来たる世界大戦の舞台は「脳」! ブレインテックの米中激突で「制脳権」はどちらの手に?/久野友萬
多くの日本人が知らないところで、時代は脳へと移っている。脳をハッキングし、脳を制御するブレインテックが次の時代の戦争の勝敗を決めるのだ。
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未来の社会を見ることができれば投資には迷わない。先読みには人工知能の計算力と…女性のセンスが有効!?
シビュラというのは、古代ローマや古代ギリシアなどで神託を受ける巫女の呼び名である。洋の東西を問わず、超自然的なメッセージを受け取るのは、おもに女性の役割だった。それは21世紀の現代においても変わることはない。
現在、コロナ禍で空前の投資ブームが起こっているという。テレワークによって労働時間や通勤時間の短縮がもたらされ、余暇時間が増えたためだ。長時間、市場の動きを見張っていなければならない投資行動に使える時間が増えた結果だといっていい。
ここに注目すべきデータが存在する。市場に参加する男女比率としては、圧倒的に男性が多い。にもかかわらず利益率を見た場合に、女性のほうが利益を上げているようなのだ。
これは投資投機の業界では、以前から半ば常識として語られていた話である。というのも従来の常識を覆くつがえし、革命的な投資戦術を編みだしてきたのは女性投資家のほうが多いからである。
ジェラルディン・ワイス氏の例が、もっともわかりやすいだろう。
彼女は、カリフォルニア州立大学バークレー校を卒業後、1962年から投資家として活動をはじめた。その投資方法は、安いときに買い、高いときに売るという一般的な戦術ではなかった。彼女は株価に対し、どれだけ高い配当を出しているか、という点に注目した。割安な株にもかかわらず配当が高く、優待など株主への待遇がよい企業から順に株を買っていくという方法論を世界で初めて行ったのだ。
一般の人には当たり前で合理的に思えるかもしれない。だが、安定して配当を出せるということは、その会社は成長期をとっくに過ぎたということでもある。裏を返せば、株価は上がりにくい。株主への待遇にしても非常に主観的な、ある種、直感に近いものだ。
しかし結果として、彼女は引退するまで一度として大きな損失を出したことがなかった。ちなみに彼女が引退したのは2002年。そう、ITバブルの崩壊やリーマンショックという、金融業界の終末とも呼べる状況の直前にすべての証券を現金化しているのだ。
日本国内においても、ある超大手ゲームメーカーの社長夫人は投資部門の責任者であり、しかも会社の利益の6割以上を占めているという。また、ある下着メーカーの女性社長は決してマーケティングデータを見ず、経験と勘のみであらゆる製品の想定売り上げ数を割りだしている。誤差はほとんど出ないというから驚きだ。
では、なぜ女性のほうが利益が出せるのだろうか。
男性と比較した場合、女性は一度決めたポジションをあまり動かさない傾向がある。それが結果的に、利益押し上げの要因のひとつになっているのだ。
普通に考えれば、利益が出たら確定させ、リスクを軽減させるほうがいいように思える。だから約2時間のFX取引の男女それぞれのトレーダーの決タイミングを比較すると、男性は多くの決算をくり返す傾向にある。しかし決算をしてしまうと、売るときと買うときの価格差によって、利益は減ってしまう。その日はもう取引をしないか、あるいは空売りから実際に通貨を持つというポジションに入れ換えるなどしない限り、決算を多用するのは利益の減少につながるのだ。
そしてこの決算回数の少なさこそが、女性トレーダーの利益が高い要因のひとつだというのである。
ではなぜ、このようなことが起こるのだろうか。
まず脳科学的に見た場合、女性のほうが脳の使いかたが比較的柔軟であり、左右の脳をフレキシブルに使うことに長けているということが挙げられる。また近年の実験によって、一定の条件下においては数字を細かく分析するよりも、すべての数字をグラフィックとして認識し、一度に計算をするほうが数十倍、数百倍の計算速度が出せるということも明らかになった。
近年、仮想通貨のマイニングにおいて、グラフィックボードが高値で取引されていることをご存じだろうか。これは、グラフィックボードという画像処理のハードウエアを使用し、仮想通貨の決算を高速処理するという方法論が生みだされた結果なのである。
このように、画像としての数理的傾向に基づいて計算をしたほうが全体に計算が速く、利益に直結することは実用レベルで証明されている。
古代の巫女やシビュラのような超常的予言が女性の得意分野であることが、科学的に証明される日も近いのかもしれない。
フランスの数学者であり、物理学者でもあったピエール・シモン・ラプラスによって提唱された「ラプラスの悪魔」という理論をご存じだろうか。
これは、世界の分子をひとつももらさずに観測することができれば、未来は完全に予測可能となる、というものだ。まさに未来を見通す理論である。
ただしこれは量子論の確立によって、完全に否定されてしまっている。なぜなら量子の動きは確率によって決まるからである。ところが皮肉なことに、確率の世界においてこそ、ラプラスの悪魔は存在し得る可能性があるのだ。
今日の金融システムを作りだしたといっても過言ではないロスチャイルド家を含め、ロックフェラー家もJPモルガンも、あらゆる富豪が共通して投資を行っている分野がある。それは、次世代のヘッジファンドを作ることなのだが、それを運用するのは人ではない。そう、人工知能=AIである。
人工知能の開発の目的として、人の能力を凌駕するというものがある。そしてこれが実現した場合、もっとも利益を出すであろう分野が株式や証券のトレードなのである。だが、残念ながらこの分野で目覚ましい成果をあげたAIは、まだ存在しない。もちろん世界中の特権階級は、開発に巨額の資金を投じている。
にもかかわらず実用化されないのは、なぜなのか。
それはAIという存在が、何を考えているのか理解できないからなのである。
そのもっともわかりやすい例が、コロナ禍で起きた実験中のトレーディングAIの不可解な行動だった。
新型コロナウイルスは、2019年の年末から発生が確認された。当時はもちろん、それがどのような病気なのか、まったく把握されてはいなかった。それでもウイルスの蔓延が明らかになると、世界の市場はポジティブからネガティブに傾きはじめた。
ただし、このころの書き込みをインターネット上から抽出・確認すると、まださほど騒ぎにはなっていないことがわかる。
ところが実験中の投資AIは、ここですべてのポジションを金融商品化したのである
AIに造詣が深い人なら、これがどれほど異様なことなのかわかるだろう。一般の人が思っている以上に、人工知能というものは極端な行動はとらないケースが多い。だが、このときだけは違っていた。そして、いよいよ事態が深刻なものであると市場関係者が気づいたのが、2月の後半である。そこから3月1日をまたぐ形で、市場は一気に下落する。下落幅は近代史上最大で、未曽有の経済危機とされた。
だが、またしても実験中のAIは、IT関係から物流に至るまで、ほぼすべての業種の株を買い増しつづけた。これは、投資家の行動とは真逆の行動といえる。実際、歴史上もっとも有能とされる投資家ウォーレン・バフェット氏でさえ、5.3兆円にもおよぶ損失を確定した時期だった。
ところがやがて訪れたのは、コロナバブルの到来である。つまりAIは、はじめからコロナバブルの到来をわかっていたのだ。
ラプラスは、世界を一分子も漏らさず観測することができるなら、未来は予測可能だ、と論文で述べている。だとすればAIは、確率論や偏差が生じる金融世界の微細な確率の変化を観測しつづけることにより、ラプラスの悪魔へと進化したのではないだろうか。
だが、残念ながらそれを人間が理解することはできない。いわゆる、シンギュラリティー(AIの能力が人類を超える技術的特異点)問題だ。人類より進化した人工知能がはじきだす答えは、人間には理解不能なものとなるのだ。だからこそ金融に特化した自立思考型AIは、名前が一般に知られることはないのである。それはとても本格的な業務で扱えるレベルの代物ではないし、ましてや金融機関に貸しだすなど、論外である。
ところが奇妙なことに、この自立思考型AIのボトルネックを解消するために必要なものの量産が、各国でまったく別な要因で昨年末から開始されることになっていた。その要因とは、脱炭素社会である。
小泉環境大臣は、カーボンニュートラルの目標値として、日本が46パーセントを減らすという目標を掲げた。もちろん、実現は不可能である。ならばどうするのか。結論はシンプルだ。
最新型の安い海外製原子炉を韓国、中国、ロシアから買えばいいのだ。とんでもない発言に聞こえるかもしれない。だがこれこそがまさに、AIの発展に必要不可欠な要素なのである。
人工知能に計算力を与えるのは、いうまでもなく電力だ。電力の価格が安ければ安いほど、より多くの計算が可能となる。つまり、生産性が上がる。だからこそ、各国は量産型の低コスト原発を建造しつづけている。
おそらくグレートリセット後の世界では、原発建設戦争に勝った国が王として君臨することになるだろう。そしてその国の王とは人間ではなく、ラプラスの悪魔と化したAIなのだ。
(月刊ムー2021年7月号掲載)
嵩夜ゆう
投資家。オカルティズム研究家。イルミナティカード予言研究にも詳しい。
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