ここがムー文明の名残なのか? 南洋の古代遺跡「ナン・マドール」/ムー的地球の歩き方

文=中村友紀

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    ムーと「地球の歩き方」のコラボ『地球の歩き方ムー 異世界の歩き方』から、後世に残したいムー的遺産を紹介!

    海に組み上げられた人工島による古代遺跡

     太平洋西部、赤道のすぐ上に位置し、東西約2500キロに広がる小さな島々で構成されるミクロネシア連邦。そのポンペイ州のテムウェン島東岸に、謎の人工島群がある。
     ナン・マドールだ。


     約1.55キロ×0.7キロの海上に100以上の人工島が築かれたのは、西暦500年ごろから1500年ごろにかけてだといわれる。 工法としては、まず玄武岩で枠を作り、内側にサンゴや砂を入れて埋めるというもので、島どうしは水路で隔てられている。この水路を人々がカヌーで行き来していたので、「東洋のベニス」と呼ばれることもある。

    石で築かれたナン・マドール遺跡。土台はすべて人工の島だ。

    岩が飛んできて積みあがった?

     また、それぞれの島は王宮や神殿、歴代王の霊廟、住居など明確な役割をもって作られており、そこからも設計思想の高さがうかがわれる。
     注目すべきは、材料となった玄武岩の巨石だ。ひとつの石は5~25 トン。最大のものとなると90トンもあるといわれており、それらは10キロも離れた場所で採取されたことがわかっている。だが、それをどのようにして運び、海辺に積み上げていったのかは、現在でもまったくわかっていない。
     伝説では、「神々の力を借り、呪文を唱えた結果、岩が飛んできて勝手に決められた場所に落ちてきた」とされている。確かに、そうでも考えければ、とても不可能なのだ。

     そこで本誌的に浮かびあがってくるのが、太平洋上にあったとされる超古代文明、すなわちムーやレムリアとの関係だ。
     ただし、残念ながら年代は大きく隔たっている。考古学的な調査結果を見る限り、ムーの首都だったという説は成り立ちそうもない。だが、ムー文明の叡智と特殊な技術の一部がそこに残され、ナン・マドール建設の大きな推進力となった可能性はあるだろう。
     ナン・マドールへは、テムウェン島のホテルで希望すれば、ガイドや車を用意してくれる。島には空港もあるので、日本からはさほど困難な旅ではないはずだ。

    遺跡における島の配置図。神殿や霊廟、居住区などに分かれている。

    『 地球の歩き方ムー 異世界(パラレルワールド)の歩き方』。

    (月刊ムー2024年1月号より)

    中村友紀

    「ムー」制作に35年以上かかわるベテラン編集記者。「地球の歩き方ムー」にもムー側のメインライターとして参加。

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