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オースティン・オスマン・スペア 著
本邦初! オースティン・オスマン・スペア自身の著書が翻訳刊行。多数の絵画作品も収録
オースティン・オスマン・スペア(1886-1956)といえば、一般的な知名度はそれほどではないかもしれないが、こと魔術界隈においては、押しも押されもせぬビッグネームである。
ロンドンの警察官の息子として生まれた彼は、王立美術学校で絵画教育を受け、やがて画家・デザイナーとして身を立てる(ちなみに本書のカバー画はスペアの自画像)。
もともと、神秘主義や象徴主義に親和性のあった彼だが、かの魔術師アレイスター・クロウリーとの交流により、魔術の世界に覚醒。「無意識」を人間の魔力の源泉と見なす独自の魔術理論(1970年代に登場した「ケイオス・マジック」の源流となるもの)を確立した。
なお、「ケイオス・マジック」に関しては、何をおいてもその用語の産みの親であるピート・キャロルの『無の書』(国書刊行会)が必須文献であるが、残念ながら現在では絶版となっていて、古書価格も高騰しているので、入手は容易ではない。
本書は、そのスペアが1913年に自費出版した〈シジル魔術〉の理論書である『快楽の書』に、後年の自動書記による詩作品『ゾスの呪詛』を付し、さらに詳細な解説と、スペア自身による多数の絵画作品を収録した、スペア魔術の決定版である。
翻訳者によれば、この『快楽の書』は、スペアの「魔術哲学が体系的に示された」唯一の著書であり、「徹底して練られた魔術思想の書」。「難解で、詩的で、ときに狂気を帯びるが、その言葉は精緻に組み立てられ」ている。
その難解な書物の、翻訳の労を執ってくださったのは、自らもかの〈光の侍従〉会で研鑽を積んだ、正真正銘の魔術師である「知られざる呪術師(Le Sorcier Inconnu)」氏。そんな彼が断言するのだ、「シジルは効く」と。ならば読まずにはいられない。何しろスペアにとっての『快楽の書』は、アレイスター・クロウリーにとっての『法の書』に当たるものなのである。
このスペアに関しては、これまでにも、数々の魔術関連書籍等で紹介されたことはあるものの、彼自身の著書が翻訳刊行されるのは、これが本邦初。何とも贅沢な時代になったものだ。
魔術ファンにとっては、まさに待望・垂涎の一冊であり、諸手を挙げて歓迎・推奨する次第である。

(月刊ムー 2026年04月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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