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桜の花出版編集部 編
2歳を過ぎたころから、戦闘機に興味が! 80年前に戦死した元特攻隊員の記憶を持つ少年
福井県在住の谷常佑君は、2014年生まれの11歳。どこにでもいる小学5年生の少年である(2025年現在)。
だがこの常佑君、ひとつだけ、他の子供とは明確に異なる個性を持っている。何と彼は、80年前に戦死した元特攻隊員「穴澤利夫」としての記憶を持っているというのである!
本書は、版元である「桜の花出版」の編集部が、この常佑君に長時間インタビューを敢行、常佑君の過去世の記憶を余すところなく明らかにする、驚愕のノンフィクションだ。またその成立には、後にご紹介する『生まれ変わりと臨死 7つの記録』の著者である、バージニア大学教授の大門正幸氏も深く関わっている。
穴澤氏の記憶を語る常佑君の口調も内容も、とても小学生とは思えぬ堂々たるもの。特攻隊員から見た現代の日本人に対する苦言・提言もさることながら、戦闘機「隼」の詳細な操縦方法(何と1章分にもおよんでいる!)に関しては、とうてい書物や映像などで学べる付け焼き刃的なものではなく、まさに体験者にしか語り得ぬ生々しいもの。これだけでも常佑君が、穴澤氏と記憶や体験を共有していることは、明白であると思われる。
正直、本書だけで「生まれ変わり」という現象やその仕組み、あるいは「あの世」というものの存在が、完全に証明されるというものではない(実際、少年自身「あの世」にいたときの記憶が明確にあるわけではなく、漠然とイメージしているに過ぎないようだ)。
ただし、過去に生きた人間の記憶や意思、情念のようなものが、時空を超越して別の人間と共鳴・共有されるような現象が、確かに存在するということは、事実であるとしか思いようがない。
ところで、本書には、常佑君として転生した穴澤氏が、靖國神社を訪ねるエピソードがある。
靖國といえば、しばしば特定の外国から単なる「政治的装置」としてことさらに問題視されがちであるが、本書では、この神社が、文字通り英霊のおわす神聖な慰霊の場であることを、他ならぬ英霊ご自身が証言している。
しかもその証言も、決して軍隊や軍国主義を讃美するようなものではない。何しろ穴澤氏は、靖國神社には当時の嫌な上官がいるので、自分は本当は、現世では「行きたくなかった」と身も蓋もないことをいっているのである!
生まれ変わりという現象の不思議さを紹介しつつ、今を生きる日本人の心構えにも一石を投じる必読書。

(月刊ムー 2025年12月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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