陰謀論は思想の落とし子! 秘密結社は大衆の希望である/シークエンスはやとも 噂のホウダン 第3回
霊界と芸能界、そして都市伝説界隈から世界を見る芸人が、気になる噂のヴェールをめくる。今回は「秘密結社」の思想と希望と絶望について。それは、むしろ大衆が求めている。
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文=シークエンスはやとも 構成=倉本菜生 イラスト=ネルノダイスキ
霊界と芸能界、そして都市伝説界隈から世界を見る芸人が、気になる噂のヴェールをめくる。今回は「霊が見える」能力の話から、そもそも「霊」がどんなものかを考える。
都市伝説を愛してやまない吉本興業所属の霊能者、シークエンスはやともです。今回は「霊が視えるとは、どういうことか?」を語っていきます。
霊の視え方には個人差があります。僕には、故人がいちばん元気だったころの姿で、生気を失ったように立っているのが視えます。一方で、首を吊った姿など、亡くなった瞬間の姿で視える人もいるようです。
これは、その霊のどの時間の感情(レイヤー)を受け取るかによって視え方は変わるということだと思います。死に際の絶望を感じる人もいれば、幸せだったころの感情を受け取る人もいる。人によって捉えられる時間軸が異なるため、見え方にも違いが生じるのでしょう。
幽霊とは、時が止まった存在なんですよね。僕たちが生きているのは時間が前に進んでいく世界。でも霊には時間が流れません。亡くなった瞬間に時が止まり、ずっとそこに留まっているんです。
僕にとって霊が視えるとは、「その場所に残っている人の心が見える」と表現するほうがしっくり来ます。
ネットで有名な心霊スポットの多くが、凄惨な事件が起こった場所です。たとえば、手首のない女の子の霊が出ると噂されている「旧小峰トンネル」(※東京都)。ここは、宮崎勤事件で被害者のひとりの遺体が発見された場所の近くです。
そして不思議なことに、事件のあった場所にまつわる心霊話では、基本的に加害者の霊が現れません。被害者と加害者がどちらも亡くなっている場合、事件現場に執着し、悪霊や怨霊として現れそうなのは加害者側のはず。しかし実際には、ほとんどの現場で被害者の霊が出るといわれています。
なぜ加害者の霊は出ないのか。将門公など大物は別として、「怨霊」と呼ばれる存在は、人に危害を加えようとしているわけではないからです。心霊スポットなどにいる霊の多くが、「助けてほしい」という感情を抱えています。
ただ、それは、「成仏させてほしい」「地縛霊だから解放してほしい」といったものではありません。彼らは、自分たちが亡くなっていることに気づいていないのです。「なぜだれも助けてくれないのか」という悲痛な叫びが、「想い残し」としてその場に残っている。僕たち霊能者は、その想い残しから得られる情報で、何があったのかを感じ取っているわけです。
だからこそ、彼らをバケモノや怨霊みたいに扱うのは、霊が視えない人の発想だなと感じてしまいます。僕の感覚では、霊はただそこにいるだけ。怖がらせようとか、恨みを晴らそうなんて考えていないことがほとんどです。
人に憑りついてしまうのも、「助けてほしい」という強い思いを抱えているから。「貶めてやろう」「呪ってやろう」といった意図で、無関係な人に憑りつく霊はめったにいません。
ただし、憑かれることによって心が疲弊していったり、体調がガクンと落ちていってしまうことはあります。生きている人間にとっては、憑かれている状態そのものが悪影響となってしまうのです。
人間だけでなく、知能の高い動物も霊になることがあります。死を恐怖していて、生に執着している個体は動物霊になりやすい。
「食肉解体場に送られる動物は、悲しそうな顔をしている」という有名なエピソードがありますよね。そんな牛たちを見たことがありますが、よく見ると、牛にも個体差があるんですよ。「あぁ、この先に行ったら終わりなんだな」と、悟って受け入れている牛もいれば、悟っていない牛もいる。悟っていない牛は、ゴジラの鳴き声のような咆哮を上げることがあります。自分がこれからどうなるのかを理解して、恐怖で叫んでいるのでしょうか……。
つまり霊とは、一定の知能や感情をもった生き物がなるものといえます。ただし、すべての死者が幽霊になるわけではなく、何か強い未練や執着がある場合に限られるのかもしれません。
ちなみに生き霊は「生きている人の念や想い」です。幽霊は「亡くなった人の想い」なので、根本的には同じものといえます。ただ、生き霊は本体が生きているので、時間が前に進むし変化もします。実は死霊よりも生き霊のほうがパワーがあって強いのですが、この話は次の機会に……。
よく「霊が視えるのはどういう人?」と聞かれますが、霊視能力は全人類に備わっていると僕は思います。生まれたときにはだれでも持っているけど、成長するにつれて「ないもの」として扱っていくのではないでしょうか。
人間の脳は3歳までに土台が作られるので、幼児期までは霊感が強く、霊的なものが視えやすいです。でも、霊が視える=死が身近な状態だと、死への恐怖心や価値観が大きく変わってしまいます。何かあったときに「死んでも別にいいか」となりやすく、生への欲求が維持できなくなってしまう。
だから成長して社会性を学んでいく過程で、「死を感じやすいと生きにくくなる」と脳が判断し、シャットアウトされて視えなくなってしまうのでしょう。
世の中には「霊が視える」と嘘をつく人もいて、彼らにはいくつかのパターンがあります。視えると思い込んでいて嘘の自覚がない人、自覚的に嘘をついている人、無自覚に嘘をつく人です。この中で見分けるのがいちばん難しいのは、自覚的に嘘をついている人。その中には嘘で対価を得ている人と、そうでない人がいます。
対価なしに嘘をつく人は、そこに何かしらの悪意のない理由があります。たとえば、子どもを病気で亡くして後悔している親への慰めとして、「お子さんの霊が見守っている」と嘘をつく。この場合は本人に悪意がないので、見分けるのも難しいです。
一方で、霊感商法など対価目的の嘘は、周囲を巻き込む規模が大きくなると、バレやすい傾向にあります。それをわかっている人たちは、閉ざされたコミュニティの中でひっそりと活動していることが多いです。
僕自身が嘘つきかどうか? 自分はTVに出たりYouTubeをやったりして大勢の人を巻き込んでいるので、極限にバレやすい環境を自分で作っているといえます。
以前、僕の霊能力をTV番組で科学的に検証してみましたが、「絶対に視えている」とはいいきれない結果でした。脳波を見ると、他人とは違う領域が覚醒して動いていたのですが、それが霊が視える領域なのか、だれにもわからずじまいです。視えている、と科学的に立証されたらトークのネタにできて面白いんですが(笑)。
きっと僕は「自分は本当に霊が視えているんだろうか」と疑いつづけながら生きていくんだろうなぁ……。
(2025年 月刊ムー4月号)
シークエンスはやとも
1991年7月8日、東京生まれ。吉本興業所属の〝霊が視えすぎる〞芸人。芸能界から実業界、政財界にも通じる交友があり、世相の表も都市伝説も覗いている。主な著書に『近づいてはいけない いい人』(ヨシモトブックス)、『霊視ができるようになる本』(サンマーク出版)など。
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