ゴリパラは怪奇スポット巡礼者だった!? 日本橋のご当地妖怪も出現した「ムー怪奇ゲームフェス」レポート

文=鈴木翔子

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    2025年8月10日、コングレスクエア日本橋10周年記念で「ムー怪奇ゲームフェス with ゴリパラ」が開催された。怪奇、ゲーム、ゴリパラ、そしてムーというカオスの組み合わせの模様をレポートする。

    「ゴリパラ見聞録」のムー的見どころ

     テレビ西日本で放送されている博多発の旅バラエティ番組『ゴリパラ見聞録』。2024年に15周年を迎えた人気番組だが、実はムーとして見逃せない「怪奇」が多々発見されている。その真相に迫るべく、2025年8月10日、3人を東京・コングレスクエア日本橋でのイベントゲストとして招き、ステージにて「真相」を伺うこととなった。

    「ゴリパラ見聞録」。テレビ西日本公式サイトより。https://www.tnc.co.jp/goripara/

    『ゴリパラ見聞録』は、お笑い芸人の3人、ゴリけんとパラシュート部隊(斉藤優、矢野ぺぺ)が人間性むき出しで旅をするドキュメンタリーバラエティだ。行き先は視聴者から募り、あみだくじで決定。行く先々でを酌み交わし、泣き笑いしながら目的地へ向かう姿が人気を集め、2024年には放送15周年を迎えた。

     観光名所や珍スポットのほか、いわゆるパワースポットへの訪問も多い。具体的には後述するが、ローカル番組が15周年を迎え、各地のイベントでもキッズ(ゴリパラ見聞録のファンの愛称)が駆けつけるようになった人気ぶりをみると、ロケ先のご利益も寄与した可能性が高い。

    この日のためだけに作った贅沢なバックパネル。キービジュアルは原田ちあきさんによるもの。たくさんのキッズがこの前で写真を撮ってくれて嬉しい限り。

     そんな3人を迎えた本イベントは、3人が旅の途中で体験した怪奇現象を掘り下げるトークと、今夏、日本語版が発売された悪魔祓いがテーマのホラーゲーム『Faith: The Unholy Trinity』(ハピネット)のリアルゲーム実況の2部構成。

    左から斉藤優、矢野ぺぺ、ゴリけん。3人が着用しているのはハワイ某所で目撃されたUFOの写真をもとに作ったムーオリジナルTシャツ。

    第1部:怪奇トーク with ゴリパラ 3人が体験した怪奇現象をムーが解説

     ステージでは、ゴリパラの3人がこれまでに訪れたパワースポットのなかから、ムーが特に気になったものをピックアップし、彼らが遭遇した不可思議な出来事についての振り返りトーク。その一部を読者にも共有する

    開運スポットで写真を撮ったらひとりだけ顔が真っ黒に

     まずは、ムー界隈でも有数のパワースポットとして知られる茨城県常陸市の「御岩神社」。開運情報が流れ始めてすぐの頃に3人が訪れており、オカルト情報感度の高さにムー編集部も驚かされた。

     そして注目したいのが、そこで撮られたスリーショットだ。なんと、中央に写っているぺぺの顔だけが黒いのだ。

    ムーが注目したのが右上の写真。念のため言っておくが、ムー編集部が加工をしたわけではない。もちろん、番組スタッフもしていない。

     ちなみに「事故物件住みます芸人」こと松原タニシも、集合写真でひとりだけ顔が黒くなったことがあり、それを見たお坊さんに「5年後あなたは大変なことになる」と言われたとか。彼らが御岩神社を訪れたのは2024年。2029年、ぺぺの身が無事であることを祈るばかりである……。

     が、写真を見ながら斉藤が「この収録後、テレビドラマ『めんたいぴりり』に出演が決まった」「3人でTBSのドラマ『クジャクのダンス、誰が見た?』にも出られた」とそのご利益っぷりを語っていたから、おそらく大丈夫だろう。

    第二の人格“マモル”の降臨

     さらなる怪奇現象についてこんな証言があった。番組で旅をしていると、突如、ぺぺに攻撃的な第二の人格“マモル”が現れることがあるというのだ。「大体、旅で2泊ぐらいすると現れる。あとゲーム実況の生配信で負けたときにも」とは斉藤の体験談。ゴリけんは、「四国お遍路で八十八か所をまわった最終日に現れ、ご住職を『くそ坊主』と呼んだ」と話す。とんでもないヤツである。

     ちなみに斉藤によると、マモルは「死んだら人は無になる」「お化けはいない」と超常現象に対して徹底的な懐疑・否定派。「だからマモルはムーの天敵のような存在なんですよ」(斉藤)、「よく今日ここにぺぺを呼んだなと思いましたよ」(ゴリけん)とのこと。

     それはもうマモル=ペペということになってしまうが、ムーとしては、マモルの存在を憑依現象の一種のように思える。怪奇現象そのものが超常現象を否定するのは自己否定なのではないか。さらなる調査が必要だ。

    悪霊マモルに憑依されがちなペペ。存在が怪奇現象なのか。

    全国各地に突如現れるご当地妖怪

     番組のファンにはおなじみなのだが、「ゴリパラ見聞録」のロケ中に「木太郎」「花太郎」、「湯けむり三太郎」など、ご当地妖怪が頻繁に登場することも多い。そのひとつが兵庫県を訪れた際に遭遇した「坂道ゴロウ」だ。物陰から坂道を登ってくる人をじっと見つめ、声をかけると「どこから来たの?」と聞き、坂道をゴロゴロと転がって、最後に側溝にはまる。

     妖怪たちは、見つけるといつのまにか消えてしまう、謎の存在なんだとか。斉藤はいずれも、「収録内容として、いいくだりができないときに現れる妖怪」と分析。尺をもたせるために存在する番組想いの妖怪ともいえよう。

     どこにでも現れる……であれば、会場の日本橋にも?

     会場内のそんな思いを察したのか、ステージで動き出す影があった。「で〜で〜で〜で〜」と某レジェンドバンドの橋の歌を口ずさみながら現れたのは……日本橋の妖怪! その名も「橋太郎」だという。
     見た目としてはゴリけんによく似た橋太郎はくるりと身を翻して自己紹介し、とくに何をするでもなく、退場していった……。

     生の妖怪に遭した会場のキッズたちは、拍手喝采の大盛り上がりだったが、見た限りの「出現」で「妖怪である」と納得させてしまう事実こそ怪奇現象だったのではないか。

    「いつかムーとコラボして、ご当地妖怪だらけのお化け屋敷を作りたい」と、ゴリけんは語る。ムーとしてはこうも簡単に妖怪が発見されてしまっては、日々妖怪文献と向き合う研究者の姿が脳裏をよぎり、とても複雑な気持ちである。

    プリウスのように静かなUFOに遭遇

     トーク最終盤には、突如、斉藤氏がUFO目撃談を披露。とある番組に出演した際、ロケ終了後に出演者のおじさんから、「僕、UFO呼べるんです」と言われたそう。

    「ロケバスに戻り寝ていたら、スタッフが『UFO! UFO!』と呼びに来て、カメラを持ってダッシュで行ったら本当にいたんですよ。発光体がばーっと飛んで、3つにわかれて……しかも、めちゃめちゃ大きいのに、プリウスくらい静か。底にはドーム型の窓が付いていた」と熱弁。
     斉藤は「UFOは絶対にいます」と断言。第1部の残り時間わずかのタイミングに飛び出したUFO話に後ろ髪を引かれながらも、タイムアップでトーク終了。

     機体の窓まで見えるほどの目撃は実に気になる。なぜ写真を撮っていないのか! 呼べるというおじさんを含め、改めて取材したいところだ。

     さきほどの妖怪・橋太郎とUFOネタの迫真性のギャップが著しく、ゴリパラ、おそろしいほどの、奇妙な集団である。

    トーク後の記念撮影タイム。3人は、ムーの「ム」ポーズの向きが合っているか確認中。

    第2部:ホラーゲーム『Faith: The Unholy Trinity』で悪魔祓いに挑戦

     第2部は、悪魔祓いが題材のホラーゲーム『FAITH: The Unholy Trinity』の日本語版を、3人がプレイするコーナー。
     本作は「歩く」「十字架を掲げ悪魔や事物を浄化する」の2アクションのみのシンプル操作だが、悪魔にぶつかると主人公は即死亡、とファミコン時代のゲームを彷彿とさせる難易度の高さ。今回は、3つあるチャプターのなかからチャプター1のクリアを目指す。YouTubeでゲームも配信をしているという3人だが、1時間のイベント中に、無事、悪魔を祓えるのか?

    『FATH: The Unholy Trinity』とは?

    © New Blood Interactive
    © Airdorf Games. Licensed to and Published in Japan by HAPPINET CORPORATION.
    Nintendo Switchのロゴ・Nintendo Switchは任天堂の商標です。

     舞台は1980年代のアメリカ。神父のジョンが悪魔に憑かれた少女エイミーを救うため、森や屋敷を探索する、というストーリー。
     8ビット風のレトロなピクセルアートだからこそできる生々しくグロテスクな表現と、アニメでも使われているロトスコープ技術を組み合わせたぬるぬるとした不気味な動きが特徴だ。
     ゲーム中の行動によりエンディングが12種に分岐し、さらにエンディングを集めると様々なモードが解放される、やり込み要素の強い作品だ。1980年代の「悪魔崇拝の恐怖」からインスピレーションを得た物語は、オカルト視点でみても興味深い内容になっている。

    森や館などを探索し、呪物の浄化&悪魔祓いを行いながら、過去の出来事が断片的に書かれているメモを集め、悪魔祓いの謎に挑む。メモを全部集めずともクリアはできるが、それだと物語の真相はわからないままだ。

     プレイ開始早々、3人用のモニターが映ったり映らなかったりを繰り返し、怪奇現象もどき(おそらくただの接触不良)とともにスタート。1人用のゲームのため、1回ミス(死亡)するごとに交代で遊ぶという、ファミコン時代の小学生のようなスタイルを採用した。

     まずはゴリけんから。会場に駆けつけてくれたハピネットの竹内さんから簡単にレクチャーを受け、いざ森を進むと、画面が変わった瞬間に後ろから現れた悪魔と接触して即死亡……。
     続くプレイヤーはぺぺ。ゲーム慣れしているようで、悪魔の奇襲を神回避し続けるも、十字キーで操作しにくい斜めから悪魔に襲われ選手交代。横スクロールアクションよりも簡単そうに見えて、悪魔の動きが素早いかつ予想外で一瞬でも気を抜くと襲われ、やり直しになるのだ。

    悪魔祓いのメイン現場となる館。中を探索していると、ある時点からBGMが消え無音に……。「家で一人でやっているとマジで怖いんです」と竹内氏(写真左)。

     悪魔に襲われまくり倒されまくりで、死にゲーの様子を呈してきたが、イベント終了約15分前ついに、序盤のボス戦へと突入。相手は悪魔に疲れた少女エイミー。ボスは通常の敵と違い、繰り返し悪魔祓いをし、ダメージを蓄積する必要がある。途中交代しながらも、襲いかかるエイミーに十字架を掲げ、ダメージを加えていく3人。ある程度攻撃を続けると、エイミーがなんと、4体に分裂!

     とはいえ分身しているだけで、竹内さん曰く本体は1つ。4体とも体が点滅しているのだが、本体だけ点滅パターンが少し異なり、それを見極めて本体に十字架を掲げる。が、とにかくエイミーの動きが早く、見抜く前に接触してアウト……。

    中央のキャラクターは、プレイヤーが操作する神父・ジョン。それを囲む4体の悪魔がエイミー。次第にぺぺがコツを掴み、本体を素早く見抜けるようにはなるが、動きが素早く攻撃を避け続けるのは至難の業……。

     終了時間も迫り、ラスト1プレイのアナウンス。最終プレイヤーはゴリけん。「よっしゃー、祓うぞ〜」と意気込むも、「(ゴリさんじゃ)ダメだ……」と斉藤。予言は見事的中。開始20秒でエイミーとぶつかり、残念クリアならずとなった。

    プレイ後は記念撮影タイム。写真を撮られながら、「また関東に来れるようにしたいですね」(ゴリけん)、「今日みたいに呼んでもらうのが一番ですね!」(斉藤)、「みなさんの企業の創業祭とかね、呼んでいただければ行きますよ!」(ぺぺ)。ペペの営業トークが生々しすぎる。

    会場に集まったさまざまな「怪奇」出展

     ちなみに本イベントでは、ステージ外にも異界的な趣向が散りばめられていた。

     まずは、クラフトビール「有頂天エイリアンズ」の展示。濁った見た目とまろやかな口当たり、控えめな甘み、トロピカルな香りが特徴のヘイジーIPAで、日本のビールの主流、ラガービールを飲み慣れている人にとっては未知との遭遇になるはず。先日の新郷村ミステリーキャンプⅣ(9月13日実施)にて、ムー公認UMAビールという奇妙な称号を得た逸品だ。

    まるでフレッシュジュースのような味わい。これを飲んで有頂天気分になれば、普段見えないものが見えるかも?

     そして会場には、ゴリパラの3人がプレイした『FAITH: The Unholy Trinity』をはじめ、合計3本のホラーゲームの試遊コーナーも。

    廃墟となったはずのおもちゃ工場を探検するホラーゲーム『ポピープレイタイム』の試遊コーナー。シリーズ1〜3がセットになったトリプルパックで発売となった。
    スラヴの民間伝承をモチーフに作られ、ロシア語圏で人気のホラーアドベンチャーゲーム『ひとつ目のリーホ』の試遊コーナー。モノクロ調のグラフィックが不穏な世界観とマッチし恐怖を掻き立てる。
    『FAITH: The Unholy Trinity』のブースで、異才を放つ赤い手。誰の手なのかはゲームをやってからのお楽しみ。
    当然、ムー公式グッズの販売も。手前のマフラータオルは、このときが初お披露目。左奥の黄色と紫のクリアファイルは、今回のイベントのキービジュアルが描かれている。

     こうして無事、イベントは幕を閉じた。SNSには第2回の開催を望む声もあり、今回のフェスは、笑いと怪奇が共存する“異界エンタメ”の可能性を鮮やかに示した。

     ちなみにイベント会場に集まったキッズたちは、開演5分前にはほとんど全員が着席し、ムースタッフの案内アナウンスに対しても拍手。ムースタッフ一同、「キッズのみんなすごく優しい!」と感嘆するとともに、ただでさえ高まっていたスタッフ内のゴリパラ好感度もぐんと上昇した。

     ゴリパラとのイベントを経験することで、懐の深いファン=キッズの存在を強く認識した。キッズは、幸運をもたらす童子、すなわち座敷童的な存在かもしれない。それはロケの最中に現れる謎の「妖怪太郎」とも呼応して、子供のように純粋に楽しく過ごす意義を教えてくれるのだ。

    またの開催をお楽しみに!

    ●会場協力:コングレスクエア日本橋
    https://congres-square.jp/nihonbashi

    ●ゴリパラ見聞録
    https://www.tnc.co.jp/goripara

    ●FAITH: The Unholy Trinity
    https://faith.happinet-games.com

    鈴木翔子

    「「UFOの日」生まれだが、遭遇率および霊感はゼロのフリーエディター兼ライター。好きなのは、民俗学系の小説・漫画と酒をめぐる旅。視えたり呼ばれたしがちな夫がいる。

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