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古代史にその名を記しつつ、所在地不明の謎の遺跡「ヘラクレス・ガディタヌス神殿」。地形データから推定されたその場所は、スペイン・アンダルシア州サン・フェルナンド沖。水中調査が進めば、歴史の1ページが露わになる。
古代史における最大の謎のひとつが「ヘラクレス・ガディタヌス神殿」、その所在地だ。
かのジュリアス・シーザーや、カルタゴの将軍・ハンニバルが参拝し、勝利を祈願していたといわれる神殿である。数々の古代文献にその名を残しながらも、どこにあったのかを含めて、いまだ多くの謎に包まれている。
この幻の神殿をついに発見したというニュースもある。

スペイン南部に位置するセビリア大学・考古学研究チームによると、ヘラクレス・ガディタヌス神殿がスペイン・アンダルシア州サン・フェルナンド沖の水中に眠っていることを突き止めたというのだ。
古代文献によると、神殿が建築されたのは紀元前8世紀頃。間口300m、幅150m程の大きさで、港の構造と船着き場が近くにあり潮の影響を受ける場所にあったという記述が残されている。所在については今なお諸説あるものの、その昔はカディス湾に囲まれた美しい島であったスペイン・フェルナンドに存在していた、というのが最も有力な説のようだ。
セビリア大学で考古学を専攻している大学院生リカルド・ベリソン氏は、古代サン・フェルナンドにおけるカディス湾海岸線を数値地形モデリング「LIDAR」で調べていたところ、干潮時に現れる構造物らしき謎のシルエットを発見。詳しく調査したところ、伝説のガディタヌス神殿にピタリと一致していたのだ。

セビリア大学はベリソン氏の報告を受け、アンダルシア歴史遺産研究所へ正式に協力を依頼。ナショナルグラフィック研究所と海軍海洋研究所からLidarデータの提供を受け、さらに詳しい検証を進めたところ、発見された謎のシルエットは、幻のヘラクレス・ガディタヌス神殿をとらえたもので間違いないと結論づけたのだ。
「私たちが分析した考古学的資料や、そのデジタル画像から、これは神話上のヘラクレス・ガディタヌス神殿で間違いない」
セビリア大学・考古学部長によると、神殿がなぜ、水中に沈んでいるのかは不明であるが、「恐らく湿地帯の海岸線と浅瀬の地形が長い年月をかけて変化したのではないか」ということだ。
数値地形モデリングのデータから、机上で遺跡を発見する。この新たな試みは「まさにスペクタクル!」だと話題になっているが、懐疑的な意見もあるようだ。
スペイン・コルドバ大学の考古学チェカ教授は、「これは三角測量の誤りであり、まったくリアリティが感じられない」と主張、データが正確に解釈されたものではない可能性を指摘している。それもそのはず。チェカ教授は2020年に「ヘラクレス・ガディタヌス神殿はカディス南方、サン・フェルナンド地区の殉教者の丘にある」と発表したばかり。今回のセビリア大学の発表に対し、真っ向から反論する姿勢のようだ。
セビリア大学は今後水中での遺跡発掘調査を計画しているというが、果たしてどちらが先に神殿を発見するのか。また違った目線からも興味深く見守っていきたいところだ。
大神ゼウスと人間アルクメの間に生まれた古代ギリシアの英雄神・ヘラクレス。彼を祀った神殿はいったいどこにあるのだろうか。

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