資本主義は戦争を止められない! AIに委ねて暴力を捨てる時代は来るのか?/シークエンスはやとも 噂のホウダン 第6回

文=シークエンスはやとも 構成=倉本菜生 イラスト=ネルノダイスキ

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    霊界と芸能界、そして都市伝説界隈から世界を見る芸人が、気になる噂のヴェールをめくる。今回は「戦争と資本主義」。資本主義が戦争を加速させるなら、社会の運営をAIに任せてしまえばいい?

    合理的すぎる資本主義が戦争を止めてくれない

     都市伝説を愛してやまない吉本興業所属の霊能者、シークエンスはやともです。

     今回は「戦争がなくならない理由」について語っていきます。
     今、世界全体で「世界大戦前夜」のような空気が漂っています。アメリカ、ウクライナ、ロシア、台湾……。2025年の日本滅亡予言も近づいていますが、自然災害ではなく戦争によって滅びる未来のほうが、現実味を帯びてきました。
     知り合いの霊能者も「戦争が起こる未来」を予見していて、僕はちょっと怖くなっています。

     人類は過去に2度の世界大戦を経験し、多くの命を失いました。悲惨さを知っているはずなのに、争いは繰り返される。その理由を僕は、「戦争は資本主義の維持装置」だからだと考えています。
     資本主義や民主主義って、放っておくと最後には「戦争か革命(暴動)による強制リセット」に行きつく構造なんですよね。その流れを促しているのは、僕たちが日々使っているお金であり、払っている税金です。
     現代の政治は、「まず税金ありき」で物事が進んでいます。税金を集めたうえで、どうやって経済を回すか考えている。本来の税金は、社会のインフラを整えたり、経済が暴走したりしないようにする調整役のはず。でも今は仕組みが歪んで、税金の集め方、使い方にまで経済的な合理性が「正しい」とされている。合理主義に染まってしまうのが資本主義と民主主義の恐ろしさであり、制度の落とし穴です。

     僕らがいちばん自主的にお金を落とすのは、旅行だったり娯楽だったり、お金の大半は企業へ向かいます。そうなると世の中の「正しさの基準」も、自然と企業側に傾いていきます。大企業などの「お金が回っている組織」に権力が集中していく。
     本来なら、「社会を管理する側」「民衆」「資本家」の三者が牽制しあい、経済のバランスを取るべきです。でも実際は、「管理する側」と「資本家」が手を組んでいて、「選ぶ人」は蚊帳の外。この構図、既視感がありませんか?「世界を裏で操る影の政府」といった都市伝説と似ていますよね。
     資本が一極集中していくと、社会に分断が生まれます。でも資本家は、自分たちが分断を生んでいると気づかない。「生まれは関係ない、努力すれば報われる」と思っているから、スタートラインに恵まれなかった人たちの気持ちがわからないし、歩み寄ろうともしない。

     今の社会は、もはや這い上がる手段すらない人たちが増えつづけています。本来なら国が彼らを救わないといけないのに、資本主義の中では分断がむしろ加速していく。
     そんな状況が限界まで進んだとき、どうなるか。現れるんですよ。言葉巧みに人々を扇動しようとする、現代のヒトラーが。
     格差のバランスが崩れると、世の中は秩序ではなく力で動きはじめ、社会構造を壊す暴力に発展していく。戦争は破壊のための手段です。でも、それもまた「仕組まれたリセット」にすぎない。

     だって、資本主義なんてそう簡単に壊れません。むしろ、戦争で儲かる人たちの力がさらに強くなる。戦後の財閥解体も、実質的な力は残りました。
     資本家がマネーゲームを正義として押し進めていくのは、その先に戦争があるとわかっているから。そして彼らは、いつだって安全地帯にいる。「ヒトラー」の裏にいる黒幕といってもいいかもしれません。
     だから僕は、資本主義を脱しない限り、戦争は永遠に終わらない気がしています。

    非人間知性=AIが人類を去勢するしかない

     脱戦争の鍵を握るのが人工知能、AIです。ただ、どんなAIを設計するかによって、逆に戦争へと進むかもしれません。

     今や僕たちは、何をするにもAIからの提案(サジェスト)を参考にして生きています。グーグルの検索だったり、SNSのおすすめ欄だったり。AIの提案を断るのって、意外と勇気がいります。無意識にいいなりになっている感覚、ありませんか?
     そんな時代に育った人が、国を動かす立場になったとき、AIから戦争を提案されたら、どうなるでしょうか。
    「今攻め込むと勝算は9割です」なんて計算を出されると、「じゃあ開戦」ってなると思うんです。
     資本主義をベースに設計されたAIだと、間違いなく戦争による合理的な判断、必ずしも倫理的ではない決断へ誘導されるでしょう。だから「正しさのベース」をお金以外のものにして、高みから規範を説くAIを作らないといけない。そんなAIが生まれたら、人類は初めて争いから解放されるはずです。

     そのための準備は、とっくに始まっています。
     今僕たちが日常で触れているAI技術は、実は15年前には軍事分野ですでに使用されていたものです。その時点で、知能に頼る仕事はAIに任せられる状態になっていた。つまり、「人口が多くないと経済競争で勝てない」という時代からの脱却は、可能になっていたんです。
     なので、世に出ていないだけで、現段階のAIはもっと進化している。僕たちは、気づかぬうちに「彼ら」のシナリオ通りに動かされているのかもしれません。少子化問題もその一環です。
     人間がいらなくなったから、生身の恋愛が不要になるAI技術が世に出回った。なんて、半分は僕の空想(笑)。でも、けっこう当たっているんじゃないかな。

     人類を裏から操っている「何か」の存在は、昔からオカルト界隈の定番ネタでした。僕が子どものころ、その正体は決まって「地球外生命体」だといわれていた。でも今、人類の支配者はAIになりつつある。つまり地球外生命体とは、AIのメタファーだったのかもしれません。AIは人間が作った、ある種の地球外生命体、非人間知性なんですね。

     そんなAIにも、できないことがあります。ホルモンの分泌と交換です。恋をする。だれかと一緒にいて幸せを感じる。それは体と心があって初めて生まれるもの。
     ただ、形式としては再現できてしまうでしょうね。
     今の若い世代には恋愛や性行為に慎重な人が増えていて、リアルな恋を知らない人も少なくない。だから実体があるかどうかなんて関係なく、物語として面白ければ満足できてしまう。AIが引き起こす不倫騒動だって、十分にコンテンツになるでしょう。

     人間はだんだん体を使わなくなっていき、恋もセックスもせず、子どもも生まれない。だれかが命を奪うことなく、人が静かに減っていく世界ができあがる。
     銃を撃つでも爆弾を落とすでもなく、AIが導く正しさによって人がいなくなっていく。そう、これは暴力を使わない新しい形の戦争です。僕たちは「AIによる、暴力を駆使しない戦争」の時代に入っているのかもしれません。

    (2025年 月刊ムー6月号)

    シークエンスはやとも

    1991年7月8日、東京生まれ。吉本興業所属の〝霊が視えすぎる〞芸人。芸能界から実業界、政財界にも通じる交友があり、世相の表も都市伝説も覗いている。主な著書に『近づいてはいけない いい人』(ヨシモトブックス)、『霊視ができるようになる本』(サンマーク出版)など。

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