元祖・心霊特番「あなたの知らない世界」の思い出/昭和こどもオカルト回顧録
夏休みにぼんやりテレビを眺めている子供たちは、しばしば「恐怖の実体験」を目の当たりにした。現在のテレビ番組表から消えた心霊特番「あなたの知らない世界」を振り返る…。
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「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
初見健一 著
昭和のオカルト・ブームをどっぷり満喫できる
「不思議、大好き」。かつてそんなキャッチコピーが、一世を風靡した時代があった。ノストラダムスにユリ・ゲラー、日本沈没、そして大真面目なUFOや心霊の特番……。
1970年代の日本は、まさに「大衆文化」としての「オカルト」にあふれ返っていた(そういえば本誌月刊「ムー」の創刊も1979年。まさに70年代オカルト・ブームの頂点を象徴する出来事であった)。
本書は、そんな怪しくも懐かしい昭和の雰囲気をどっぷり満喫できる、何とも贅沢な一冊。標題に「新」とあるとおり、実は2012年発行の『ぼくらの昭和オカルト大百科 70年代オカルトブーム再考』の増補改訂版であるが、何しろこの旧版は、あの大槻ケンヂ氏も「燃える、笑える、今だからわかる、イカれてたあの70年代が蘇っちゃうよ」と大絶賛していたほどの名著。著者は今回の新版を「長年放置されて腐敗しかけた死体に、墓場を物色して調達してきた新鮮な手足などを無理やり継ぎ足し」たような代物、と謙遜するが、昨今の苛酷な出版状況の下、そもそも復刻の対象に選定されること自体、珠玉の名品である何よりの証明である。
表紙に描かれた人物(1973年の五島勉『ノストラダムスの大予言』のオマージュ)が、原典のただひたすら無気味な無表情から、やや表情に余裕の感じられる旧版を経て、ついにこの新版では明確に柔和でゴキゲンなアルカイック・スマイルを湛えるに至っているのも、ある意味示唆的。
(月刊ムー 2025年9月号掲載)
星野太朗
書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。
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