江戸時代の浅草でほぼ裸の男が降ってきた…奇譚/妖怪補遺々々
天から降ってくるものは、雨雪のみにあらず。黄砂、隕石、果ては魚や金属片、そして……人も降ってきます。今回は、浅草で起きた奇妙な人降り事件を補遺々々しましたーー ホラー小説家にして屈指の妖怪研究家・黒史
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堤 邦彦 著
怪異とともに暮らす江戸の人々の精神世界を解く
『耳嚢』。聞き慣れない名称かもしれないが、これは江戸時代の奉行・根岸鎮衛(1737-1815)が30年の長きにわたって聞き集めた雑話集で、当時の怪談奇譚が多く含まれることで知られている。
本書は、この『耳嚢』を題材として、「江戸怪談の精神世界」に斬り込み、「文学の周辺に散らばる文化事象を立体的に捉える」試み。「二百年前の人々の目に触れ耳に達した怪談・奇談のありようを、できる限り彼らの感性に近づきながら読み解いていく」作業である。
何しろ著者によれば、「日本の説話史、怪談史に占める『耳嚢』の位相を見究める視点を得てこそ、初めて江戸後期に目鼻立ちを整える日本怪談の基本スタイルが見えてくる」のだ。俎上に上げられるのは、伝承文学、芸能史、寺社縁起、宗教民俗など、多岐にわたっている。これらに少しでも興味のある方は、ぜひ挑戦していただきたい。
著者の堤邦彦氏は、慶應義塾大学大学院卒の文学博士で、現在は京都精華大学名誉教授。怪異や怪談の研究をライフワークとされており、著書の『京都怪談巡礼』(淡交社)はかつて本欄でもご紹介した。
版元である吉川弘文館は、歴史学を中心に良質な人文図書を世に問いつづける、まさに本邦出版界の良心。そんな出版社の看板シリーズともいえる「歴史文化ライブラリー」の一冊ということで、万人におすすめできる良書である。

(月刊ムー 2026年04月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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