古代の木造船と夜空の飛行物体が石垣島でつながる…ドキュメンタリー映画「丸木舟とUFO」インタビュー(前編)
沖縄の離島を舞台にしたドキュメンタリー映画に、なぜかUFOが映っている! ちょっとふしぎなタイトルの映画『丸木舟とUFO』の関係者にインタビュー、UFO映像の真相を聞いた。
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「かくれんぼしよう。」ーー謎めいた失踪事件を軸に、静かで重い恐怖が忍び寄る名作ホラーが誕生した。その背景を監督&総合プロデューサーにインタビュー。
「弟が失踪する瞬間が映ったビデオテープ」「人が消える山」「地図にない廃墟」「霊が見える青年」……。
そんなムー的要素に満ちたJホラー映画が、KADOKAWA配給で1月24日(金)より全国公開される。第2回日本ホラー映画大賞(2022年/主催:KADOKAWA)で大賞を受賞した新鋭・近藤亮太監督が受賞作の短編を長編化した『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』だ。
敬太(杉田雷麟)は幼い頃、弟の日向が自分と出掛けた山で失踪した過去を持ち、今は行方不明者を捜すボランティア活動をしている。ある日、母から古いビデオテープが送られてきたが、それは、弟の失踪時に敬太がビデオカメラで撮ったものだった。霊感を持つ同居人の司(平井亜門)は禍々しさを感じ、深入りしないよう助言するが、敬太は忌まわしい過去を辿ろうとする。敬太の活動を追っていた新聞記者の美琴(森田想)も加わり、3人はその謎の山に向かう。弟は山の廃墟でかくれんぼをしていて消えたが、廃墟は見つかっていない。また、美琴の調査で、山で失踪事件が多発していたこともわかったのだーー。
謎が謎を呼ぶ展開と常に何かの気配を感じさせる映像で、不安と恐怖をリアルに味わえる作品を作りあげた近藤亮太監督と、総合プロデューサーの清水崇監督に、そのおもしろさの秘密をうかがった。
まずは、なぜ近藤監督は「神隠し」をモチーフにしたのだろう?
近藤 「僕は子供の頃から怖いものが好きで、怪談話に限らず、日本でも海外でも事件となった事例も多い『神隠し』に特に関心を持っていました。それと、ずっと怖いと思って見ていた『心霊ドキュメント』の表現をかけ合わせれば新しいホラーを作れるのでは、と考えたんです。また『神隠し』を題材にするなら残された家族のその後も描いたほうがいいと感じたので、この敬太の物語が生まれました」
結果、映画には弟の失踪後の敬太や両親の話が巧みに挿入され、怖さや悲しみに心震わせられる。しかし、監督は家族の話にとどめず、敬太のパートナーを霊が見える青年にし、さらに2人にかかわってくる新聞記者を、常に何者かの気配に脅えている女性にした。
近藤 「敬太には弟の失踪という明確なドラマがある。でも、そばにいる2人が、敬太を助けるだけではおもしろくない。2人も、常に何かしら怖いという感覚を持っており、3人がそれぞれ恐怖に向き合う話にしたかった。それを脚本を書いてくれた金子鈴幸くんに話したところ、このような設定になったのです」
なかでも、霊が見える司の言動は、もの静かだが意味深く、ときに恐ろしい。
近藤 「僕は、霊が見えるという人は、そのことをあまり公にしないで暮らしていると思っていたんです。じつは、会社の後輩が彼女と一緒に本作を見てくれたのですが、その彼女が、『じつは私も霊が見えるんですけど、司の言っていることがよく理解できました。司の話すことや振る舞いが、すごく自分の感覚と合致していました』と言ってくれたんです。僕が思っていた通りでうれしかったですね」
「それはリアリティーがあるね」と言って清水監督も自身の霊能者観を語ってくれた。
清水 「霊能者ですと公言し、仕事に結び付けている人はほんの一握りだと思う。公表すると、色眼鏡で見られたり、社会的にはデミリットの方が多いんじゃないかな。実際、僕もいろんな方に会いました。霊がはっきり見えるという人もいれば、存在を感じるだけという人もいる。でも、みな、すぐにはそれを明かさない。付き合いが深まって初めて教えてくれる。そのへんのリアリティーが映画にすごく出ている」
さて、3人は敬太の弟が失踪した山に行くが、そこに現れた民宿の息子が語る山の怪異が、聞いたことがないような不気味な話で印象深い。監督に、実話なのかと聞いた。
近藤 「脚本家の金子くんの創作なんです。すごい話だけど、本編とあまり関係はない。でも、削るには惜しい。撮影してぎりぎりまで残しておこうと思い、結局、そのまま入れたんですが、結果的によかったと思っています」
近藤監督の感想に、清水監督も同意する。
清水 「あの場面は、本編の流れと直結ではないし、急に登場した人が延々としゃべる。脚本を読んで『大丈夫か?』と近藤監督に指摘したが、確固たる自信が見受けられたので挑戦してもらった。結果、見事な出来栄えでしたね。観客が『えっ、これ何?』となる不安すらも怖さにつながっている。山に縛られているやばい人に会ってしまった、また山の不気味さがより深まっていた。ふつう、あんな荒業はできないですよ」
最後に、この映画は、劇場で見てこそ、その怖さを存分に味わえる作品となっている。演出面での近藤監督のこだわりを聞いた。
近藤 「劇場で椅子に座って見たときに最大限怖いものを作ろうと思いました。効果音の入り具合、音楽、映像の暗さ……。『これはテレビ放映では伝わらないね』と言われても妥協しませんでした。制作のみなさんは、途中から『君がそうしたいなら、それでいい』と言ってくれましたが、不安はあったようですね」
しかし、清水監督には不安はなかった。
清水 「僕が思った通り、近藤監督には力があったということ。ただ、単純に暗すぎるんじゃないかと心配はしましたが、ラッシュを見て、素晴らしいと思いました。ストレートに、スクリーンでこそ見てくださいという映画。近藤監督の決意が現れている作品ですよ。ドローンで撮った映像の使い方もうまいし、山に迷い込んで狐につままれたような心境がすごくうまく出せている。短編では感じなかったダイナミズムもあり、さすがだなと思いました」
ネタバレになるのでこれ以上は書かないが、山にはさらなる秘密があり、3人はそれぞれ恐怖体験をする。ぜひ、劇場で見てほしい。
近藤亮太監督
プロフィール/1998年北海道出身。大学在学時より映画製作現場のスタッフとして働きはじめ、上京後、映画美学校にて脚本家で映画監督の高橋洋氏に師事。同時に自主製作を開始し、一貫して恐怖を追求した作風が評価を受け、2021年には短編『その音がきこえたら』で第1回日本ホラー映画大賞MOVIE WALKER PRESS賞を受賞している。昨年は、話題を呼んだテレビ東京のドラマ「TXQ FICTION」の第1弾「イシナガキクエを探しています」と、第2弾「飯沼一家に謝罪します」の演出を手掛け、本作『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』で商業映画デビュー。
清水崇監督
プロフィール/1972年群馬県前橋市出身。〈PEEK A BOO films 代表〉大学で演劇を学び、助監督を経て1998年に監督デビュー。原案・脚本・監督の『呪怨』シリーズ(1999~2006年)は、Vシネマから劇場版を経てハリウッドリメイク。日本人監督初の全米No.1を記録。近作に『犬鳴村』(2020年)『樹海村』(21年)『牛首村』(22年)、『忌怪島/きかいじま』(23年)、『ミンナのウタ』(23年)。ホラー以外に『魔女の宅急便』(14年)『ブルーハーツが聴こえる/少年の詩』(17年)『ホムンクルス』(21年)など。プラネタリウム『9次元からきた男』が、日本科学未来館にて上映中。2024年に公開された『あのコはだぁれ?』は大ヒットを記録。
映画『ミッシング・チャイルド・ビデオテープ』2025年1月24日全国公開
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