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急速に進展するAI技術が、私たち一人ひとりを“永遠の存在”に変えてくれる可能性がある。しかも、その新たな潮流が今年中に起きるという科学者。その真意とは?
昨今、相次ぐ著名人の訃報。もう世界のどこにも故人の姿はなく、私たちの記憶の中だけの存在になってしまったという事実に大きなショックを受けている読者も多いことだろう。
しかし、私たちの死生観は今、大きな転機にあるのかもしれない。なんと、肉体的な死を迎えた後も永遠の存在として生き続けることが、“今年中に”一般化すると著名な研究者が主張するとともに、「すぐに年配者は準備を始めるように」と呼びかけているのだ。
すでに2023年も3分の1が過ぎようとしているが、残り8カ月のうちに人間社会に起こる急激な変化について訴えているのは、シリコンバレーで数々のAIスタートアップを立ち上げたコンピュータ科学者、プラティク・デサイ博士。今月8日に、ツイッター上で博士は次のような見解を発表したのだ。
「あなたの両親や、高齢者、愛すべき人たちのことを日常的に録画・録音しはじめてください。十分なデータが集まれば、新たな音声合成や映像処理の技術によって、彼らが肉体的に亡くなった後でも、永遠にあなたの傍で生きてくれる可能性は100%になるのです。しかもこれは、年内にも可能になるでしょう」
博士の発言は4月10日付の英紙「Daily Mail」をはじめ多くの海外メディアがセンセーショナルに報じているが、要は残された人のために故人をAIによってアバターとして再現する技術が一般にも普及するという意味だろう。しかし、その動きがなんと2023年内(!)に本格化するため、今から大切な人の音声や映像のみならず、文章や蔵書に至るまで、その人にまつわるあらゆる情報を残しておくべき、ということらしい。
昨今は「ChatGPT」などのAIツールが誕生し、その精度が世界を驚かせているが、大量のデータを瞬時かつ高速に計算して最適なものを確率的に導き出しているにすぎないため、もちろん故人のアバターは“その人”ではあり得ない。しかも、私たちのあらゆる活動がデータとして記録される社会になればともかく、現状のアバターは近年話題になった「AI美空ひばり」のように、あくまでも故人の一側面や表層を再現したものに留まる。とはいえ、故人にまつわるデータを広く、そして深く集めれば集めるほど、再現されるアバターは故人そのものに近くなっていく。
そして、元グーグル技術者でAI研究の権威レイ・カーツワイル氏は、その先を見据えている。若くして亡くした父親をアバターとして復活させることに情熱を傾ける同氏は、故人のDNAまで含むあらゆる情報を活用し、さらにAI技術や計算能力が向上することでアバターが“意識を獲得した”といえるレベルに達する可能性も示唆しているのだ。
そもそも意識とは何なのか、しかもアバターの情報がハッキングされる心配は…… と、解決されるべき謎や課題が山ほど思い浮かぶが、今回のデサイ博士の呼びかけによって、大切な人ともっとたくさんの時間と思い出を共有しておこうと考える人がいるなら、それは決して悪いことではないはずだ。
webムー編集部
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