「悪夢は健康を推進する」研究報告が話題! 一方で「深刻な健康被害」報告も… 世界で悪夢研究が活発化
殺人鬼に追われたりゾンビに襲われたりと、さまざまなかたちで見る「悪夢」。恐ろしいことに変わりはないが、なんと「健康促進」につながるという驚くべき主張が展開されている。
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花粉症が治らない。トマトがいいと聞いてトマトを食べても良くならず、鼻うがいも面倒なばかりで効果がわからず、病院の薬も飲んだ時しか効かない。どうなってるんだ、科学! ブラックホールだの量子コンピュータだの難しいこと言うくせに、花粉ひとつまともに相手できないのか! そんなふがいない科学にどこまで花粉症対策ができているのか、調べた。
花粉症がつらい。政府広報オンラインによると、花粉症の経済損失は1日当たり2215億円なのだそうだ。1週間で1兆5000億円? なぜこうなるまで放っておいた政府! アホなんじゃないか、消費税上げる前にスギを切り倒せ!
そう物事は単純ではない。スギを切り倒すとそこら中で土砂災害が起きて大変なことになる。スギを切るのもタダではないし、スギが植えられたのは1950年代、今のように木材が自由に輸入できなかった時代だ。建築資材を国産で、というのは当然の発想だ。
だから次に植えるものはスギはやめて……林野庁、まだ植えてるのだそうだ。頭どうかしてるのか、1日当たり2215億円の損失だぞ? これには事情がある。スギは管理しやすく、成長が早い上に根が深くまで張るので治水に役立ち、しかも換金しやすい。現在のように林業人口が減っている中では、他の樹木では人工林の維持が非常に難しいのだ。それに売れもしない木を植えることに許可を出す奇特な地主はいない。スギの植林もまた商売、世界は金で動いている。
とはいえ、さすがに政府も花粉症を無視できず、令和15年度までにスギ人工林の伐採を約7万ヘクタール・ とはいえ、さすがに政府も花粉症を無視できず、令和15年度までにスギ人工林の伐採を約7万ヘクタール/年まで増加させ、令和15年度までに、スギ材の需要を1,710万立方メートル/年に拡大、現在よりも約2割、スギ林を減らことにしたそうだ。現在の人工林は70年かけて整備されたので、全部なくすにしても50年以上はかかる。これはやむを得ない。
では、スギを切り出した後に何を植えるのか? といえば、またもスギ。ただし花粉がない新品種である。
無花粉スギは富山県の神社で発見された特別変異種で、雄花から花粉をまったく出さない。無花粉スギへの入れ替えが進めば、花粉症の原因であるスギ花粉が減り、病状も緩和されると考えられている。
将来は良いから今! 今生えているスギを何とかしてほしい、という花粉症患者の切なる願いに、国立研究開発法人森林総合研究所では、スギ花粉を飛散させないように、スギの花を枯れさせるシドウィア菌の研究を進めている。
この菌は花粉を飛ばすスギの雄花に取りつき、花粉を作る前に花を枯れさせ、その後は空気中に飛散して他のスギに取りつき、花を枯らす。いわば対スギ花粉用の生物兵器である。この菌を使って、スギ花粉を消滅させようというわけだ。
花粉症の治療には舌下免疫療法が知られている。花粉症は花粉をアレルゲンとするアレルギー反応だ。そこで、アレルゲンである花粉入りのエキスを舌の下に垂らし、少しづつ体を慣らして花粉に免疫系が花粉に反応しないようにトレーニングする。
舌下免疫療法の考え方を応用し、農業・食品産業技術総合研究機構が開発したのがスギ花粉米、正式名称は「スギ花粉ペプチド米」と「スギ花粉ポリペプチド米」の2種類だ。利用するスギ花粉の遺伝子の違いから2種類作られた。どちらもスギ花粉から花粉症の原因となる遺伝子を取り出してタンパク質合成部分に組み込んだもので、これによりスギ花粉の花粉症原因物質を含んだ米が作られる。現在は臨床試験中で、近いうちに市場に出回ることになるという。
先日、中学1年生の嘉手納杏果さんが花粉対策グッズで「第81回 全日本学生児童発明くふう展」で最優秀賞に次ぐ文部科学大臣賞を受賞して話題になった。「世界青少年発明工夫展2022」でも金賞を受賞した発明少女である。
不織布に銅テープを貼り付け、テスラコイルで高電圧をかけて静電気を発生、不織布に花粉症を吸着させようという、空気清浄機のカーテン版のような発明だ。
花粉対策は体に侵入する花粉自体を減らすか、花粉に反応しないように体を変えるか、どちらかだ。発明少女の発明は前者、製薬会社が力を入れているのは後者だ。
特許公報を調べると、後者の花粉特効薬が山ほど出てくる。麹菌発酵大豆培養物や植物由来の油のミリスチン酸オクチルドデシル、魚油、甘エビの味噌汁(こういうものでも特許はとれるらしい)、キクイモ、アステラス製薬のDNAワクチン「JRC2-LAMP-vax」などさまざま発明があるが、世の中から花粉症が駆逐されないということは、劇的効果はないのだろう。
花粉の飛散を抑えるという、日本油脂株式会社の花粉飛散防止剤の特許(特許第5423223号)や、ゲノム創薬研究所の炭酸水素ナトリウム(=重曹)をスギ花粉に散布すると花粉が破壊され、飛散しなくなるという研究は注目だ。重曹も油も安く安全。迷わずスギ林に撒いて欲しい。
順天堂大学がスマホ用アプリ(製品名「アレルサーチ」)を使って約1万人にアンケートを行い、花粉症患者の特徴をまとめた。「若年齢・女性・呼吸器疾患・ドライアイ・トマトアレルギー・花粉症シーズン中のコンタクトレンズ装用の中断・喫煙習慣・ペット飼育」が花粉症患者の傾向だそうで、なるほどと思ったものの……、中年の男でトマトは良く食べ、メガネでタバコは吸わず、ペットはメダカという私にはすべての項目が当てはまらず、調査やり直し! と鼻をかむ。
山梨大学は「前向きな気持ちはアレルギーを改善させる」と発表した。「前向きな感情を脳内で司るドーパミン報酬系の活性化はアレルギー反応を抑える」(大学プレスリリース)のだそうだ。
元々、ストレスがアレルギー症状を悪化させることは知られていたが、その仕組みはわかっていなかった。ドーパミン報酬系は快楽を管理する脳内物質ドーパミンを出す神経系で、甘いお菓子がおいしいのは、甘さでドーパミンが出るから。ドーパミンが出なければ甘いお菓子を食べても甘いというだけで、うれしくも何ともない。
ドーパミンを出せばストレスが軽減し、アレルギーも軽くなる。前向きな気持ちになれと言われても、こっちが鼻水ぐずぐずの時にふざけるなと思う。しかし、ようはドーパミンを出せばいいので、風呂に入るなりお菓子を食べるなり、気持ちいいことをすればいいわけだ。
2015年のイグノーベル賞を受賞した医療法人天命会 木俣肇クリニック院長、木俣肇氏の研究は「キスがアレルギー症状を緩和する」というもの。アトピー性皮膚炎とアレルギー性鼻炎の患者、健常者それぞれ30人ずつ計90人に、恋人や配偶者と個室に入ってもらい、30分間、自由にキスをしてもらった、その後、血液検査などでアレルギー反応を調べたところ、アレルギー反応が軽くなっていたという。キスではなく抱擁で試したところ、改善は見られなかった。キスと抱擁だとやっぱりキスなのかぁと感慨深い。
これは山梨大学の研究とも一致する。気持ちいいことをすればドーパミン報酬系が活性化し、ストレスが減り、アレルギーが軽減するのだ。
そういうわけで、スギは無花粉スギに植え替えつつ、今あるスギには花粉飛散防止剤とスギを枯らす菌を撒き、国民はスギ花粉米を炊いて甘エビの味噌汁を飲み、恋人とイチャイチャするのが現在の科学的花粉症対策なのだ。
webムー編集部
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