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古谷博和 著
幽霊現象の6~7割は「医学的」に説明がつく!?
幽霊はいるのかいないのか。この問いを立てることは、まず「幽霊」という言葉の定義から始めなければ、まったく不毛な営為となる。
本書は、有史以来の謎である幽霊という現象について、脳神経内科医である著者が、その専門的知見に基づいて解明する快著である。何しろ著者によれば、世にいう幽霊現象の「6~7割」は、脳科学的な症例として説明がついてしまうというのだ(これを強引に「全部説明がつく」といいきってしてしまわないあたり、良心的な科学者の面目躍如であろう)。
何しろ著者の理論を援用すれば、よくある室内の幽霊のみならず、路上に出現してタクシーなどに乗り込んでくる幽霊から、一部の妖怪(「ろくろ首」や「ぬりかべ」など)、さらには、体外離脱やテレポーテーションなどの超常現象に至るまで、「医学的」に説明がついてしまうというのである。そもそも、「幽霊の出現機序」などという術語を目にするだけで、何やらワクワクしてしまうではないか。
著者によれば、幽霊や怪異譚は「われわれの脳の機能、人類の進化の過程でどのように認知機能が進化してきたかを解明するための手掛かりを与えてくれる」し、「その拡がりは脳科学のみならず、生物学、社会学、宗教学、民俗学などを巻き込む広い裾野を持ったもの」に他ならない。今後幽霊や霊体験について某かを論じる際には、最低限本書に目を通しておくことは必須となろう。
(月刊ムー 2025年11月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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