古代をめぐる近現代の文化現象を知る展示「ハニワと土偶の近代」展

    国立近代美術館なのにハニワの展示? そこには文化史をめぐる深い理由がーー。

    ハニワと土偶と近代と 

     ハニワといえば古墳時代、土偶といえば縄文時代のもの、というのは日本人には常識的なおはなし。だが今、そんな「常識」を再考させられるような展示が、東京国立近代美術館で開催されている。

    「ハニワと土偶の近代」展は、ハニワと土偶が明治以降の近代日本でどのように受容され、アートの世界にインパクトを与え、そしていかにそのイメージを変容させてきたかを追うユニークなテーマの展示だ。江戸時代、考古学者ならぬ「好古家」たちによってその存在を知られ、蒐集されてきたいにしえの出土品たちは、近代になると単なるコレクターの愛好品や、考古学的研究対象という以上の意味を付与されるようになる。ハニワは記紀神話の考証を助ける「万世一系」の象徴的存在に、そして戦時下には戦意高揚のモチーフに。いっぽうの土偶は、戦後、岡本太郎らによってまた新たな芸術的価値を見出され、議論を招いてゆく。

     そして1970年代。SF・オカルトブームが到来すると、漫画や特撮などの創作世界は、ハニワ・土偶をモチーフにしたミステリアスなキャラクターを数多く生み出していきーー。考古資料としての枠にとどまらず、ハニワ・土偶がたどった近代以降の歴史を通覧する胸ときめく展示は12月22日まで。

    斎藤清《土偶(B)》1958年 やないづ町立斎藤清美術館 ©Hisako Watanabe
    NHK教育番組「おーい!はに丸」1983-1989年放送(左)ひんべえ (右)はに丸 1983年 劇団カッパ座

    「ハニワと土偶の近代」
    会場:東京国立近代美術館(東京都千代田区)
    会期:12月22日(日)まで
    料金:一般1,800円、大学生1,200円、高校生700円、中学生以下無料
    詳細は公式サイトから https://haniwadogu-kindai.jp

    webムー編集部

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