黄道十二宮の意味と歴史「ゾディアック 獣帯あるいは黄道の十二星座」/ムー民のためのブックガイド

関連キーワード:

    「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

    ゾディアック 獣帯あるいは黄道の十二星座

    フランツ・キュモン 著

    ゾディアックの持つ意味とその歴史を解き明かす

     ゾディアックとは、占星術でいう黄道十二宮(獣帯)のこと。俗にいう「○○座」であり、「古人たちにはこの中を諸惑星が動くものと考えられた」。本書は、このゾディアックの持つ意味とその歴史を、古代のバビロニアにまで遡って説き明かす、純然たる学術書である。
     実は本書は、著者キュモンが1919年に『ギリシャ-ローマ考古学辞典Dictionnaire des Antiquités grecques et romaines』のために書き下ろした論考で、同辞典のZの項に収録されている(これだけでも、その辞典全体がいかに膨大なものであるかがうかがえようというもの)。

     著者のフランツ・キュモン(1868-1947)はベルギーの宗教史家であり、比較宗教史の分野では「周知の碩学」にして、「古代密儀宗教研究の泰斗」。そしてこの学術書の翻訳の労を執られた大橋喜之氏はローマ在住の翻訳家であり、斯道の大家である。あの『ピカトリクス』や『逃げるアタランタ』(いずれも八坂書房)の翻訳者といえば、その凄味もご理解いただけるのではないか。

     成立過程からして、当然ながら極めて専門的な内容だが、あくまでも大辞典の1項目ということもあり、量的にはさほどでもない。また、歴史的モニュメントを中心とする、極めて珍しい図版(口絵はフルカラー、本文は単色)が大量に収録されているので、それだけでも価値がある。占星術に少しでも興味のあるなら、書架に備えておくべき名著である。

    大橋喜之 訳/八坂書房/3960円(税込)

    (月刊ムー 2026年05月号掲載)

    関連記事

    おすすめ記事