが、当時の掲載記事は発見できなかった)
Aさんが撮影したUFO写真の謎を追ってさらに調査を進めると、昭和60年に発行された地域資料の中に、西条市山中にある「丸野集落」の神社にまつわる不思議な伝説を発見した。
丸野の氏神さまは、三百年以上も昔、夜中に空から光る物体が鍋のようなものにのって、今の場所にフワリフワリと降りるのを見ていた人がいて、これは不思議と調べてみると、鏡と鍋のカケラのようなものとがあったのでご神体として、天来風伯神とお祀りしたと言われている。(『西条の民話と伝説 第2集』から引用)
なんと、空から降りてきた「鏡と鍋のカケラ」をご神体とする神社があるというのだ。まるでUFOのパーツではないか。「三百年以上も昔」ということは江戸初期以前のできごとだが、今回のUFO写真とも何か関連があるのだろうか。西条市丸野にある神社を調べてみると「天来風伯神社」がヒット。筆者は撮影者Aさんとともに現地へ向かうことにした。
天来風伯神社までは、市街地から加茂川沿いの山道を車で登り、山中に車をとめてからは徒歩になりそうだがルートが不詳。道中立ち寄った市之川公民館で事情を話すと、矢野館長さんが現地までの地図を描いてくださった。
車を止め、地図をたよりに山道を徒歩で10分ほど登ると丸野集落に出た。さらに倒木や大きな石が横たわる急な坂を登ると、眼前に立派な石段が! 矢野館長の地図がなければ、おそらく辿り着けなかったであろう。
愛媛県神社庁公式サイトによると、宝暦7年(1757)本殿改築の棟札があるが、その他は未詳。前述の資料の記述にあった「鏡と鍋のカケラ」について関係者に訊くと、残念ながらその行方は分からないとのこと。だがこの資料の記述は、丸野の人がかつてこの地で「何か」を目撃した痕跡であろう。空から降りてきた「光る物体」とは、いったい何だったのであろうか。 Aさんが麓の市街地で撮影したUFOは、もしや……空飛ぶご神体!? 鍋に乗った鏡のカケラは今も風に運ばれ、西条市上空をただよっているのだろうか。
実は、前述の地域資料には続きがある。
この丸野の氏神さまの石段をあがった右手に三社さまがある。
三社さまとは、カドマルさま・七十五ソウさま・タニサキさまの三社である。
(中略)
七十五ソウさまは大きなツチノコ蛇で、セドムキ(西向き)の畑のふちの大石のところによく姿をあらわしたので、畑に仕事に来る人が気味わるがって、チョイチョイ見えるたびに「下肥をかけたろか」とおどしていた。すると、その人の家に不幸がつづいたので拝んでもらうと、「我は氏神の門番でもできるほど位のあるものだ。それをよくもはずかしめたな」と、ツチノコ蛇がタタッていたことがわかったので、これも山伏が封じこんだそうな。
タニサキきまとは、神通力のある理であったとか。
今でも氏神さまにお参りする人は必ずこの三社さまにもお参りしているが、ご神体の由来を知る人は少ない。なお、この話には、いろいろな説がある。(『西条の民話と伝説 第2集』から引用)
なんと天来風伯神社には「ツチノコ」も祀られているというのだ。この資料の記述通り、境内右手には3つの祠が鎮座していた。
西条市丸野は、UFOとツチノコ伝説が眠るミステリアスな集落であった。時を超えてなおチラリと顔を覗かせてていた神秘の片鱗に、とうとう触れてしまったようだ。
1970年代後半、ベテランUFO研究家T氏とAさんは、共通の趣味であった「UFO」で意気投合し「UFO研究会」を立ち上げた。主な活動は、UFO情報の収集だった。参加者たちでUFO目撃体験を持ち寄ったり、UFOに関する勉強会を開くなどしていた。
「もうだいぶ忘れてしまっている」とは言うが、70年代から90年代にかけて、西条市の近隣地域でも多数のUFO目撃情報があったという。Aさんの自宅からも程近い西条市内の市街地で、夜空に浮かぶ謎の発光体を複数人で目撃した際には「みんなで見たんよ!」と大騒ぎになったそうだ。
また、今治市内から西条高校に通っていた当時の高校生が、通学途中に自分の真上に浮かぶ銀色の物体を目撃した事例も。その物体は、そのまま海の方角へシューッ!と飛んで行ったという。釣り人による西条市沖での目撃事例もあった。岸壁で釣り糸を垂れていると、沖の海からザバーン!と現れた正体不明の何かを目撃したというのだ。
中には「UFOに乗った」という奇妙な体験談もあった。ある夜ベッドに寝ていたら、突然体がふわりと浮き上がり、天井もすり抜け、上空に浮かぶUFOに乗り込んだというのだ。そしてUFOから戻ってくる時は、スーッと下降する中で、自室の枕元に置いてあったラジカセが見えたという。まるで幽体離脱をも思わせるような神秘体験である。
こうしたUFO体験を聞き集める中で、 「自分もUFOを見てみたい、遭遇したい」と思っていたAさん自身も、自宅の屋上で流れ星を探していた時に、ヒュンヒュンと不規則に飛ぶグレーの物体を目撃したこともあった。その物体に星のような輝きはなく、人工衛星のような動きでもなかったそうだ。
UFO研究会での情報収集活動を重ねていくうちに、目の錯覚や作り話のようなUFO目撃談は判別がつくようになったというAさん。そんな中に紛れて、普段嘘をついたり冗談を言うタイプではない人がリアルなUFO目撃談を真剣な驚きとともに語ってくれたことも多々あったそうだ。しかし90年代に入ってから、こうしたUFO目撃談は急に減ったという。
「どこかの時代でパッタリと、誰もUFOを見なくなったと感じます」と、当時を振り返るAさん。UFOを追っていた人々の興味の対象が別のものに移ったのか、それとも空を見上げなくなったのか……。様々な要因が考えられるが、「どこかの時代でパッタリと、誰もUFOを見なくなった。UFO自体が出なくなった。姿を隠しているのではとも感じます」と、心なしか寂しげに語ってくれた。
Aさんは、2011年9月12日にも自宅ベランダで不可解な飛行物体を撮影している。問題の2枚の写真をご覧いただこう。
デジタルカメラで撮影されたこれら2枚の写真。Aさんは、その後テレビ番組で紹介されていた「フライングマトリョーシカ」にも似ていると感じたそうだ。初め北の方角に浮かんでいた物体が大きく東に移動したので、アドバルーンのように地上と繋がっているようにも思えなかったとのこと。
そして何より不思議なのは、撮影前後の記憶が薄いことだという。なぜこの物体を撮影しようと思ったのか。どうやって見つけて撮ったのか。そして「それがいった何なのか、その後どうなったのか」などを、どうしてもっと追求しなかったのか。不可解なことが多いという。これらの写真を撮ったことすら記憶が曖昧で、ある時この写真データを見つけて「あ、そういえばこういうこともあったなあ」と思い出したくらいだそうだ。
Aさんの証言をたどると、1970年代から今日まで、西条市周辺では多数の未確認飛行物体目撃事例があったことがわかる。しかも、少なくとも二度にわたり撮影されているのだ。
行方が分からないというあの「鏡と鍋のカケラ」が筆者の脳裏に浮かぶ。フワリフワリと神秘の風に乗って、またこのまちにUFOが飛来するかも知れない。
参考文献
『西條市誌 復刻版』西条市 発行/『西条の民話と伝説 第2集』西条市教育委員会社会教育課 編集・発行
寺田真理子
ライター、デザイナー、動植物と自然を愛するオカルト・ミステリー研究家。日々キョロキョロと、主に四国の謎を追う。
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