石こうに包まれた死体の怪談と事件 村上ロック「石こう詰め」/吉田悠軌・怪談連鎖
怪をつむぎ、ひもとき、結びつけていく「怪談連鎖」。歌舞伎町で夜ごと怪談を語り続ける怪の伝道者から、「匂い」にまつわる不可解な話が披露される。
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企業務めを経験した人であればだれしもが、職場の同僚との関係性や序列、果ては巨大なサイクルの一部となって無限とも思える労働に身をやつす……抱えた仕事が重くのしかかるほどに、ついそんな持ちになったこともあるのでは? 本作は、まさにその気持ちをそのまままるごとゲーム化したようなアドベンチャー作品。なにしろ、あなたは地獄堕ちした死者として、悪魔たちと交わした自らの冤罪を晴らし、再び天国へ還るために、地獄にある会社で働くことになるのである。
入社先は、地獄の企業(比喩ではなくて、本当に地獄にある企業)ヘル・イン・コーポレイテッド。この会社には、9つの階層に分かたれたフロアで、さまざまな地獄の役割を担うべく日々業務が遂行されている。かつて詩人ダンテは漏斗状の階層からなる地獄を巡ったが、あなたが巡るこの企業の9つのフロアは名前からして最高だ。
LIMBO ― 受付、LUST―人事、GLUTTONY―食堂、GREED―経理、WRAT― カスタマーサービス、HERESY―マーケティング、FRAUD ―法務、VIOLENCE ―企画、TREACHERY―管理。教会もびっくりの大罪だらけである。部署名を眺めるだけでも、なんだか妙な納得感さえ芽生えないだろうか。
じつは、あなたは事務処理のミスで地獄に閉じ込められた天使だったりする。この企業には、文字通り地獄のような官僚主義がはびこっており、戦い抜かねばならないだろう。かつてボルヘスはカフカを評して永遠の遅延というテーマを語ったが、この地獄の企業のワークフローは、お役所仕事なのかというくらいにたらいまわしにされて待たされつづける。企業で働いた経験があれば、もしかしたらこの企業の管理者に謁見することができるかもしれない?
(本作のムー民度 ★★★★☆)
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ⓒPollaris Studio
(月刊ムー2024年11月号)
藤川Q
ファミ通の怪人編集者。妖怪・オカルト担当という謎のポジションで、ムーにも協力。
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