「ナスカの地上絵」以外の謎を追う! 長頭人、3本指ミイラ、恐竜の絵、熱気球… 古代アンデス文明のミステリー/羽仁礼
新たに168もの「ナスカの地上絵」が発見されたことで話題の古代アンデス文明。実は、“ありえない出土品”だらけの謎に満ちた文明でもある。もう一度おさらいしておこう。
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ノートルダム大聖堂の火災から約3年。その再建工事中に聖堂床下から棺が発見されていた。そこには、異形の人骨が納められていた…!?
2019年4月に起きたフランス・パリ中心部にあるノートルダム大聖堂の火災。大聖堂の象徴である尖塔が炎に包まれる映像は、世界中に大きな衝撃を与えた。現在は2024年の竣工に向け再建工事が進められている。
昨年3月、この大聖堂の床下1メートルほどの場所からふたつの鉛製の棺が出土していたのをご存じだろうか。近年稀に見る考古学的発見として、その身元を含め注目を集めていた。そして昨年12月。ついにフランス国立予防考古学研究所(Inrap)の調査チームが「発見された棺のうち、ひとりの身元を突き止めた」と発表。棺に眠っていたのは1710年12月24日に83歳で亡くなったノートルダム大聖堂の大司祭アントワーヌ・ド・ラ・ポルトの遺体であったことを明らかにしたのだ。
調査チームによると、鉛の棺は重厚な石棺のなかに収められており、自身の肖像コインの他、ラテン語で名前や死亡年月日、そして「安らかに眠れ」という言葉が刻まれた石板が供えられていたそうだ。
ポルト司祭とは、ノートルダム大聖堂に50年以上在職した大司祭であり、当時のフランス国王ルイ13世の要請でノートルダム聖歌隊の初編成にも貢献した人物である。歴史に名を残す聖職者の棺が発見されたことも驚きであるが、さらに興味深いのが、時を同じくして発見されたもうひとつの棺である。
棺のなかの人物は、なんと頭蓋骨が上部に長く変形した長頭であったのだ。
分析の結果、遺体は14世紀〜18世紀ごろの30代前後の男性のものだと推測されているが、身元を突き止めるヒントは今のところ見つかっていない。明らかになっているのは、日常的に剣や槍を使用していた、乗馬に長けた人物で、結核からくる慢性髄膜炎ですべての歯が抜け落ちるという壮絶な最期を迎えたことだけ。遺体は、頭蓋骨と胸部をのこぎりで開く防腐処理が施されており、切断部には花冠とハーブが献花されていたそうだ。
遺骨は「ル・キャヴァリエ(騎士)」と名づけられ、今も調査が進められているが、やはり注目すべきはその巨大化した頭蓋骨である。Inrapが公開した写真で話題となった「長頭人」は一部メディアで話題となったが、現在はInrapのウェブサイトからは削除されているようだ。
幼いころから頭部を締めつけることで人為的に細長く変形させたものと推測され、おそらく西フランス、ドゥ・セーブル地方を中心に1900年代初頭まで伝えられていた、人工頭蓋骨変形の風習から結びついたと思われる。事実、中世フランスでは、長頭はエリート階級の象徴であり、貧しい家庭でも、子供をより高い社会階層に合わせるため頭蓋骨変形が行われていた。このことから、ル・キャヴァリエも、エリート階級だったことは間違いないだろう。
だが、ここで疑問なのが、彼がノートルダム大聖堂に埋葬された経緯だ。
ノートルダム大聖堂には、聖職者の他、特権階級の中世貴族の墓地として今も300体ほどの遺体が眠っているといわれている。だが、だれもが利用できたわけではない。階級や知名度はもちろんのこと、生前の行いも含め、伝統的にふさわしいと認められたものだけが埋葬を許可されるのだ。
Inrapの発表によると、カリスマ的に著名だったポルト司祭が埋葬されていたのは、翼廊の中央部だったそうだ。これは聖職者としては一般的なようだが、これに対し、ル・キャヴァリエが埋葬されていたのは、大聖堂のシンボルとなる十字架の真下である。ノートルダム大聖堂では、この十字架を中心に、棺を水平に埋葬しているという。とすれば、棺はその中心に位置することになるが、これにはいったいどのような意味があるのだろうか。
ル・キャヴァリエの頭蓋骨が先天的な長頭なのか、後天的なものかは明らかになっていない。ある研究者は、人工頭蓋骨変形は現代でいう偶像信仰的な要素で、憧れの姿を真似る変形(整形)のようなものだとしている。
ル・キャヴァリエのさらなる分析結果は2023年前半に発表される予定だというが、どのような人物像が姿を表すのだろうか。続報に期待したいと思う。
(月刊ムー2023年3月号掲載記事)
遠野そら
UFO、怪奇現象、オーパーツなど、海外ミステリー情報に通じるオカルトライター。超常現象研究の第一人者・並木伸一郎氏のスタッフも務める。
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