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環境破壊の課題や大規模化の壁が高いメガソーラー。太陽光が限界なら、雷を使えばいい? 多様な発電技術が研究されている。
環境にいいとの触れ込みで始まったメガソーラーが、いつの間にか国定公園を破壊し、リサイクルもできず、政府の無策無責任で大変ひどいことになっている。
なぜメガソーラーをごり押ししているか。
各種の利権は置いておいても、現在の太陽光発電の電力量が861億kWh(経済産業省資源エネルギー庁 「今後の再生可能エネルギー政策について」)で、現在の原子力発電の総量が934億8,290万kWhと互角の発電量だから。原子力が使えないのなら、太陽光発電を増やすという選択肢に傾くのも無理はない。
とはいえ、これ以上は太陽光発電をベース電力にするのは無理だろうと思う。一方で期待の核融合発電はいまだに実用化のめどがつかず、三菱重工が進めていた洋上海洋発電も採算割れで計画が中止になってしまった。現状ではこれ以上の原発の再稼働も難しい。
つまり現在、日本では社会インフラである電力がにっちもさっちもいかないという大変なことになっているのだ。税金と電力、人件費の3つが足かせになり、日本企業の生産ラインは海外へと流出し続けている。人件費は下がるだけ下がっているので、税金と電力を何とかするしかない。
腐っても技術大国、何か秘密の技術はないかと探していたら、2019年度版「NEDO先導研究プログラム」を見つけた。「その他発電には、熱音響発電、レーザー核融合発電、振動発電、ごみ発電、落雷発電、圧縮空気発電といったものが含まれる」とあった。
熱音響発電? 振動発電? 落雷発電? なんだそれ?
聞いたこともない発電方式に、さっそくググって驚いた。太陽も風もすでに過去である。世の中、なんでも電気になるんじゃないか!
「熱音響発電」はその名の通り、熱を音に変えて発電する技術だ。「熱音響現象」という物理現象がある。吉備津神社の鳴釜神事で起きる釜が音を出す「釜鳴」が有名な熱音響現象なのだそうだ。
発電は2段階で行われる。まず熱が音に変わる工程がある。管の中に細い管を束にしたデバイスを入れ、管の一端を加熱する。膨張した空気がデバイスを通る際に圧縮され、通り抜けると膨張する。この時に音が発生する。次に管の反対側につけた振動モーターで音を電気に変える。これはスピ-カーは電気を流すと振動させて音を出すが、その真逆のプロセスだ。モーターを外力で回転させると電気ができるように、スピーカーを音で振動させると電気が流れる。
この熱音響発電は大型発電ではなく、24時間動作が止まらない工場やごみ処理場、火力発電所などの排熱を使って発電できることから、熱を無駄にせずに工場の照明や機械の動力などの電力に利用できると見られている。
……これ、コンサートなんかで音を電力に変えて照明とかに使えば、客席が盛り上がれば盛り上がるほど照明が明るくなるとか、エンタメでも使い道がある気がする。爆音上映で客が盛り上がらないと爆音が消音するとか(それはダメか)。
そして、「振動発電」は振動で発電する、こちらも局所的なミニ発電だ。基本原理は電磁誘導。コイルの中で磁石を動かすとコイルに電気が流れるという中学生の時に理科実験でやったあれを応用している。いくつか方法はあるが、一番実用に近いのが逆磁歪効果を使ったもので、磁石自体を振動で歪ませ、磁石が元に戻る時にダイレクトに電気に変える。
振動発電は発電ユニットを極小化できるので、時計の自動巻きのように、携帯電話に仕込んで充電できたり、電車の振動を電気に変えて社内のデジタル広告に使用したり、小さく細かく電力を稼ぐことができる。
「ごみ発電」は焼却炉の熱を発電に使おうというもの。ごみ処理場に火力発電所の発電部分を併設するようなものだ。この発電施設付きのごみ処理工場はずでに全国で2019年度の発電量は96億kWh、約321万世帯分に相当する。
ごみ発電は地味に原子力発電の1割程度を稼いでいる。ベース電源にはほど遠いものの、現状の2倍までは発電設備を増やすことができるそうだ。メガソーラーの予算をこちらに付け替えれば、とりあえずメガソーラーの増設を止めた分の電力を賄うぐらいはできそうだ。
さらに、「雷発電」だ。
NTT宇宙環境エネルギー研究所が進めている誘雷・雷充電技術は、ドローンを飛ばして、ようは空飛ぶ避雷針としてドローンに雷を落とし、ケーブルを使って充電設備に雷を誘導、蓄電するというものだ。すでに雷発生個所の正確なマッピング技術と避雷針ドローンは完成していて、あとは充電設備だという。
雷の電力を使えれば、発電システム要らずとは昔から考えられてはいたが、雷は気まぐれでとても安定な電源としては利用できないし、数億ボルトの超高電圧を蓄電する技術もなかった。それが技術の発達である程度の目途が付き始めたということだ。あきらめずに続けるって大事だ。
圧縮空気発電は発電ではなく蓄電技術だ。圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES)といい、モーターで空気を圧縮して貯蔵、利用する時は逆に空気でモーターを回転させて発電する。風力発電の逆をやるわけで、いまだに自転車の発電機の巨大版だと考えると頭が良いのか悪いのかよくわからない仕組みだが、とにかく導入コストが安い。しかかも試験プラントのエネルギー効率は60~70パーセントと案外高い。昼にしか発電できない太陽光発電の電力は長期間貯蔵するには、案外、ありな技術かもしれない。
こうして見ると次世代発電はどれもこれもパフォーマンスや安定性に問題があり、一長一短で太陽光発電が現実的なベース電力として利用されるのもわかる気がする。メガソーラーをやめるなら、現実的な方法は原発の再稼働しかないけど、それも問題山積み。電力も根本から見直す時期に来てるんでしょうね。
久野友萬(ひさのゆーまん)
サイエンスライター。1966年生まれ。富山大学理学部卒。企業取材からコラム、科学解説まで、科学をテーマに幅広く扱う。
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