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平安時代のことだ。丹波国(現在の京都府・兵庫県・大阪府)の大江山に、酒呑童子という鬼が棲みつき、都から姫をさらうなど悪行を行っていた。そこで鬼討伐の勅命を受けた源頼光は、仲間とともに山伏に扮し、大江山に入っていった。山中で一行は、血のついた着物を洗う姫を発見。
彼女から酒呑童子の屋敷の場所を聞きだすことに成功する。
酒呑童子は意外にも彼らを屋敷に迎え入れ、手厚く歓迎した。宴で源頼光が持参した酒を酒呑童子と鬼たちに呑ませると、彼らはたちまち酩酊。その隙に首を討ちとったという。
有名な大江山の酒呑童子伝説だ。
実はここ大江山には、酒呑童子以外にもふたつの鬼退治伝説が残されている。
ひとつは崇神天皇の弟の日子坐王によって退治された、陸耳御笠という土蜘蛛もの話、もうひとつは聖徳太子の弟の麻呂子親王が、英胡・軽足・土熊という3匹の鬼を討ち取ったという話だ。
大江山はこのように、鬼の山といってもいい場所なのだ。そしてここにはなんと、日本でも珍しい鬼専門の博物館まである。それが「日本の鬼の交流博物館」(京都府福知山市大江町仏性寺)だ。
現地を訪れると、まずは巨大な大鬼瓦「大江山平成の大鬼」が迎えてくれる。高さ5メートル、重さは10トンもある、まさに大鬼の顔だ。建物も頭に角が2本、突きでたようなデザインになっており、ますます気分を高めてくれることだろう。
館内では回廊に展示スペースが設けられており、世界中の伝統芸能で用いられる鬼の面や人形、鬼の屏風画が展示されている。もちろん、大江山に伝わる鬼退治の絵巻物も見ることができる。また、飛鳥時代から現代までの鬼瓦を時代別に陳列するなど、まさに鬼のすべてが詰まった博物館といえる。
ちなみに近くには、伝説の舞台となった酒呑童子の屋敷跡もあるので、そちらもあわせて訪れておきたい。
(月刊ムー 2025年2月号)
中村友紀
「ムー」制作に35年以上かかわるベテラン編集記者。「地球の歩き方ムー」にもムー側のメインライターとして参加。
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