噂から生まれ、メディアが育てた「人面犬」今昔を探る/朝里樹の都市伝説タイムトリップ
犬とヒトとが交わる異形の存在。その名は――。
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「ムー」誌上で最長の連載「ちょっと不思議な話」をウェブでもご紹介。今回は2025年6月号、第494回目の内容です。
アラスカのアンカレッジで、カイル・シュルツ氏は(ガキどもがピンポンダッシュ遊びをやってるな)と舌打ちした。
ピンポンダッシュ遊びとは、家々の玄関ベルを鳴らしては逃げる子供たちのいたずら遊びだ。
だが、防犯カメラに思いがけなく映っていたのは子供ではなく、大きな角先でぐいと玄関ベルを押す1頭のヘラジカの姿だった。
米カリフォルニア州サンタクルスのサーファーたちは、ここ数週間というもの、1匹の可愛いラッコによって、いうなれば恐怖の支配下(?)に置かれている。
環境保護を唱える生物学者たちが〝ラッコ841号〟と名づけたこの雌の個体は、波乗りに夢中なサーファーにこっそり近寄って、乗っているサーフボードにガブリとばかり喰らいついたのだ!
どうやらこのラッコ君、とくに初心者が使う発泡スチロール製の軽めのサーフボードがお好みのようで、ボードの主がびっくりして手離してしまうと、ちゃっかり自分のものにして、器用に自分でも波乗りして見せたのだ。
地元のサーフィン専門の写真家マーク・ウッドワード氏も、このラッコが発泡スチロールボードに乗って、比較的穏やかな波を楽しんでいる光景に出くわして仰天したと証言する。
「じつに不思議だね。ラッコはふつう、サーファーなどには決して近寄らないものなんだ。ましてやサーフボードを盗むだなんて!」
ラッコは現在、国際的に絶滅危惧種に指定されていて、例えば日本にはたった3匹しかいない。
ラッコ841号ももともとは、カリフォルニア州のモンテレー湾水族館で飼育された個体を、前年に野生復帰させたものだ。
したがって人間馴れはしていても、当初はサーフボードにもまったく関心を示さなかった。
ところが、年が変わると、なぜかだんだんサーファーたちにつきまとうようになり、しだいに攻撃的になってきて、彼らのサーフボードを奪ったり乗っ取ったりして逃げ去るようになったのだ!
カリフォルニア野生動物保護官事務所とモンテレー湾水族館は、ラッコ841号のこれ以上の異常行動を危惧して再捕獲を決定し、とくにサンタクルス周辺の水辺付近を、サーフボードを囮に使うなどして捜索しはじめた。
だが、残念ながら2023年7月12日付UPI電によれば、これまでのところ賢いラッコ841号は捕獲の手から逃れている。
モンテレー湾水族館のラッコプロジェクト統括責任者ジェシカ・フジイ氏はコメントする。
「彼女はわれわれを回避するすべにすこぶる長けた賢い動物です。いったいいつまで逃げ果せるか、われわれにもわかりませんね」
「天然の金塊は、地震で発生する地中の石英鉱脈内の〝圧電効果〟によって大量に生成される!」
オーストラリアのモナシュ大やクイーンズランド大などの地質学研究チームが、このほどそんなトンデモない研究結果を発表した。
金の粒子を含む水溶液に石英の板を浸し、モーターを使って再現した地震波の振動を1時間与えたところ、石英板の表面には金粒子がびっしり沈着していたのだ!
モナシュ大のクリストファー・ポイジー研究員は次のように説明する。
「金は電気を通しやすいため、石英の圧電効果で生じた電気が金粒子に集中する。粒子自体が電極として働き、水に溶け込んだ金が析出されて金メッキのように蓄積、金の塊りが大きく成長するのだ」
日本人ならだれでも知るように、日本は火山列島で火成岩が多いから、必然的に石英も大量に存在する。そして日本は地震大国(?)でもあり、われわれは年柄年中、地震に悩まされている。
でも、悪いことばかりではないかもしれない。そのおかげでひょっとすると日本全土の地中深くには、それこそとんでもない大量の金鉱が、人知れず眠っているかもしれないのだ!!
14世紀ベネツィアの商人マルコ・ポーロは、『東方見聞録』で東海の島国日本を〝黄金の国ジパング〟と紹介したが、それはひょっとしたらまぎれもない真実をいい当てていたのかもしれない?
インドはケララ州のイリニャダピリースリー・クリシュナ寺院はこのほど、執り行なうすべての儀式で、本物の象の代わりにロボット象を使うことに決めた。
ロボット象はPETA(インド動物の倫理的待遇組織)から寄贈されたもので、〝動物虐待のない方式〟でイベント開催を可能にするという目的がある。
2023年2月28日付「BBCニュース」によれば、ケララ州では多くの寺院が、飾り立てた象たちを行列行進や儀式で使うが、群集や花火に怯えることが多いので、PETAは象たちをすべてアニマトロニクス(動物模倣ロボット技術)的な代用物に置き換えるようにと強く要請している。
カナダはヴァンクーバーのデラニー・アーヴィングさん(19歳)は、ブロックワース市のクーパーズヒルで開催された〝女性チーズ玉キャッチレース〟に参加して、みごと優勝はしたものの、その時には意識を完全に失っていた。
嘘偽りなく角度45度はある草地の急斜面を、転がり落ちる重量約3キログラムのチーズ玉を追って駆け下る参加選手たちは、ほぼ全員が途中で転んで脱落する。チーズ玉を奇跡的に捕まえるか、またはゴールに真っ先に飛び込んだ者だけが、優勝の栄誉に浴せるのだ。
デラニーは急斜面の途中で運よくチーズ玉に追いつき、いったんは手にしたもののそこで転倒して頭をうち、気絶してしまった。
だが、チーズ玉はそのまま斜面を転がり下って、麓のゴールに真っ先に飛び込んだので、その最終持ち主のデラニーこそがレースの優勝者、と見なされたのだ。
2023年5月29日付「ザ・ガーディアン・ドットコム」によれば、医療テントの中で意識が戻ったデラニーはこう呟いたとか。
「いいレースだったわ……なんにも憶えてないけど」
南山宏
作家、翻訳家。怪奇現象研究家。「ムー」にて連載「ちょっと不思議な話」「南山宏の綺想科学論」を連載。
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