『君たちはどう生きるか』のアオサギから古代エジプト神「ベンヌ」を読む! その正体は冥界への案内人だ!/羽仁礼
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「中東のノストラダムス」ミシェル・ハーイクが2024年を予言した。2023年予言の検証も含めて、大予言者の言葉を紹介する。
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2023年12月31日、レバノンのテレビにまたあの男、ミシェル・ハーイクが姿を見せた。
ハーイクは、「中東のノストラダムス」とも異名をとる有名な予言者で、毎年大晦日に限ってレバノンのテレビ画面に登場し、翌年の出来事を予言するのが常だ。
さながらNHKの紅白歌合戦のごとく、レバノンでは彼の予言を放映する番組が、今や年末の風物詩ともなっている。ハーイクの名はレバノンだけでなく他のアラブ諸国にも知れ渡っており、予言が公開されると、周辺諸国のメディアがこぞってその内容を報道する。
彼の予言のやり方は、事前にメモした数百もの項目をテレビカメラの前で1時間以上にわたって読みあげるというものだが、なかには単なる単語の羅列のような内容で、にわかには判然としないものもある。
しかしいざ事件が起きてみると、彼の言葉がかなり正確であったと判明することも多い。過去には1985年のスペースシャトル・チャレンジャー号の事故、1995年のダイアナ妃死亡、1999年のトルコでのイズミット地震、2019年の新型コロナウイルスの発生、2021年にアメリカで起きた連邦議会議事堂乱入事件、さらに2022年のロシアによるウクライナ侵攻、2023年にはアルツハイマー病の治療薬の開発など多くの事件を予言し的中させてきている。
ハーイクは今回も、レバノンのテレビ局MTVに登場し、1時間以上にわたって、レバノンや中東諸国、さらには世界の他の地域で予想される出来事について、約400もの予言を列挙した。とてもその全部をとりあげるわけにはいかないが、中東のメディアや公開された動画に従って、注目されるものを紹介しよう。
ハーイクの予言はその大部分、具体的には300件以上が、彼の母国レバノンをはじめとする中東諸国に関わるものだ。その中東では年が明けた今でも、イスラエルによるガザ侵攻が継続中である。
昨年10月7日、ユダヤ教の律法の祭典であるシムハット・トーラーの祝日にあわせ、パレスチナ自治区の一部、ガザ地区を実力で支配している武装勢力ハマスが、イスラエルに対する大規模な攻撃を決行した。ハマスの軍事組織は、計5000発ともいわれる大量のロケット砲をイスラエル領内に発射しただけでなく、ガザとイスラエル領を隔てる壁を一部破壊、さらには複数の国境検問所を攻撃するなどしてイスラエル国内に侵入。祝日で浮かれていたイスラエルのいくつもの集落を襲撃して、婦女子を含む1400人以上を無差別に殺害、外国人を含む約240人を人質として連れ去った。
イスラエルはただちに、大規模な反撃を開始した。もともとイスラエルという国は、自国の生存が脅
かされると極端なまでに神経質な反応を示す。ハマスは過去にも何度か、ガザからイスラエルに攻撃をしかけたことがある。これに対しイスラエルは、常に過剰ともいえる反撃を行い、自国の被害者の数十倍にも及ぶパレスチナ住民の命を奪ってきた。たとえば2008年のガザ侵攻では、イスラエル軍の死者13人に対し、パレスチナ側には1300人以上の犠牲者が出ている。このときイスラエルはハマスの攻撃に対し、100倍返しの強烈な報復を行ったのだ。
今回の1400人もの死者数は、アラブ側の奇襲を許した1973年の第4次中東戦争に次ぐ多大なものであるから、イスラエル国民の反応も過激だ。今回の惨劇に対し、イスラエルは即座に戦時内閣を結成、ハマスの排除を目的としてガザへの大規模な空爆を開始、地上侵攻にも乗りだした。
過去何度も繰り返された衝突の例に漏れず、パレスチナ側の死者数はたちまちイスラエル人犠牲者の10倍を超えた。11月24日からは、カタールやエジプトの仲介努力もあって7日間の戦闘休止が実現したが、戦闘は12月1日に再開、年末までに2万人以上のパレスチナ住民が死亡し、多くの住民が難民として家屋を追われる悲惨な状態となっている。
さらには、レバノンのイスラム教組織ヒズボラもハマスに呼応するようにイスラエルに攻撃をしかけ、イエメンのフーシ派も、ホルムズ海峡を通過するイスラエル関係の船舶に対する乗っ取りや攻撃を繰り返している。
これに対しイスラエルはヒズボラに反撃、さらに年明けの1月2日には、レバノンの首都ベイルートでハマス幹部を殺害した。フーシ派の後ろ盾となっているイランに対しては、シリアにあるイラン革命防衛隊拠点を攻撃するなど、事態は国際的な広がりを示している。
しかしハーイクは、今回の事件を予言していたようだ。
じつは2023年の出来事に関する予言のなかに、「ユダヤ教の祝日に起きる出来事が国連、イスラエル、レバノンを激震させる」というものがあったのだ。また、「治安上の事件及び健康上の問題で、ネタニヤフ・イスラエル首相の地位が脅かされる」「ネタニヤフが苛烈な対応を行い、彼の過去が思いださせる」というものもあった。
ネタニヤフ・イスラエル首相は従来から強硬派として知られており、今回世界は彼のこうした姿勢を再確認している。一方、事件を事前に防げなかったネタニヤフ政権に対しては、国内で強い批判が寄せられている。ガザでの戦闘が一段落すれば、ネタニヤフ首相はじめ、情報機関や軍部の高官に対する責任追及は必至な状況である。
他方ハーイクは、2023年には「炎と破壊の後、ガザに平和が訪れる」とも予言していたが、この予言はいまだに実現していない。
では、2024年のイスラエル・パレスチナ情勢について、ハーイクはどう予言しているのだろうか。
彼は、「ガザの石油資源が確保される形で、出口が確保される」と述べている。はっきりしない表現ではあるが、パレスチナ側に不利でない形で事態が終息するというようにもとれる。
それが具体的にどのような形になるのかは判然としないが、「パレスチナにエジプトの軍隊」「カタール首長がパレスチナ問題でバイデン大統領の立場を変えさせる」とも述べているから、カタールやエジプトの仲介でなんとか事態の収拾が図られるということだろう。
他方「レバノンがイスラエルに攻撃される」とか、「イエメンがイスラエルの攻撃を受ける」、さらには「戦争の終わりが新しい始まりとなる」とも予言しているから、恒久和平の実現はまだ遠いようだ。
他に中東諸国に関する予言としては、「オマーン国王の健康不安」というものがある。またサウジアラビアについても、「王宮から緊急の発表」と述べて、何らかの変化を予言している。
オマーン国王ハイサム・ビン・ターリク・アール=サイードはまだ69歳だが、サウジアラビアのサルマン・ビン・アブドルアジーズ国王は現在88歳と高齢であるから、いつ指導者の交代があってもおかしくない状況である。
モロッコについては、「モロッコがテロの標的となる」と予言しており、新たなテロ事件の発生が懸念される。
興味深いのはイランに関する予言である。
まず、「イランは地震の時代に入る」と、地震災害の発生を示唆する予言がある。そしてもうひとつ、「イランのとある施設が燃えあがる」というものもあった。すると年明け早々の1月3日、イラン南東部ケルマン州の州都ケルマンにある墓地付近で、元イラン革命防衛隊司令官の追悼式が行われていたところ2回の爆発が発生するという事件が起き、84人が死亡した。
この事件についてはイスラム過激派の「イスラム国」が犯行声明を出したが、早くも予言のひとつが的中したようだ。
ガザ以外にも、2023年には世界が注目するもうひとつの戦争が継続していた。ロシアとウクライナの戦争である。
2022年2月24日、ロシア軍は隣国ウクライナに対する大規模な武力攻撃を開始した。当初ロシア軍は、ウクライナと国境を接する東部および南部だけでなく、隣国ベラルーシ領内からもキーウに向かって軍を進撃させた。しかし侵攻はロシアの思惑通りには運ばず、4月にはロシア軍はキーウ周辺から撤退を始めた。
世界第2位の軍事大国ロシアの前に敗北必至と思われたウクライナは、西側諸国の支援も得て予想外の頑強な抵抗を示し、9月にはロシアに占領されていた北東部ハルキウ州の大半を奪還した。
戦争が2年目に突入した2023年6月になって、ウクライナは大規模な反転攻勢に乗りだし、9月には南部ザポリージャ州でロシアの第1防衛戦を突破、10月には南部のドニプロ川を渡河してロシアが占領する東岸に進出するなどの成果も挙げたが勢いは続かず、戦線はほぼ膠着状態となって新年を迎えた。
このロシアのウクライナ侵攻について、ハーイクは侵攻の2か月以上前、2021年の大晦日に「ロシアとウクライナで大いなる破壊が起こる」と予言している。
他にもハーイクは「プーチンの星が消える」、「不完全な手段がプーチンに高くつく」、さらに「クレムリンが被害を受ける」など、ロシアの侵攻が思い通りにいかないと見越したような予言をしていた。
また彼は、「チェルノブイリを思いださせるニュース」があるとも予言している。
実際、1986年4月26日に大規模な爆発事故を起こしたチェルノブイリ原発は一時ロシアに占領され、さらにウクライナ南東部にあるザポリージャ原子力発電所に対しても攻撃が行われ、世界はかつての惨劇をまざまざと思いだしたのである。
ところが2022年の大晦日になるとハーイクは、「クレムリンが条件を提案し、ウクライナはその大部分に同意する」、また「ゼレンスキーの提案はすべてが拒否されず、彼はロシアが受け入れられる条件に達し新しい段階に道を開く」、「ロシアとウクライナの平和に道が開かれる」として、戦争が話し合いで終結するかのような予言を行った。
こうした一連の予言は、外れたといわざるを得ない。
ただ、彼は未来の出来事を予言はできるが、それが実際にいつ起こるかまでははっきりわからないという。つまりウクライナの和平についても、じつは2023年ではなく、今年、あるいはその後実現するかもしれないのだ。
実際2024年についても「ゼレンスキーの提案はすべて拒否されるものの、そのひとつがロシアで土壌を見つけ新しいページが開かれる」とか「ゼレンスキーの能力を越える新しいロードマップの製作が始まり可能性をもたらす」と、何らかの和平の実現に向けての動きを予言している。
またそのプロセスにおいては、バチカンやイーロン・マスクが関与するとも述べている。さらにこの問題については「アラブ諸国が乗りだす」とも述べている。
他方、「ロシアとウクライナでの政情不安」という予言もある。さらにプーチンについては、「プーチンの健康に関する噂は全部が噂ではない」と、彼の健康問題を予言している。
プーチン大統領の健康状態については、パーキンソン病だとか末期癌だとかさまざまな噂がある。もちろんロシア政府はすべて否定しているが、ハーイクによればこれらの噂のなかに正しいものがある、つまりプーチン大統領が何らかの病魔に冒されているということになる。
さらに、「プーチン暗殺計画が具体的な内容を帯びる」「ロシアのある地域でストリートファイトがあり、プーチンが大きな危険に直面する」、「プーチンの命が危険にさらされる」とも述べているから、プーチン大統領を脅かすのは病気だけではないようである。
アメリカやヨーロッパ諸国についてはどうだろう。
今年は4年に一度の大統領選挙の年であり、4年前と同様バイデン現大統領とトランプ前大統領の対決も噂されている。
ハーイクは選挙の結果については明言していないが、「大統領選挙を巡る混乱」とか、「選挙で同じような光景が見られる」と述べている。もしかしたら4年前と同様、票の集計を巡ってまたも混乱が生じるということかもしれない。またトランプ前大統領については、「健康上の問題が浮上する」とも述べて警告を発している。
他にもアメリカに関して、「アメリカの航空機が危険」「シルベスター・スタローンが倒れる」という予言もある。この「倒れる」という言葉の具体的内容は不明であるが、長年タフガイを演じつづけてきた肉体派俳優のスタローンももう77歳である。何らかの病魔に冒されることは十分考えられるだろう。
もうひとつ「アメリカの裁判所と裁判官が重大な犯罪的攻撃を受ける」という予言もあったが、なんと年明け早早の1月3日、ラスベガスの地方裁判所で、判事が被告人に襲撃されるという事件が発生した。この予言も早々に的中したといえるだろう。
2024年のヨーロッパ諸国に関してもハーイクは、いくつかの国での経済問題やテロ事件の発生を予言している。なかでも深刻なのはフランスのようで、ハーイクは「現政権が倒れる」「野党が勝利する」として、はっきりとマクロン政権の崩壊を予言している。さらに「フランスがテロの地となる」「フラ
ンスの道路で緊急事態が発生」とも。
実際、1月8日にはボルヌ首相が辞任。移民法の成立をめぐって政権の求心力も低下しており、フランスは混乱の時期を迎えている。
興味深いところでは、考古学上の新発見や異星人、あるいはUFOに関するものと思われる予言もある。たとえば「クフ王の大ピラミッドに新しい秘密が見つかる」というものだ。クフ王の大ピラミッドは2023年にも内部に新たな空間が見つかったが、2024年にも新発見が続くようだ。
さらに「絶滅に瀕した生物の復活実験が成功」「クローンでの重要な進歩」という予言もある。
現在、クローン技術を用いてマンモスやタスマニアオオカミなど、すでに絶滅した生物を復活させる試みがいくつか進行しているが、この分野で発展が期待されるということだろう。
さらに、「地球外生命体が人間をさらう」という予言もある。
いわゆるエイリアン・アブダクションについては、1961年のヒル夫妻事件以来UFO界では認知されているが、これが社会的にも公認されるということだろうか。「奇妙な物体がエジプトの海域や空をうろつく」はエジプトで重大なUFO事件が発生するということだろう。
なお、レバノンではハーイク以外にも占星術師のマギー・ファラハやカルメン・シャンマース、ライラ・アブドルラティーフ、マイク・フィガリーといった有名な予言者が何人かいる。彼らも、MTVのライバル局に続々と登場し、それぞれが2024年の出来事を予言しているのだが、残念ながら紙幅が
尽きたようだ。
羽仁 礼
ノンフィクション作家。中東、魔術、占星術などを中心に幅広く執筆。
ASIOS(超常現象の懐疑的調査のための会)創設会員、一般社団法人 超常現象情報研究センター主任研究員。
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