都市伝説体験を求めてアパラチアに行ったバックパッカーの末路……ゲーム『十羽の死んだ鳩』/ムー通

文=藤川Q

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    バックパッカーがアパラチアに行くのはヤバい!

     2024年末に配信が開始された『十羽の死んだ鳩』は、ムー民のための作品といっても過言ではないミステリアスなホラーアドベンチャー。なにしろ、あなたは都市伝説の真実をこの目で見たいと願うバックパッカーとなって、アメリカはメイン州とテネシー州のアパラチアの山岳森林エリアを探索することになるのだから。

     アパラチアといえば、UMAモスマンをはじめ、異星人フラットウッズ・モンスターなどのウエストバージニアの有名な都市伝説の数々を彷彿とさせずにはいられないところだろう。けれど、このゲームであなたが体験するのは、現実をはるかに超えたビジョンクエストのごとき幻惑世界。山林の奥にたたずむ、無人のトレーラーパークの奥……そこに屹立する落書きまみれの謎のオベリスクのような構造体。触れることで、超現実空間でひたすらタイプライターに物語を執筆する謎の存在と邂逅する。

    『十羽の死んだ鳩』は、まじりっけのないスティーブン・キングやデヴィッド・リンチ作品に代表されるような、アメリカのモダンホラーの世界に没入できるアドベンチャー作品である点も、非常におすすめしたいところ。本作の魅惑的な点は、こうしたアメリカの都市伝説ならではの、外宇宙からくるラヴクラフト的な恐怖と対照的な精神の奥底へと降りていくような表現の対比にある。
     もっとも、この都市伝説探索ツアーの発案者である相棒ショーンは、いつも軽口をたたいてくれるので、おぞましい困難な状況にも笑いが希望をもたらしてくれるのがいい感じだ。こういうテイストも、アメリカ都市伝説を追うモダンホラーの世界観に、まるで自分が本当に都市伝説の真実を追うバックパッカーとなって没入しているかのように感じさせてくれるはず。

     また本作は、操作方法も往年のプレイステーション時代の固定視点操作を採用。さらにグラフィックもレトロなポリゴンで描かれている。往年のホラーゲームファンなら操作だけでもなつかしさを感じられるだろう。日本語対応予定というところもうれしい限り。

    (本作のムー民度  ★★★★☆)

    © 2021-2024 DUONIX STUDIOS, LLC. All rights reserved.

    Steam 配信中 2,240円

    (月刊ムー 2025年3月号)

    藤川Q

    ファミ通の怪人編集者。妖怪・オカルト担当という謎のポジションで、ムーにも協力。

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