クレムリンが空っぽになる!? 「中東のノストラダムス」ミシェル・ハーイクの2023年大予言/羽仁礼
毎年の大晦日に、世界情勢や自然災害、事件、事故など、翌年に起こる出来事を予言するレバノンの予言者、ミシェル・ハーイク。「中東のノストラダムス」と呼ばれるハーイクは、2023年の世界をどのように予言した
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毎年の大晦日に、翌年に起こる世界の出来事を予言するレバノンの予言者、ミシェル・ハーイク。驚異的な的中率を誇る「中東のノストラダムス」は、2025年の世界をどのように予言したのか!?
ミシェル・ハーイクは、「中東のノストラダムス」と異名をとるレバノンの予言者である。彼の名は、今やアラブ諸国だけでなく世界的にも知られており、彼の名を騙るアラビア語の偽サイトまで誕生しているようだ。
過去には1985年のスペースシャトル・チャレンジャー号の事故、1995年のダイアナ元妃死亡、2019年の新型コロナウイルスの発生、2022年のロシアによるウクライナ侵攻、2023年にはアルツハイマー病の治療薬の開発など、さまざまな事件・事故を予言し、的中させてきている。
地元レバノンのテレビ局MTVでは、毎年の大晦日になるとハーイクの特番を放映し、彼はこの中で翌年のレバノンや中東諸国、世界に起こる出来事を予言するのが常だった。ただ2025年に関しては、この番組は元日の1月1日夜に放映されたようだ。
彼の予言のやり方は、事前にメモした何百もの予言を、テレビカメラの前で順に読みあげるというものだが、中には単なる単語の羅列のような内容で、にわかには判然としないものもある。それは、彼の予知の仕方とも関係するようだ。
ハーイク本人は「自分は未来を垣間見るだけ」と述べており、イメージや予兆の形で未来を感知しているらしい。そうしたメッセージを自分なりにメモして、テレビの画面で読みあげるのである。そのため曖昧な表現も多くなるが、後になってみるとその表現が正確だったと判明することもしばしばだ。
また、彼の予言の大半は故国レバノンをはじめとする中東諸国に関するもので、2025年についても、中東以外の国々や世界全体に関する予言は50件ほどだ。その具体的な内容を紹介する前に、2024年に関する彼の予言をひとまず検証してみよう。
2024年についての予言をひと言でいうなら、イギリスやフランス、ドイツなどヨーロッパ諸国の政情に関する予言はかなり的中している。
2024年のフランスに関し、ハーイクは「現政権が倒れる」「野党が勝利する」「フランス大統領の椅子が揺るがされる」とはっきり述べていた。
年明け早々の1月8日、フランスでエリザベット・ボルヌ首相が辞任した。後任にガブリエル・アタル国民教育相が任命されたが、与党の人気凋落は終わらず、6月9日の欧州議会議員選挙で与党が大敗、極右政党「国民連合」が大躍進した。
この極右勢力の伸張を危惧したエマニュエル・マクロン大統領は議会下院を解散し、総選挙に打って出た。6月30日と7月7日の2回に分けて行われた国民議会総選挙において、577議席中178議席を獲得して最大勢力となったのは、野党である左派連合の「新人民戦線」であった。
しかし、マクロン大統領は9月5日、わずか39議席しか得られなかった共和党のミシェル・バルニエを新首相に任命した。とはいえ、マクロン大統領率いる「再生」と連立政党を併せても議会では過半数に届かず、12月4日には内閣不信任決議案が可決され、バルニエ内閣は3か月で総辞職した。内閣不信任決議案が可決されたのは、フランスでは1962年以来62年ぶりのことである。
フランスでは、大統領の役職は行政権を掌握するというより国家元首としての性格が強いことから、この首相交代により「フランスの政権交代」というハーイクの予言は的中したといってよい。同時に、マクロン大統領の立場もかなり揺るがされる結果になった。「フランスがテロの地となる」との予言もあったが、5月31日にロシア南部チェチェン出身の男がテロを企てたとして逮捕される事件が発生。9月24日にもモンペリエでシナゴーグが放火される事件が起きており、この予言も的中したといえるのではないだろうか。
2024年のハーイクの予言で注目されるのは北朝鮮に関するものである。ハーイクの予言は、その大部分が中東諸国に関するものであり、日本や韓国、北朝鮮など極東諸国に関する言及はほとんどないのが通常だ。しかし2024年においては、「コリア」に関して10の予言を残していた。
ハーイクの呼び方では韓国か北朝鮮か区別がつかないものもあるが、金正恩に言及していることから、北朝鮮のことだと明らかなものもある。中でも驚くべきは、「前例のない軍事行動が世界を驚かす」という予言である。
はたして北朝鮮は10月からウクライナ侵攻に自国の軍人を派遣するという前例のない行動を行い、世界を驚かせた。またハーイクは「金正恩は危険」であるとも述べていた。
他方、アメリカ大統領選挙やウクライナ戦争に関する予言は的中しているとはいいがたい。
2024年は4年に一度の大統領選挙の年で、現職の民主党ジョー・バイデン大統領が年初から立候補準備を進めており、当初は共和党ドナルド・トランプ前大統領との争いになると見られていた。しかし81歳になるバイデンについてはその年齢が不安視されており、公式の場で発言をいい間違えることもしばしばだった。
そして、6月27日にCNN主催の候補者討論会が開催されると、声も普段よりかすれて小さく、せきを繰り返し、いい間違えたり、しばらく黙り込んだりすることもあり、世間に衰えを示す結果となった。民主党内からも撤退論が強まり、7月21日になって自ら大統領選からの撤退を表明、後任にカマラ・ハリス副大統領が指名された。
事前の世論調査では支持率がかなり拮抗していたが、アメリカ独自の選挙結果もあって、トランプが選挙人総数538人中312人を獲得する圧勝となった。
アメリカ大統領選挙に関して、ハーイクは「大統領選挙を巡る混乱」や「選挙で同じような光景が見られる」と予言していたのだが、今回の選挙では、前回のように敗れたトランプ元大統領が選挙結果を認めずに混乱を招くようなことは起きていない。
他方、「アメリカの裁判所と裁判官が重大な犯罪的攻撃を受ける」という予言もあったが、2024年の年明け早々の1月3日、ラスベガスの地方裁判所で、判事が被告人から襲撃されるという事件が発生している。
ウクライナ戦争の行方についても、「新しい紛争解決へのロードマップ策定の始まり」「ウクライナ和平へのロシア・ヴァチカンの記録がカトリックに高くつく」「イーロン・マスクが和平の決定的なページを開く」など、交渉による解決を示唆する予言を行っていたが、戦闘の終結は未だ見えていない。
ただ、「ロシアとウクライナのいくつかの教会と宗教的シンボルが攻撃対象になる」という予言は、8月20日、ウクライナ最高会議がロシアとつながりのある宗教団体の活動を禁止する法案を可決したことを予言したともとれる。「黒海の恐ろしい情景」という予言もあったが、ウクライナ軍の攻撃で黒海のロシア艦船が次々と撃沈されることを予言していたのかもしれない。
そして、2025年の予言であるが、そのひとつは早々と的中したようだ。
ハーイクは2025年の中国の出来事に関し、「中国とその偉大さが自然の怒りに腰を折る」と述べ、大規模な自然災害を予言していたのだが、1月7日、中国内部のチベット自治区でマグニチュード6.8の大地震が発生した。この地震により100人以上が死亡し、倒壊した家屋は3600棟以上に及ぶという。
中国に関しては、ほかにも「南シナ海での爆発と火薬」というものがある。これは、中国が領有を主張し、周辺国との軋轢が生じている南シナ海で、何らかの紛争が発生するということだろう。
アメリカに関しては、全部で9つの予言があるが、注目されるのが「トランプ暗殺の試みが処罰されないことはない」というものだ。つまり、トランプ暗殺計画が発生するが、事前に阻止され、犯人は処罰されるということだろう。また、「トランプの年齢が問題を起こす」「議会に不和が忍び寄る」とも述べている。
イギリスについては6つの予言があり、中には「労働党とその指導者の失敗」というものもある。14年ぶりに政権の座を奪還した労働党であるが、何らかの政策上のミスをするということだろう。
ドイツについては、「ドイツの銀行や中央銀行が揺れる」と予言し、経済危機が続くことを予言している。ほかに「過激派政党が打撃を受ける」という予言は、2月の総選挙で極右勢力が敗れると述べているのかもしれない。他方、「ドイツ鉄道が攻撃される」とも述べ、何らかのテロを警告している。
中東、特に世界が注目するガザ紛争の行方についてはどうだろう。イスラエルの動向についてハーイクは、「治安機関とその指導者に謎と混乱」「イスラエルにとってショックの中のショック」などと述べ、何らかの事件がイスラエルを襲うと述べている。
また、パレスチナ側についても「名誉のためと称するハマスの作戦」を予言している。イランとの関係でも、「イランとイスラエルの突然の緊張」とか、イランが「あらゆる予測を越える被害を受ける」としているから、まだ本当の和平は遠いようだ。
世界全体の動きとしては、「BRICS内の争いで、ある国が資格停止になる」「コロナを上回るテロ」「ある時期闇が世界の広い範囲を覆う」というものがある。しかし、例によって具体的にどのような事態が生じるのかは、現時点では判然としない。ともあれ、1年間世界の情勢を注視し、その結果を見極めることとしよう。
(月刊ムー 2025年3月号)
羽仁 礼
ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。
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