異界からの訪問者をどう迎えるべきか?「怪異の出る家」/朝里樹・都市伝説タイムトリップ
都市伝説には元ネタがあった。化け物を退治した実在とされるあの稲生平太郎が登場。
記事を読む
「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
香川雅信 著
妖怪の名称の爆発的増加の裏にあったのは「俳諧」
妖怪といえば、日本各地に分布していることから、大昔から個別の名のあるものが大挙して存在していたと考えがちだが、そうではない。実際には古代・中世においては妖怪の種類は鬼や天狗、狐狸など、極めて限定的なものに過ぎなかった。
それが17世紀の江戸時代になって、突如、妖怪の名称の爆発的増加が起るのだ。著者はこれを古生物学でいう「カンブリア爆発」に準えて、「江戸の妖怪爆発」と呼ぶ。
では、なぜそんな現象が生じたのか? その背景には、江戸時代のSNSともいうべき「俳諧ネットワーク」の存在があったという。
さらにはあの俳聖・松尾芭蕉が、「江戸の妖怪爆発」に深い影響を与えていたのみならず、何と鳥山石燕の『今昔百鬼拾遺』に登場する妖怪「煙々羅」が、実は芭蕉自身の妖怪化であったという斬新な指摘には、思わず鳥肌が立った。
著者の香川雅信氏は博士(学術)で、現在は兵庫県立歴史博物館学芸課長。日本における妖怪研究の第一人者・小松和彦氏の門下生であるという。『江戸の妖怪革命』などの著書で知られ、本誌にもたびたび登場している。
なお、本書では「妖怪」という用語を、「各時代でさまざまに呼ばれてきた怪異の主体(エージェント)を通時的な分析の対象とするための作業仮説的な概念として用いる」とされている。この定義文から、本書全体の記述の雰囲気を感じ取っていただければ幸いである。
(月刊ムー 2024年11月号掲載)
関連記事
異界からの訪問者をどう迎えるべきか?「怪異の出る家」/朝里樹・都市伝説タイムトリップ
都市伝説には元ネタがあった。化け物を退治した実在とされるあの稲生平太郎が登場。
記事を読む
病を引き取る「肉付きの面」の霊験と希望/奈良妖怪新聞・「面」厳選
奈良県の伝説、オバケ話を調査・発表する『奈良妖怪新聞』100号刊行を記念した、妖怪文化研究家・木下昌美さんによる奈良の伝説5選。第4弾は、これまた歴史を感じさせる「お面」にまつわるふしぎな話。
記事を読む
生けるものが認識した死者の記録たち「日本怪異幽霊事典」/ムー民のためのブックガイド
「ムー」本誌の隠れ人気記事、ブックインフォメーションをウェブで公開。編集部が選定した新刊書籍情報をお届けします。
記事を読む
座敷童子の宿「菅原別館」で金縛りに遭うも、目覚めはスッキリ!/辛酸なめ子の魂活巡業
今回は、「座敷わらしの宿」として有名な旅館、菅原別館(岩手県盛岡市)を辛酸なめ子さんが来訪。宿泊中に体験した不思議な出来事をレポートします。
記事を読む
おすすめ記事