世界を操る謎の組織の正体とは? 秘密結社イルミナティ/ムーペディア
毎回、「ムー」的な視点から、世界中にあふれる不可思議な事象や謎めいた事件を振り返っていくムーペディア。 今回は、フリーメーソンを支配下に置き、世界を自在に操っていると噂される秘密組織を取りあげる。
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ディストピアを先読みした予言書として話題の「イルミナティカード」。その細部に隠されたメッセージを考察する。 (2020年6月5日記事を前後編で再掲載)
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トレーディングカードは、コレクターがすべてのカードを集めたくなるように、消費者心理に基づいたカードデザインが行われている。それは、イルミナティカードも例外ではない。
しかし、イルミナティカードには、そうした常識を無視しているかのような、異様なデザインのものがある。
たとえば上の画像は、ベネフィットコンサートカードのなかのトリックアート画像で、非常におどろおどろしく、無気味な図案である。
この図案は、2015年にイルミナティカードが話題となったときから、ごく一部のカードを専門に投機するファンドマネージャーの間ではよく知られていた。だが、これまでメディアで取り上げられることはなかった。
この図案には、ある特殊な方法により、巧妙に暗号が隠されている。それこそがまさに、イルミナティカードの深淵ともいうべき部分なのである。
絵柄を見ると、手前には時計塔らしきシルエットが描かれ、後ろには祈るようにして手を組むフードをかぶった人物がいる。さらに背景には柱が2本立っている。そこでこのモチーフとよく似たイルミナティ・カードを取りだし、図案どおりに並べてみよう。そこには、ある未来が描かれているのだ。
まず、タワーが描かれているカードは、ここに挙げた2枚しか存在しない。絵柄と数字から、この並びが全カードのなかで一番合理的だと思われる。中央は「Multinational Oil Companies」。原油が噴きだしている場所は地球の位置から概算すると、おそらくEUのフランスである。
また、「Italy」カードのスカーフにサングラスの女性の姿は、かつての自動車の象徴である。また「Germany」のフォルクスワーゲン社のビートルらしき車は、世界でもっとも長期間にわたって製造された車だ。
では、フードをかぶり、手を顔の前で祈るようなポーズをしているシルエットについてはどうだろうか。
これも、同じように手を組んだり、フードをかぶっているカードが存在する。どれもが意味ありげではあるが、とくに「Backmasquerade」はきわめて不自然な絵柄ではある。
奥のギターを持っている男性は、イギリス系のミュージシャンに酷似しており、録音スタッフのように見える男性が着ている服は、なぜか赤いのだ。一見すると、左腕を組み、左手を顎の下にあてているような図柄に思えるのだが、実は、指の位置から、彼の顎の位置にある手は右手だということがわかる。
では、これはイラストレーターのミスなのか? そうではない。左手が不自然に消えているのには理由がある。
消えた左手は別のカードのなかに存在している。それが「Hat Trick」という、イルミナティ・カードではほぼ例外的に使われた赤い服をまとった左手が、茶色い帽子の下に手りゅう弾を隠そうとしている図柄である。
これが何を暗示しているのか、一時的に話題になったが、続報はなかった。
当初は1枚のカードごとに、別々の予言が書かれていると思われていたせいかもしれない。だが、その解釈は正しくない。トレーディングカードに意味を入れる場合には一定の法則があり、それを理解しない限り、暗号は解けない仕組みになっているのだ。
では、この帽子の持ち主はいったいだれなのか。「合意なきEU離脱」によって打撃をうけるイギリスだ。
「England」に描かれた人物だけが、唯一同じ茶色の帽子をかぶっていることからもそれはわかる。そして、奥に写っているビッグベンらしき時計塔は、トリックアートにも描かれたものだ。
このようにトリックアートから始まった一連の予言めいた内容を見ていくと、イルミナティ・カードが何の目的で作られ、その裏側でどのように使われていたかがわかってくるのである。
さて、前章で紹介したカードの背景の末路が、以下のカードである。
まずは多発的災害、または併合された論文「Combined Disasters」。
このカードでも「England」と同じような形状の時計塔が倒れかけている。実はこれこそがまさに、EU崩壊の始まりなのだ。
EUでは2025年から段階的に化石燃料車を廃止する。そのためフランスでは、日本円にして1リットルあたり約2円のガソリン税を施行しようとしたが、主催者不明のイエローベスト運動により廃案になった。イルミナティ・カードは、まさにそのデモの様子そのものに見える。実際、現在のEUは、混沌とした状態になっているのだ。
イタリアやドイツでも金融不安が表面化しつつあり、フランスでは環境問題を発端とした暴動やテロが頻発している。さらにイギリスでは、再びIRA(アイルランドの武装組織)が息を吹き返しはじめている。それらはすべて、EU全体のありかたに疑問を持つ国家で起こっており、それを抑制するためにEUは、離脱のペナルティとして多額の賠償金と懲罰的な関税を要求しているのである。
その裏で糸を引いている、つまり手を顔の前で組んでいる人物こそ、ゲームのタイトルであるイルミナティなのだ。
彼らは決して表には出てこない。顔を隠し、世界の何の関係もないと思われるような事象を操ることにより、全体の流れを作りだしている。その証拠に、どの地域の暴動やテロでも、フードをかぶった者たちがデモを、無秩序な暴動に変えていったのである。
運動やデモ、そこから発展した暴動は、いずれも自然発生的に起こったとされている。だが現実的に考えれば、そんなことが不可能なのは明白だ。
それを可能にするのは、行動心理学の高い知識を有し、どんな人間に集会参加を呼びかければ効果的なのか、どのように語りかければ多くの人間が参加するのか、そしてどういった単語を折り込めば、潜在的な暴力衝動がある人たちを動かすことができるのか、熟知している者だけである。
数十人ならともかく、数万人、十数万人といった単位でこれを行えるような人間は決して多くはない。
逆にいえば、断じて自然発生的には起こりえない現象なのだ。
これこそがまさにイルミナティカードに隠されている真の陰謀であり、同時にイルミナティが作りだす世界の終焉の始まりを暗示しているといっていい。
ゲームとしてのイルミナティカードでもっとも強いのは、スペシャルゴールに簡単に近づくことができる「New World Order」(新世界秩序)というカードだ。
では、新世界秩序とはいったいどのような世界観なのだろうか。
ひと言で説明するなら、「新たなる階層階級主義」とでもいうべきか。だとすれば、自分や友人たちは「新たなる階層」のどこに身を置くことになるのか。それが具体的に想像できるほど、イルミナティカードに描かれている近未来の世界観はリアルである。
「Antiwar Activists」(反戦活動家)というカードがある。描かれた男性は戦車にひかれかけているにもかかわらず、決して恐怖してはいない。彼の左手をよく見てほしい。指で輪を作る、あの独特のハンドサインをしているのだ。
そして右腕には、黄色い三角形のエンブレムが描かれている。これこそが、新世界秩序なのである。イルミナティカードでは、このエンブレムがいたるところに存在する。そのなかでも黄色いエンブレムは、一定の役割を果たす自由市民階級を意味するものだ。だからこそ「Citizenship Award」(市民権賞)というカードの人物らは、黄色いエンブレムを手に入れたことを喜んでいるのである。
しかもこうした階級は、人種や性別、宗教、社会的地位とはまったく無関係に分担されている。極端にいえば、無名の一般市民が大統領よりも階級が高いという事態も起こりうるのだ。
ちなみにイルミナティカードでは、赤いエンブレムは表向きの支配階級、あるいは、扇動者階級を意味する。
「Impostor」(経歴詐称の人物)というカードに描かれているように、一般的には大統領や学者、ミュージシャンなどがこの階級に含まれるようだが、なかには10代の若者もいる。
たとえばネット世界で無秩序的に起こる「炎上」という状況は、未来の階級に年齢が関係ないことを示している。現代社会においては、知識と才能さえあればだれもが扇動者になりうるのだ。多くの人間を動かすことで、本来なら騒ぎにならないはずの「事件」を作りだすことができる。そしてそれは、本質的な出来事から目を背けさせるという、高度な政治的テクニックにもつながっていく。
扇動者が10代であろうと70代であろうと、それは変わらないのだ。
ならば、扇動者たちの背後にいるのはだれなのか。それが「Supreme Court」(最高裁判所)というカードに描かれた者たち、イルミナティである。
カードでは彼らは、黒と白のエンブレムを保有している。いたるところに登場するが、内容とは無関係なことが多い。だが、彼らは最高裁判所の判決を歪め、世界中の富を集め、混乱を引き起こすことにより、世界を望むべき未来へコントロールしているのである。
ところが――彼らとは別に、同等の権限を持つ異質な存在がいることもイルミナティ・カードは予言している。「Eliza」(イライザ)というカードに描かれた女性がそうだ。ただし、彼女は人間ではない。もっとも古くに作られた人工知能なのである。にもかかわらず彼女は、イルミナティカードのなかでも最高階級のブラックエンブレムを所有している。
イライザはもともと、コンピューターはどれだけ人間と同じように行動できるかということを研究するために作られた人工知能だった。だからある意味においては、現代の人工知能よりも人の知性に近い存在といえる。そのイライザの研究・開発が今もなお続けられているとしたら、彼女はすでに人と同等か、あるいはそれ以上の知性を獲得しているかもしれないのだ。
ともあれ、最高位の支配階級であるブラックエンブレム=イルミナティはどのように世界を動かしてきたのか。
そもそもマクロ経済のありようというものは、20年から40年というスパンで計画され、実行されてきたという歴史がある。一例を挙げれば、フィラメントが切れない電球やハイノックスが出ない燃料などは、経済のパワーバランスの観点から排除されるといった「イルミナティによる経済支配の歴史」もまた、厳然と存在してきたわけだ。
しかし一方で、陰謀の否定論者にはこういった意見もある。
「何百年という時間を使ってきたのに、いまだに世界征服ができないなどということがあるだろうか?」――と。だから、イルミナティなどという組織は存在しない、というのである。
なるほど、正論に聞こえるが、答えは否だ。なぜなら現代社会で世界征服をするには、国家や軍隊など必要としないからだ。肝心なのは、国家がその組織に打撃を与えようとすると、自分たちも膨大な損失を出してしまうという資本の盾を作ることなのである。それが実現できたとき、その集団は国家をはるかに超えた巨大な権力を手にすることができるのだ。
実際、「ヨハネの黙示録」に登場する四騎士にもたとえられる世界的な集団は存在する。その集団に共通する概念は「グローバリゼーション」と呼ばれているが、それを支えているのはグノーシス的な概念である。
彼らは、知識を有している者、それを積極的に取りいれようとする者が常に成功者であり続けなければならない、というのだ。とても公平に思える概念なのだが、半面でマイナーなカルチャーや欧米の価値観にそぐわないものを弾圧するという面もある。
そしてこれは「ヨハネの黙示録」の「名簿に名前がない者と犯罪を犯した者は、決してその城に入ることができない」という記述とも酷似している。
実際、インターネットでは名簿、つまりIDやアカウントがなければ発言権さえなく、サイトが価値がないと判断した者には、管理者が自由に権利や財産を没収することもできる。まさに「ヨハネの黙示録」の記述そのものであるし、見方を変えれば、自らの手によってその予言を成就させようとしているようにも思えるのだ。
さて――。
最後は、これまであまり紹介されてこなかった「スペシャルゴール」という特殊なカードを紹介しておこう。これはイルミナティ・カードのブリスターパックを購入したときに、確率上は30パック購入して1枚入っていればかなり運がいいというものだ。それくらい希少であり、同時にゲームバランスを崩しかねないほど強力なカードである。
とはいえ、筆者が注目するのは、そのカードに書かれた内容だ。
この10枚の「スペシャルカード」には、通称「フレーバーテキスト」と呼ばれる部分が存在する。フレーバーとはすなわち、ゲームを盛りあげるためにつけ加えられたストーリーや文章ということだが、ここに実に興味深い内容がみてとれる。
そこですべてのカードにおけるフレーバーテキスト部分のみを抜きだし、秩序だった文章にしてみると、以下のようになるのだ。
イルミナティカードに記載されているイルミナティ宣言
われわれは、われわれのための行動を開始する。それらは2種類の象徴によって成り立つ。
ひとつは、金融の支配とその習性である。
ひとつは、ありとあらゆる権力構造、政府すら凌駕する能力の獲得である。
そして、私たちはそれらのグループを自由に、自在に、再編成することができる。
たとえ、攻撃に失敗したとしても、イルミナティ以外のありとあらゆる集団の攻撃は無意味である。
たとえ、暗殺や破壊活動があろうとも、われわれの特権は世界で唯一無二であることを宣言する。
そして、われわれは世界のありとあらゆる権力者と等価か、それ以上の力を持つことになるのだ。
どうだろうか。
これまでイルミナティという存在に関しては、さまざまな考察がなされてきたが、このフレーバーテキストに書かれた内容は、まさに彼らの実態を的確にいい表しているように思える。
ひょっとしたらイルミナティの世界征服は、すでに完成しつつあるのかもしれない。
(2020年6月5日記事を再掲載)
嵩夜ゆう
投資家。オカルティズム研究家。イルミナティカード予言研究にも詳しい。
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