ユダヤ第3神殿建設で第3次世界大戦勃発!?/MUTube&特集紹介  2024年7月号

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    ハマスのミサイル攻撃の理由は「赤い牛」にあったという。赤い牛 、それはハマスにとって「聖地」を脅かす存在について三上編集長がMUTubeで解説。

    日本人が知らない戦争の発端

     去年の2023年10月に、ガザ地区を実効支配する「ハマス」(イスラム原理主義組織)は、突如イスラエルに大量のミサイルを撃ち込んだ。そして多くのユダヤ人を殺害し、拉致した。そのミサイル技術と資金は、中東の大国イランから来たものだった。
     その後イスラエルでは、ハマスとの戦争が続いている。それは、今は局地戦争だが、この戦争は近い将来、多くの国々を巻き込む大戦争へとつながっていく危険性を宿していると、多くの人々が感じている。
     この戦争について、ほとんどの国際評論家や学者、政治家は明確な答えを出せていない。対立はこれまでにもあった。しかし、去年になってハマスがあのような大規模攻撃を開始したのには、じつは重大な理由があった。
     それは「赤い牛」である。「赤い牛」といっても日本では、ほとんどの人は何のことかわからないだろう。そのためか、日本での報道は皆無だ。
     けれどもハマスの幹部は、イスラエルを攻撃した理由を明確に語った。戦争開始から100日目を迎えた今年1月、ハマスのアブ・ウバイダ報道官は、「それはユダヤ人が聖地に『赤い牛』を持ち込んだからだ!」といって、激しく非難したのである(CBSニュース)。「赤い牛」とは、将来のエルサレムに建つと預言されている「ユダヤ第3神殿」の落成式で使われる、とされているものである。
     ユダヤ人過激派はその第3神殿建設を急いでいて、エルサレムの「神殿の丘」に建つイスラム教の「岩のドーム」や「アルアクサ・モスク」の破壊を図るのではないか、とハマスは恐れたのである。

    ユダヤ第3神殿建設を示す「赤い牛」

     事実、ユダヤ教徒らはエルサレム「第3神殿」の建設に向けて、今、水面下で着々と準備を続けている。「赤い牛」もその準備の一環である。将来エルサレムに建つユダヤ第3神殿の落成式で、神殿を清めるために「赤毛の雌牛」が、いけにえとして捧げられなければならない。
     かつてユダヤの「第1神殿」(ソロモン神殿 紀元前10世紀〜6世紀)は、バビロン軍によって破壊された。その後再建された「第2神殿」(ゼルバベル神殿 紀元前4世紀〜西暦1世紀)も、ローマ軍によって破壊されている。以後、約2000年にわたってユダヤ人は神殿を持っていない。
     だが、彼らは何としても近い将来、第3神殿をそれらと同じ場所(テンプル・マウント モリヤの丘)に建設するという悲願を持っている。「赤い牛」はそのためのもので、赤毛の雌牛で、くびきを負ったことがなく、傷のない、完全なものでなければならない(聖書「民数記」19章2節)。
     じつは去年の2023年9月15日、ラビ(ユダヤ教教師)が認めた5頭の赤毛の雌牛が、アメリカのテキサスからイスラエルに空輸されて到着し、厳かな歓迎を受けた。ハマスは、その赤い雌牛が聖地に持ち込まれたことに怒り、イスラエル攻撃を始めたのである。
     ただし、聖書には書かれていないが、ラビたちの教えでは、赤い雌牛はイスラエルで生まれたものでなければならない。だからテキサスから空輸されたこれら5頭が、神殿落成式で使用されることはない。実際に落成式で使われるのは、この5頭から生まれた子牛の中から選ばれたものになるだろう。
     しかし、エルサレムにある神殿研究所は、このテキサスから来た赤い牛を、今年4月の「過越の祭」でほふることを画策していたようだ。そのために神殿研究所は大きな祭壇さえ、すでに造っていた。だが、この画策は、さらなる混乱を懸念する当局によって阻まれた。
     このような動きがあること自体、ユダヤ教徒の中に神殿建設を急ごうとする急進的な人々がいることを示している。実際、赤い雌牛以外にも、第3神殿建設の準備はかなり進んでいるという。
     最近のイスラエルのテレビ番組でも、「第3神殿建設の準備は、ほぼ整った」と語られた。その予算も、神殿の青写真も、神殿で使う祭具も用意され、神殿で仕える祭司たちの教育も進んでいるという。
     この第3神殿は、現在はイスラム教の「岩のドーム」や、「アルアクサ・モスク」が建つ「神殿の丘」(モリヤの丘)に建てられることになる。
     今のイスラエル政権のガザ地区における強引な行動などを見ていると、彼らはたとえイスラム教徒と戦争になろうと、第3神殿建設を強行しそうな勢いがある。戦争は困るが、それでも、彼らはやるときはやってしまうのかもしれない。
     第3神殿建設は、ユダヤ教徒にとっては、最後の歴史的悲願なのである。

    (文=久保有政)

    続きは本誌(電子版)で。

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