奇跡を現出した神の化身伝説! 生まれ変わりの聖人サイババの神秘/羽仁礼・ムーペディア
毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、何もないところから聖なる灰や宝飾品を出現させ、死者をも生き返らせる力を持ったインドの聖人
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慈悲深い神の介在があったのだろうか――。合唱団のメンバー15名がその日の練習に全員もれなく遅刻したために誰一人として被害を受けなかった驚くべき教会爆発事故がかつて起きている。
聖書的な意味での“奇跡”とは、決して万が一の偶然のことではなく、神(あるいは神の子)の為せる業である。
旧約聖書に記されている最も有名な“奇跡”は、エジプト脱出に際してモーセが海を2つに割る奇跡だ。これは映画『十戒』のクライマックス・シーンでもある。
海が割れるような奇跡はビジュアル面でもわかりやすいといえるが、後になってから事の推移を冷静に検証することで奇跡が疑われるケースもある。その一つが1950年にネブラスカ州で起きたウエストエンド・バプテスト教会の爆発事故だ。教会の建物が全壊する爆発事故であったが被害者は皆無であり、後に「ネブラスカの奇跡」と呼ばれるようになった。
米ネブラスカ州ベアトリスにあるウエストエンド・バプテスト教会は、信者たちによるコミュニティ施設でもあり、尊敬を集めるウォルター・クレンペル牧師によって運営されていた。
教会の活動のハイライトの1つは、マーサ・ポールが指揮する聖歌隊であった。マーサは時間を厳守することで知られ、合唱団員たちは毎週水曜日の夜の練習には遅くとも午後7時25分までに教会にやって来るよう厳に求められていた。そして合唱団は、音楽と礼拝への情熱を共有する15人の献身的なメンバーで構成されていた。
1950年3月1日、クレンペル牧師はいつものように夕方に教会に赴き、まだまだ冷える夜に練習にやってくる合唱団員たちのために暖炉に火を入れた。クレンペル牧師にとってこれは水曜日のルーティンワークであり、暖炉に火が着くといったん近くの自宅へと戻った。
しかしこの日、教会内で異変が起きていた。教会の建物内でガス漏れが発生し、可燃性の高いガスが地下室からゆっくりと建物を満たしていたのである。
そして7時27分、建物内に溜まったガスが暖炉の火に引火して大爆発が起きた。教会の建物が一瞬にして全壊し、炎に包まれ、近くの家屋のいくつかの窓が爆発の衝撃で割れて一帯は騒然となった。
爆発の直後、練習のためにやって来た合唱団員たちは燃え上がる教会を見て唖然とするばかりであったが、犠牲になったメンバーを心配すると共に、お互いの無事をそれぞれ確認し合った。
消火活動が続けられていた教会に1人、また1人と合唱団員たちがやって来たのだが、お互いを確認しあうと最終的にメンバー15人全員がこの場にいることが判明して驚くと共に胸を撫でおろしたのである。
普段は練習に遅刻するような者はいなかったのだが、この日だけはどういうわけか15人全員が練習に遅刻していたのだ。確かにこれはある種の“奇跡”と呼べるのかもしれない。
いつもならまず遅刻するようなことはない合唱団員たちだったが、この日、具体的にどのような状況にあったのか。
聖歌隊リーダーのマーサ・ポールの娘であるマリリン・ポールは聖歌隊のピアニストであったが、その日、彼女は夕食後に練習に向かう前に少し仮眠をすることにしたのだが、やや寝過ぎてしまい、練習開始予定の10分前に母親に起こされて慌てて家を出たが遅刻は避けられなかった。
合唱団員で旋盤工であったハーバート・キプフは、この日に宗派本部に送るきわめて重要な手紙を書いていたのだが、仕上げるのに時間がかかってしまい、やむなく練習への遅刻を覚悟したのだった。
合唱団のアルト歌手である18歳のルシル・ジョーンズはラジオ番組が好きなのだが、夜に聴いていた番組の内容に魅了されてしまい、最後まで聴かずに家を出るのは不可能であった。
合唱団のソプラノ歌手である15歳のラドーナ・ヴァンデグリフトは、宿題の数学の問題に取り組んでいたのだが、没頭しているうちに出発時間が過ぎてまっていた。
姉妹で合唱団員のロイエナ・エステスと妹のセイディは予定通り出発時間に車に乗り込んだが、どういうわけかエンジンがかからなかった。ラドーナ・ヴァンデグリフトに迎えに来てもらおうと電話をしてみたが、前出の通り彼は数学の問題に没頭中であった。
合唱団員で母親であるルース・シュスターは、この日、母親の家で宣教師の集会の準備を手伝っていたのだが、作業に追われているうちに出発時間を超過してしまっていた。
教会のすぐ向かいに住む合唱団員で速記者のジョイス・ブラック・ラリモアはこの日、どういうわけか動くのが億劫になり、暖かい家から寒い外に出るのが躊躇われた。これまでこのようなことはなかったのだが、出発時刻を過ぎてようやく家を出たのだった。
普段は遅刻するようなことがないメンバーがある日、そろいもそろって全員遅刻するなどということが起こり得るのか。しかも、遅刻していなければ命にかかわる凄まじい爆破事故だったのである。
このウエストエンド・バプテスト教会の爆発事件は、何十年にもわたって人々を当惑させると同時に魅了してきた。
これを神の介入によるものと考え、一種の守護行為とみなす人もいる。また、これを異常な偶然、説明のつかないありそうもない出来事が重なったものと見る人もいる。解釈の如何にかかわらず「ネブラスカの奇跡」は人間の運命の不可解さを物語るケースだ。
大爆発でウエストエンド・バプテスト教会は瓦礫と化したが、コミュニティの精神は不屈であった。再建を決意した信徒たちによって同じ場所に新しい教会が建設されたのだ。今日、教会は立ち直る力と信仰の証とされており、逆境に直面したときの希望の力を思い出させる役割を果たしている。
この「ネブラスカの奇跡」は、世界中の人々の想像力を魅了し続け、“奇跡”としかいえないような現象が実際に起こり得ることをあらためて思い知らせてくれる。はたしてこれは神が介在した“奇跡”であったのか。あるいは強力な“虫の知らせ”などの第六感や予知能力に属する現象なのだろうか。そしてもちろん“奇跡的”な偶然である可能性も残されているが、これに類する出来事が今後も起こることがあるのか、大いに気になるところだ。
【参考】
https://mysteriesrunsolved.com/west-end-baptist-church-explosion-nebraska-miracle/
仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター https://twitter.com/nakata66shinji
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