「豊臣秀吉とそれを支えた戦国・異能者集団の謎」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

関連キーワード:

    「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

    豊臣秀吉とそれを支えた戦国・異能者集団の謎

    月海黄樹 著

    名著『希代の呪術師 秀吉の正体』の復刻版

     本書の根幹を成す仮説をまとめるならば、次のようになるだろうか。「彼らの先祖はオリエント方面から日本列島に渡来し、先住民と共に王朝を築いた」。
    「その後、天孫降臨によって倭朝廷が成立すると、彼らは辺境へ追いやられ、山と海の民=山窩・海人となった。そして平地の人々からは〈鬼族〉として畏れられた」。
     そして著者によれば、かの天下人・豊臣秀吉もまた鬼族の出身で、彼らの力を存分に借りることができたからこそ、天下人の地位にまで上り詰めることができたのだという。
     ところで、本書を読んでいると、妙に古臭い表現があり違和感を覚えることがあった。たとえば、西田敏行主演の大河ドラマ『おんな太閤記』(1981)が、「数年前」のことであるという! だがよくよく見れば、本書はかつて徳間書店から上梓された『希代の呪術師 秀吉の正体』(1995)の復刻版なのだった。
     現代では入手困難な名著を、適正価格で復刻販売する版元の心意気や良し。時代的にもこの分野の必読の古典であろうし、30年以上を経た復刻いう事実だけでも、本書が時代を超えた名著であることがわかる。
     著者の月海黄樹氏は、「山窩の家系に生まれ、幼少時より口伝の歴史・占術を授けられ」たエリートであり、各種占術にも精通しておられるようだ。断筆後もこうしてその著書は求められている。本書の復刻を言祝ぐものである。

    ヒカルランド2420円(税込)

    (月刊ムー 2025年6月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

    関連記事

    おすすめ記事