凶宅の再現に驚く「加門七海の風水探見」/ムー民のためのブックガイド

文=星野太朗

関連キーワード:

    「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。

    加門七海の風水探見

    加門七海 著

    深くて広い風水の知識が、するりと頭に入ってくる

     著者によれば風水は「人の暮しを守り、豊かにするためのもの」であり、その基本原理は「大地の理」。これはすなわち、いわゆる「地理」にほかならず、義務教育で地理を学習した日本人は、その時点で「風水師の初級コースは、終了している」というのである。
     そうなれば、まさに誰もが乗りかかった船。著者の案内に導かれるまま、さらに風水の奥義に触れてみたいと願うのは当然のことであろう。
     本書では、沖縄の風水に始まり、古代の都市と住宅、龍脈、マジナイと風水、香港風水戦争、風水アイテム、四神相応や家相にいたるさまざまなトピックを種に、深くて広い風水の知識がこれでもかと開陳される。

     評者としては、フジテレビ凋落の風水的分析は痛快だったが、東京スカイツリーが先輩である東京タワーに比べて、東京、強いては日本国に凶影響をもたらしているという指摘には、思わず軽い鬱状態となった。
     内容は非常に専門的ではあるが、著者独自の親しみやすい文体のため、するりと頭に入ってくるのはある意味、驚異的。加門七海氏は、隠秘学、風水、民俗学などに造詣の深い作家であり、映画の「呪術監修」も務めた呪術界のオーソリティ。あのNHK文化センターの講師でもあったという。本欄でも氏の『神を創った男 大江匡房』(笠間書院)や、『呪術講座 入門編』(KADOKAWA)をご紹介した。それらを気に入った方であれば、当然本書も必読である。

    エクスナレッジ1870円(税込)

    (月刊ムー 2025年6月号掲載)

    星野太朗

    書評家、神秘思想研究家。ムーの新刊ガイドを担当する。

    関連記事

    おすすめ記事